25.愚者、踊らされる

(大丈夫、大丈夫、上手くやれるわ。証拠なんて何もないし、誰にも見られなかった)

女は自分に言い聞かせて平静を保つ。

『悪いんだけど、昼食含めて建物の外に出ないように。トイレなどは必ず二名以上で組になって。携帯電話を置いているロッカー室には入らないで。今、『うっかり』携帯電話を身につけている者は申告してくれる?』

午前の診察が終わった時、院長はそう言った。

『不自由をさせて申し訳ないけど、うちの院内から子供が誘拐されたの。これは見逃せないわ。お詫びにお昼は好きなものを注文してくれて構わないわ。……あ、領収書はもらってね』

さらっと爆弾を落として、院長は警察が集まっている裏の駐車場に行ってしまった。


「ねぇ、誘拐って!?さっきから、裏に警察とか救急車来てたのって、それだよね!?」

「誘拐なんて大事件じゃん!院長が診療に集中しなさいって言うから見に行かなかったけど、惜しいことした!!絶対ニュースに出るよね!?」

「怖!誘拐犯がウチの病院に入ってきたってこと!?」

「結局どうなったの?攫われたのって、途中で診察中止になった藤護さんちの子よね!?」

「あぁ、あの子!めちゃくちゃガリガリの外国人の子供だよね?めちゃくちゃかっこいい男の子たちが付き添ってた子!」

「なんか訳ありかなと思ってたら、本当に訳ありだった感じ!?」

「馬鹿、そんなこと先生に聞かれたら怒られるよ!」

女性が九割の職場は、華やかといえば良いのか、姦しいと言ったら良いのか。


「えっ………誘拐されたのってアーシャちゃんなんですか!?」

皆の話を聞いていた一人の、まだ幼さが残る准看護師が声を上げた。

彼女は准看護師になってまだ一年足らずの、新人だ。

「あれ、そういえば、アーシャちゃんの採尿担当したのってシマちゃんじゃなかったっけ?」

そう言われて、新人はあたふたする。

「え!?あ、は、はい。でも言葉が通じなくって……アーシャちゃんが座り込んで動かなくなって……困ってたら、みぃ先輩が代わってくれて……」

「は?私?」

女は驚いた風を装って、目を見開く。

「え……あ、あの、か、代わってくれましたよね?」

家の事情で、早々に働く道を選んだ彼女は、まだまだ子供っぽく、この病院に来て三ヶ月は経っているのに、未だに自信がなさげでオドオドしていて、あまり看護師に適性がない。

彼女の取り柄といえば、朗らかであることと、子供になつかれ易いくらいしかない。

毎日何かしらのミスをしては周りから指摘を受けているので、同僚からの信頼は薄い。


「何言っているの。私、あの時掃除中だったのよ?交代なんか、できるわけないじゃない」

これは予定通りの台詞だ。

心外そうな顔をすることも忘れない。

誘拐が発覚した時点で、この皆から『頼りない』認定をされている、この子に全部押し付ける予定だったのだ。

「え、え、でも、でも、先輩が……」

オロオロと彼女は助けを求めるように周りを見るが、周りの人間は『またか』と言う顔をするだけだ。

「確かに、掃除中に通りかかったから『一度クールダウンさせた方がいいわよ』とはアドバイスしたけど、放置しなさいなんて言ってないわよ?まさか患者さんを放置して忘れちゃったの?」

「ええええ、いや、だって先輩が……」

新人が何かを言うのを、女は大きなため息で遮ってやる。

「いくら何でも採尿くらいならできると思って任せたのに……貴方って本当に何をやっても……」

普段ミスの多い新人と、この病院に勤めて四年目の彼女とでは信頼の度合いが違う。


すっかり周りは、『採尿中に患者を放置してしまった』新人に、批判の目を向ける。

「あのさぁ、シマちゃん、子供は一体何をするかわからないんだよ?一人で放置したりしたらダメでしょ?」

古株の看護師は、説教まで始めてしまう。

「で、でもみぃ先輩が……」

「私は騒ぎが起こる直前に、彼女が掃除用のキャリーを押してるのを見ていたわ。自分が任された仕事の責任を先輩に押し付けるなんて言語道断よ!貴方が成長しないのは、そう言う所が問題なのよ!」

きつい言葉を投げつけられて、新人は涙ぐむ。

強く言われたら、口ごもる。

ろくに抵抗もできない最高のスケープゴートだ。

涙ぐみながら必死に弁解しようとするが、上手く言葉になっていない。


「全く!言い訳ばっかりね!ねぇ、美井さん、貴方騒ぎが起こる直前まで掃除用カートを押していたわよね?」

「はい」

「他に彼女が掃除用カートを押していた姿を見ていた人もいるわよね?」

古株が皆に問いかけると、二人の看護師が手を挙げる。

「ほら!皆もそう言っているじゃない!」

ますます叱られて、新人の子は泣き出してしまう。


(上手くやれたわ)

彼女はホッとする。

「全く……ちょっと反省しなさい!……はぁ、私はちょっとトイレに行くわ。誰か一緒に行ってくれる人いる?」

古株は憤懣やるかたないと言った様子だ。

「あ、私も食事前に行きたいです」

院長から深い信頼を得ている古株には、特に良い印象を持ってもらいたい。

そして今の状況を確認したい。

そんな思いから、彼女はトイレに行くことを決めた。

他に二人ほどが一緒にトイレに行くことに志願した。


「私が一番最後でいいわ」

トイレについたら、古株はそう言って微笑んだ。

先ほどは厳しく叱責していたが、本来とても温厚な人なのだ。

「すみません」

「お先です〜」

そんな事を言いながら全員個室へと入る。


彼女の目的は勿論、用を足す事ではない。

彼女はポケットに入れていたスマホをそっと取り出す。

そこには誘拐犯たちとのやり取りをした履歴が残っている。

来院を告げたり、出るタイミングなどを伝えるだけの短いものだが、普段使わない出会い系アプリを使用してのやり取りだったので、アプリごと削除する。

そして今回の依頼主に、ブラウザからフリーメールを送り、状況を尋ね、後報酬の振り込みの確認する。

危険な橋を渡ったのだ。

しっかりと貰うものを貰わないといけない。


彼女はメールを送った後に、念のため閲覧履歴も削除する。

そしてキョロキョロとトイレの中を見回す。

万が一スマホの中身を確認するとか言われたら困る。

まずいものは全部消したが、調べられるのは不安なので、『今日はスマホを忘れた』で通したい。

便座の後ろにピラミッド型に積んであるトイレットペーパーの山の後ろに、彼女はそっとスマホを隠す。

トイレの個室なら、いつでも取りに来れるし、万が一身体検査や、持ち物検査をされても安全だ。



(とりあえず報酬を全部もらって借金を完済したら、後は堅実に働いて、真面目に暮らして行く予定だったのに……一体何が起こったって言うのよ)

掃除用カートに掛けている、本来は汚れたタオル等の洗濯物を放り込むランドリーバッグに、子供を隠して運び出し、ランドリーバッグごと引き渡すだけの簡単な仕事だった。

それだけで口止め料を含めた、三桁万円のお金が手に入る美味しい仕事……な、はずだったのだ。

子供を看護師に預けた保護者は、すぐには異常に気がつかない。

預かり時間が長くなって、不審に思って、問い合わせされるまで、子供が消えたことには気がつかれない。

その間に子供を引き受けた男たちは、撤収する。

五分もあれば済む話だった。


予想外だったのは、子供の保護者が即時に対応してしまった事だ。

『子供が誘拐されて、お兄ちゃんが飛び降りて!!』

院内を猛ダッシュする保護者に驚いて様子を見に行った看護師が、院長に報告するために診察室に飛び込んできた時、男たちの誘拐にトラブルが起きた事を知った。

目撃した看護師は、保護者が二階の窓から誘拐犯の車目掛けてジャンプしたとか、立ったまま寝ていたのではないかという程、現実味のない事を報告していたので、信憑性はいまいちだったが、その話を詳しく聞きたかった。

しかし院長が人払いをして、詳しい話を聞いた後に、やってきた警察に協力するようにと、彼女を送り出してしまったのだ。


(誘拐が失敗していても後報酬はもらえるのかしら……)

監督責任は新人の子に押し付けたので、後は報酬を貰うだけなのだが、女には誘拐が成功したのか、完全に失敗したのかすらわからない。

もやもやとしたまま、皆での昼食をとり終えるくらいの時間に、警察に協力しに行っていた看護師が帰ってきた。

好奇心を剥き出しにした同僚たちに紛れて詳細を聞こうと思ったのだが、

「ごめんなさい。許可が出るまで話したらダメみたいなのよ」

と、その口は固かった。


女の関心は報酬がもらえるか否かという一点だけだった。

昼食後に院長から呼び出しを受けて、古株に付き添われて出て行った、真っ青な顔の新人の立場も、攫われた子供の安否も、それを助けに行った保護者のその後もどうでも良い。

重要なのは、借金を返して、身軽になった体で、これまで通りの生活を営む事だけだ。

(借金がなくなったら婚活も始めようと思っていたんだから、上手く行ってもらわないと)

女はひたすらに利己的だった。


「美井さん、ちょっと探し物に付き合って欲しいんだけど」

「大丈夫ですよ」

古株に拝まれて、女は持ち前の愛想の良さで頷く。

彼女に気に入られているおかげで、女は結構良いポジションを与えられている。

『日本語が通じないため、ベテランが対応するように』と通達があった、あの子供の対応に、新人をあたらせる事ができたのも、指示できる立場のおかげだ。

(最悪、後報酬は入らないかもしれないけど、前報酬だけでも月々の返済はグッと楽にはなるのよね。残りが入らない場合、もっとお手当がつくように立ち回らなくっちゃ)

古株には、しっかり媚を売っておかなくはいけない。




そんな彼女の思惑は、三階の院長の休憩室兼応接室兼資料室に入った時に砕かれた。




「えっ」

女は思わず声を出した。

そこは居ても院長くらいだと思っていた。

しかし広めな部屋が狭く感じるほど、そこには屈強そうな男たちが、ひしめき合っていた。

スーツにネクタイを締めた、見知らぬ中年男性と壮年男性。

そして女性看護師たちが大騒ぎしていた白皙の美青年と、強烈な圧迫感を覚える黒髪の青年。

黒髪の青年の腕には、先ほど、ランドリーバッグの中でキョトンとした顔をしていた、例の子供が抱かれている。

今は泣きつかれたのかぐっすりと眠っている。

(失敗したんだ……)

女はそれを見て悟る。


「嫌な役回りをさせたわね、瀧口さん」

応接用のソファーに四人の男たちを座らせ、自身は丸椅子に座っていた院長は立ち上がる。

『瀧口』は古株の苗字だ。

「いいえ。私の責任でもありますから」

そう言って瀧口は何か小さな物を院長に渡す。

(……まさか……)

女の全身から血の気が引いていく。

彼女は思わず部屋のドアを振り返ったが、いつの間に動いたのか、中年の男性がドアの前に立ち塞がっている。


「まぁ、落ち着いて。座りませんか」

そう言って壮年の男性が立ち上がり、ソファーを勧めてくる。

「あの……私、探し物を手伝って欲しいって言われて来ただけで……」

固辞して部屋を出たい。

「ええ。探し物を手伝ってもらうのよ」

そんな女の手を、院長がエスコートするように引く。

よろめく足は、大した力を入れられた訳ではないのに、素直に院長に従ってしまう。

「私、探し物をしているの。…………私の大切な患者を、危険な目に合わせた犯人を」

底冷えするような目に覗き込まれて、震えていた足から力が抜ける。

優しく両肩に置かれた手の、わずかに籠った力にすら逆らえず、女はソファに座り込んでしまう。


応接用のテーブルを挟んで二つの二人掛けソファーが、対面するように配置されているのだが、女が座った正面に、あの物凄い圧迫感を持った黒髪の青年が座っている。

「わ、私は関係ないですよ?大体、その子の担当は私じゃ……なかった……ですし」

堂々と言い切ろうとしたのだが、体を押し潰されそうな圧迫感を感じて、最後は喘ぐような声になってしまった。

「あら、その子が誘拐された本人だって知っているのね?」

丸椅子に座った院長は、キャスターを滑らせて彼女の横につく。

「そ、そ、そりゃあ、そうですよ!お昼もその話で持ちきりでしたし」

何とか平静を装おうとする女に、院長は口の両端だけを吊り上げて、にっこりと笑う。

「あら、ちゃんと耳も聞こえるし、記憶もしっかりしているのね」

「………は?」

微笑んだ院長は、自分の足に肘をついた手に、顎を預ける。

「『藤護アーシャさんは日本語が通じないため、ベテランのみで対応すること』朝礼に言った事を忘れて、新人の准看護師に仕事を割り当てたみたいだから、まだ三十代に入ったばかりなのに耄碌もうろくしてきちゃったのかと心配していたのよ?」

ズレたメガネの上から覗く目は恐ろしく冷たい。


「そ……その件は……すみません。忙しくて、採尿くらいなら良いかと……」

「あらあら、忙しいのに貴女はお掃除なんかしていたの?私だったら経験がある者が難しい患者に対応して、誰でもできる掃除は新人に任せるわ。違うかしら?」

院長はクルンと椅子を回して、古株の瀧口に問う。

「その通りです。……割り振りがおかしい事に気がつけずにすみません」

「良いのよ。瀧口さんは双子ちゃんの一ヶ月検診の対応で急がしくしていたんだから」

笑顔で会話をしていた、院長が再び、クルリと椅子を回す。

もう口だけの微笑みも、彼女の顔には浮かんでいなかった。


「す……すみません……判断ミスでした……。でも判断ミスはしましたが、私は誘拐の手助けなんてしていません!信じてください!」

女は正面の青年からの押しつぶされそうな圧迫感を受けながらも、必死で主張する。

罪が明らかになったら、一体どうなるかわからない。

「ええ、そうね」

院長は再び、唇だけの笑みを浮かべる。

「じゃあ、私は……」

うっかり安堵しかけた所に、

「貴女は誘拐の手助けをしたんじゃない。誘拐をしたのよ」

冷たい宣告が落とされる。


「いや、だから、私はあの子の担当をしていなくて……!!疑うなら私じゃなくて……」

女は立ち上がって主張しようとしたが、

「失礼」

そこで正体不明だった壮年の男性が複数枚の写真を提示した。

それは駐車場に落ちたランドリーバッグの写真だった。

落ちている所や、内容物などが何枚にもわたって撮影されている。

中に入っていた毛布や、ウサギのぬいぐるみなど、身に覚えのある物しか写っていない。

それを見た瞬間、女の身体中の血が重力に引かれていく。


「あ……あの、掃除といっても……私はアルコール消毒などを……」

女はそれでも苦しく言い訳をしようとしたが、院長は先ほど滝口から受け取った物を操作する。

『私は騒ぎが起こる直前に、彼女が掃除用のキャリーを押してるのを見ていたわ。自分が任された仕事の責任を先輩に押し付けるなんて言語道断よ!貴方が成長しないのは、そう言う所が問題なのよ!』

『全く!言い訳ばっかりね!ねぇ、美井さん、貴方騒ぎが起こる直前まで掃除用カートを押していたわよね?』

『はい』

『他に彼女が掃除用カートを押していた姿を見ていた人もいるわよね?』

『あ、はい』『はい』

部屋に流れ出したのは、お昼の会話だった。


「掃除用のカートなら子供の移動も簡単ね?目撃者は瀧口さん、内田さん、武藤さん。もう確認も取れているわ。……あ、ついでに」

院長が目配せすると、瀧口が壮年の男性にスマホを渡す。

「トイレに不審なスマホが落ちていましたので、証拠品として提出します」

「っっっ!!!」

咄嗟に奪おうと手を伸ばしたが、壮年の男の動きは、思った以上に機敏だった。

「お預かりします」

「それは私のよ!!トイレで落としたの!!」

取り戻そうと立ち上がりかけた女の手を、院長が掴む。

「あらあらおかしいわ?あれが貴女のものであるはずがない。勤務中は皆、ロッカーに置いておくように指導しているし、さっき、ちゃんとそれを確認したわ。おかしいから警察できちんと調べてもらわなくっちゃ」

年齢的に女の方が圧倒的な有利であるはずなのに、振り切ろうとしても、院長の手はビクともしない。

女は力無くソファーに崩れ落ちた。


そんな彼女に院長は更に追い込む。

「あ、後ね、休憩中に使う用に、院内のWi-Fiは開放しているけどね、あれ、ちゃんとログを取っているのよ。私は専門家じゃないから、解析は警察の方にお任せするけどね。……Wi-Fiの自動接続って便利だけど、秘密の連絡をするときはちゃんとオフにしていたかしら?」

女は、既に、普通に座ることすら出来ずに、蹲った。


破滅。

破滅だ。

どうしてこんな事になってしまったのか、女の視界は歪む。

「あぁ、貴女が陥れようとした子ね、まだ十代なのよ?知ってた?」

明るい院長の声が場違いに聞こえる。

「ゆくゆくは立派な看護師にしようと思って、私が引き受けた子なの。……証拠を確保するまで貴女を泳がせるためとは言え、酷い対応をさせてしまったわ」

その声がどんどん温度を失っていく。

恐る恐る横を見た女の目に、全くの無表情になった院長の顔が映る。

「……二人もの子供の将来を歪めようとした罪は重いわ。免許剥奪の行政処分を覚悟しなさい」

それはこれからの職も奪うという、女にとっては死刑執行と同義の冷酷な言葉だった。


「ご同行願えますね?」

そう問われたが、最早、女に抵抗する気力は残っていなかった。

中年の警察官に支えられるように、女は歩き出す。

「………あ」

丸椅子に座りなおした院長は、軽く手を打つ。

「今日のみんなのお昼ご飯代も含めて、後々損害賠償請求させてもらうわね?お昼の領収書もしっかり貰っているから、よろしく」

女は一段と深く頭を落としただけで、返事をすることすら出来なかった。





「凄い死体蹴り……」

「……?死んでないぞ?」

「あのなぁ、死体蹴りって言うのは…………って、お前、何でちょっと不満そうなんだよ」

「不満そうに見えるか?」

「ああ。すっごい見える」

「いや……実行犯は捕まえられたけど、スッキリしないな、と思ってな」

ふらつく女を、中年の警察官が連れていくのを見ながら、大人しくしていた兄弟は言葉を交わす。

部屋に残った壮年の警察官は、禅一に視線を向けられ、姿勢を正した。


「瀧口さん、有難う。後は警察の方にお任せするから。お昼休み取れなくて、ごめんなさいね」

「ふふふ、慣れてますよ。あの子のフォローもしっかりしていますから、ご安心なさってください」

年嵩の看護師は微笑んで部屋を後にする。

院長はまたクルンと丸椅子を回転させる。

「じゃ、本題に移ろうかしら?武知たけちさん?」

声をかけられた壮年の男はビクリと姿勢を正した。


話はもう少し続くようだ。

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