11.聖女、サクサクに魅了される

神の国は体を拭く布まで素晴らしい。

アーシャはフワフワの布で体を拭きながら、うっとりしてしまう。

まるでこの布は体を拭くためだけに作られたかのように、水をよく吸うし、体を柔らかく包んでくれる。

しかもほのかに花の香りまでするのだ。

(神の国は良い匂いしかしないわ)

布に顔を埋めるようにして、香りを楽しみながら、アーシャは顔を拭く。


本日二度目のお風呂に入れられて、アーシャは一人でのお着替え中だ。

人間の世界では、風呂は病気になる危険な物だと言われ、王族ですら生涯片手で数える程度しか風呂に入らなかったので、同日に二回も入れられて、アーシャはびっくりしてしまう。

(神様って本当に綺麗好きなのね。だから道も建物もあんなに綺麗なんだわ)

しかしそれと同時に納得してしまう。


何と神の国は部屋に入る時に靴まで脱ぐのだ。

道にはゴミも排泄物も砂埃もなく綺麗なのに、それでも汚いという認識なのか。

家に入る際は、靴を脱いで、手を洗い、口まで濯いでしまう。

ここまで来ると、手と同じく露出している顔は洗わなくて良いのだろうかと、疑問すら感じる。

外に続く扉は一段低い所にあるのは、きっと少しでも砂埃を家の中に入れたくないからだろう。

汚れを家の中に持ち込まないという、強い意志を感じる段差だ。


アーシャは体の水分を拭き取ったら、並べてある服を身につけていく。

(ふふふ、もうこれが何かわかっているわ。余裕、余裕)

朝に着せてもらった時に、しっかり学習したアーシャは鼻高々だ。

神の国は下着も物凄く便利なのだ。

胴を通す穴と両足を通す穴、それぞれが優しく伸び縮みして、体に通すだけで、しっかりと身につけられるのだ。

紐で縛ったりする必要はない。

しかも誰から見られるわけでもないのに、とても可愛い絵柄がついているのだ。

(神には無地という概念はないのかもしれないわ)

肌着は肌触りの良い柔らかな生地で、着るだけで気持ちいい。

こちらには、なんとユニコーンとペガサスを混ぜた新しい生物が描かれている。

革新的だ。


押し当てて閉じるボタンのような物がついているので、上から着る服はちょっと難しいが、できないという事はない。

どの服も縫い目や生地の重なりを全く肌に感じない、素晴らしい縫製技術で作られている。

着ていることを忘れるような、素晴らしい着心地だ。

「お、猟狙中桶蒲幽趨畳」

何とか全てを身につけた所で、水を浴びるための部屋から、ゼンが顔を出す。

水滴を垂らしながら、体を拭く布を取って、軽く手を拭いてから、彼はアーシャの頭を撫でてくれる。

ちゃんと服を身につけたことを褒めてくれているのだろう。

(服を着るなんて子供だってできることなのに)

と、恥ずかしく思いながらも、やっぱり褒めてもらえるのは嬉しい。


彼は一度アーシャを洗ってから、服を着せて、次は自分の体を洗う。

アーシャを拭いたり、服を着せたりする間、彼はずぶ濡れの服を着た状態なので、風邪をひきそうで、何とか自分でやると伝えて、今に至る。

お貴族様でもあるまいし、着替えくらい、きちんと自分でできるのだ。

当然のことなのだが、褒められると、鼻高々になってしまう。

(次はもう自分で体も洗えるところも見せなくちゃ)

水を出す所なども、ちゃんと見ていたので、もうきっとできるはずだ。

体を洗う布も、洗う時に塗る、泡になる液体もわかっている。

あとは実践あるのみだ。

服を着ているゼンから視線を逸らしつつ、アーシャはやる気を漲らせる。


「アーシャ、か・み」

『かみ』は髪のこと。

そして髪を乾かす温風を噴き出す驚くべき道具は『どらいやー』。

アーシャは順調に神の国に馴染みつつある。

『ドライヤー』は意外と重くて、自分で髪を乾かせないのが難点だが、ゼンの膝に乗せられて、頭を撫でられる時間は凄く好きなので、力がつくまでは甘えても良いかなと、こっそり思っている。


(でもちょっと甘え過ぎよね)

髪を乾かしてもらいながら、アーシャは思う。

何せ、ここに来てアーシャがやっている事と言えば、豪華で美味しいご飯を食べさせてもらって、身の回りの世話をしてもらっているだけなのだ。

生きる為の最低限のお世話なんかじゃなくて、過剰なくらい色々してもらっている。

瀉血にはびっくりしたが、歯も綺麗にしてもらった。

それなのにアーシャは、ゼンやユズルのために何もできていない。


(私にできる事って……治癒、浄化、強化、土地の活性化、結界を張る……弱い魔物なら、何とか一人でもやっつけられるし……あ、毛皮を剥いたり内臓を出したりするのは得意だったわ)

心の中で指折り考えて、アーシャはガックリと肩を落としてしまう。

(日常向きの能力が……何一つないわ……)

炊事、洗濯、掃除、繕い物など、日常で使う技能を何一つ持っていない。

教えてもらえれば、何とかなると思うのだが、逆に言えば教えてもらわなければ何もできない。

先ほども、せめてご飯を作る手伝いをと思ったのだが、ユズルに邪険に追い払われてしまった。

(役立たずの穀潰しゴブリンなんて、いつ放り出されてもおかしくないわ)

早く何とか役に立つようにならなくてはと思うのだが、神の世界はあまりに人間の世界と異なる。

勝手が違い過ぎてやれる事が思い付かない。


「よ〜し」

悶々と悩み始めたアーシャの頭がくしゃくしゃと撫で回される。

乾かし終わったらしい。

ゼンはアーシャの髪を、手櫛で整えて、満足そうに笑う。

あまりに曇りのない、嬉しそうな顔なので、それを見たアーシャもつられて笑ってしまう。

小さな悩みを吹っ飛ばす、お日様のような笑顔だ。


そのままゼンは自分の髪を乾かし始める。

少しでもお手伝いをと、アーシャは布でゼンの頭を拭こうと、体を伸ばす。

しかし全身を限界まで伸ばしても、座ったゼンの頭にすら手が届かない。

するとアーシャの意図を汲んだゼンは、背中を丸めて頭を下げてくれる。

「ふふふ、工痢倶恩鋸」

アーシャがせっせと頭を拭くと、ゼンは楽しそうに笑う。

そんな笑顔に、やっぱりアーシャはつられて笑ってしまう。


きっとゼン以外の人だったら、何もできない自分に、自己嫌悪と焦りを募らせたと思う。

しかし彼はアーシャができる範囲のことをするだけで、こんなに温かく笑って喜んでくれる。

(頑張ってできる事を増やすわ!)

そんな彼だから、アーシャもそう思える。

尚、二人の合作で乾かした頭は、経験の浅い若鳥が作った巣のようになってしまったが、ゼンは全く気に留める様子もなく、上機嫌に鼻歌を歌っていた。

ゼンはあまり外見に拘らないタイプのようだ。


「膿議!!」

普段みんなで過ごす部屋に行ったら、そこは物凄く良い匂いに包まれていた。

低いアーシャの視線からも卓の上から湯気が立ち上るのが見える。

「お、槙太告文蔦綴〜」

卓の上を見たゼンは、嬉しそうに目を細める。

先に席に座っていたユズルは、そんなゼンを睨んでいる。


ぐいぃぃぃぃと、アーシャの腹の虫も、匂いだけで、準備が整いましたとばかりに鳴き始める。

思わず腹を押さえるアーシャを、ゼンが抱き上げる。

「………?」

卓の上には茶色い穀物、黄土色の汁、そして紙にのせた不思議な物体たち。

アーシャはゼンの膝にのせられながら、自分の前に置かれた皿をじっと見つめる。

細長い雲に赤い矢羽をつけたような物、どう見てもただの葉っぱ、そして多分輪切りにして、串を刺した玉ねぎ。

全て黄色がかった白い雲のような、モクモクとしたものに包まれている。

匂いを嗅ぐと、油の匂いがする。

「???」

玉ねぎだけわかるが、こんな形にされた玉ねぎは初めて見る。

どこでも良く採れるので、貴族たちからは下賎な食べ物とされてしまっている、貧民の友・玉ねぎであるが、こんなに分厚く切るんじゃなくて、薄く切ってスープなんかに入れるのが主な用途だ。


「え・び・ふ・ら・い」

ゼンはニコニコと笑いながら、二本の木の棒で上手に、赤い矢羽を掴む。

そして手前にある、薄いインクのような液体に、雲のような部分をちょんちょんとつける。

「………」

アーシャは口の前に差し出されたそれを、じっと見つめる。

匂いは美味しそうなのだが、見た目が変わり過ぎている。

しかしゼンが進めてくれるものに間違いはないはずだ。

アーシャは意を決して、雲に齧り付く。


「!!!」

かじりついた瞬間、衝撃が走った。

サクッと軽い歯当たり、次いで歯を押し返す弾力、最後は中の身が弾けるように割けるプツンっという爽快な歯触り。

感触がまず美味しい。

次いで広がる、鼻から抜けていくような旨味と、ほんのり感じる甘み。

「!!!!!!!」

しかも噛めば噛むほど味が出てくる。


「美味しぃ〜〜〜!!」

あまりの美味しさにアーシャは、ゼンの膝の上で仰反る。

サクッで、プリっで、プツン。

食感だけで最高なのに、味まで美味しいとは、正に神の食べ物。

美味しすぎて、目の前が滲む。

「美味しいっ!美味しいっ!」

アーシャは夢中でゼンが差し出している細長い雲に飛び付いて食べる。

味も、歯触りも、止められない美味しさだ。

三口目で出遅れた涎が溢れ出す。

「ん〜〜〜」

予想外すぎる、体も驚く美味しさだ。

痺れる顎を押さえながら、アーシャは夢中で咀嚼する。


赤い部分にも噛みつこうとしたのだが、サッと遠ざけられてしまう。

どうやら、赤い部分は可食部ではないようだ。

凄く美味しそうな色なのに残念だ。

「凧争梼沓層!無犯閑!」

遠ざかった赤い矢羽を見つめていたら、ユズルにフォークを握らされる。

「あっ」

ついついゼンから貰うのが当たり前になってしまっていた。


恥ずかしくて、照れ笑いをしながら、アーシャはフォークを、新しい細長い雲の真ん中に突き刺す。

「ほぁぁ!」

サクップツンッと、突き刺した感触まで美味しそうだ。

もう耐えられなくてアーシャは黒い汁をつけながら、夢中でそれを貪る。

美味しい。

口の中が、美味しいに支配されている。

いや、口の中だけではない。

脳も、喉も、胃も、全てが美味しいと言っている。

関係のない足までも、美味しさにピョンピョンと動いている始末だ。


あっという間に二本目を食べ終わり、さて次へ、と思って、アーシャは止まる。

この細い雲のような物は三本しかない。

一気に消費してしまうのは、勿体無いのではないだろうか。

ここは味を知っている玉ねぎなどを先に済ませ、食事の最後に、再び最高の感動を味わった方が良いのではないだろうか。

「…………」

口と喉は、三本目が食べたい!と大騒ぎしているが、アーシャは先に玉ねぎを食べる選択をした。

玉ねぎは串が刺さっているので、持ち易い。

旨味の元である黒い汁をつけて、アーシャは玉ねぎに齧り付く。


この時、アーシャは完全に玉ねぎを舐めていた。

神の国で出されようと、玉ねぎは玉ねぎ。

そんな油断があった。

「!!!!!!」

サクッ、シャクッ、ジュワッ。

これもまた物凄い三段構えの歯触りだった。

サクッと迎えられた歯が、中の玉ねぎに到達し、その表面をシャクッと割ったら、中のトロトロになった玉ねぎにジュワッとやられる。

恐ろし美味しい猛攻だ。

「甘ぁぁい〜〜〜!」

しかも神の国の玉ねぎは、別の食べ物かと思うほど、甘くて味が濃ゆい。

浸けた黒い汁の辛さと、玉ねぎの甘さが引き立てあって、これまた物凄く美味しい。

「ほふっ、ほふっ、ホクホク〜〜〜」

玉ねぎがこんなに美味しいと知っていたら、きっと貴族たちも玉ねぎを『下賎な野菜』などと言って避ける事も無くなるだろう。


「……………」

ここまでのサクサク無双だったのだが、

(これは流石にただの葉っぱだわ)

紙の上に残る、最後の一種類をアーシャは無視することにする。

これはきっと飾りだ。

「おい」

次は良い匂いのする穀物を頂こうと、フォークをスプーンに持ち替えたところで、声がかかった。

「過吐倍、抱凶頃浪洋処染架絢圭遵疎裏いい柄爵禎」

何かユズルに凄まれている。

「………?」

しかし何が彼の不機嫌の原因かわからない。


すると、するりと白い手がアーシャの方に伸びてきて、

「!」

彼女の鼻を摘み上げた。

「何をしゅっっ!?」

当然抗議をしようと口を開いたのだが、その口に先ほど無視した葉っぱが押し込まれた。

驚いて口を閉めると、サクッと、これまた素晴らしい歯触りがした。

そしてその歯触りと共に広がる、何とも言えない爽やかな香り。

味はほぼ黒い汁の味だが、爽やかな香りと共に味わうと、とんでもない威力に変わる。

噛むたびにパリッパリッと鳴る食感も素晴らしい。

「美味しい………!!」

ただの葉っぱかと思いきや、美味しすぎる。

夢中で残りを食べ始めると、ユズルは満足そうに頷く。


(何だこのサクサク三騎士……!!)

暴力的なまでの美味しさで、屈服させてくる。

最後に雲のような物で最高潮を楽しもうと思ったら、ずっと最高潮のままで、臨界点を突破しそうだ。

(こ、こんなに美味しいものばっかり食べていたら流石に堕落する……っ)

教会が食に楽しみを求めるなど不道徳で、美食暴食は自らを堕落させる罪だと言っていたのを、アーシャは鼻で笑っていたが、最早笑っていられない。

この味に魅了されて帰ってこれなくなりそうだ。


ここは一旦穀物を食べて落ち着こう。

そんな気持ちで掬った茶色い穀物。

「!!!」

思いとは裏腹に、一口目で、アーシャは堕落を確信した。

単なる塩の味ではない、深みのある味つけ。

(これは……茶色い穀物じゃないわ!!いつもの白い粒々に味をつけているんだ!!)

アーシャは先ほどまで食べていた、サクサクを浸けていた黒い汁を見る。

きっとこんな汁で煮込んで味をつけたに違いない。

「ん〜〜〜〜!」

そんな物、美味しくないはずがない。

噛めば穀物の甘さと、柔らかさのある辛さに炊き込まれた味が、絶妙に絡み合い、旨味が増す。


「お、お肉!!」

アーシャは二口目で感動に震えた。

口の中に入ったのは、穀物の中に隠れてしまうくらい、小さいカケラだったが、お肉だった。

しかもアーシャの大好きな鶏肉だ。

「お……おいひぃ………」

鶏肉なんて、いつぶりだろう。

味の付いた穀物と一緒に食べたら、ただでさえ美味しい鶏肉が、更に美味しい。

アーシャは器に顔を突っ込むようにして、夢中で中身を掬う。


穀物の中に入っていたのは鶏肉だけではない。

やたら歯応えの良い、何かの茎、木の一部のような物も入っている。

柔らかい穀物と一緒に炊き込まれたに違いないのに、何と、これらもサクサクするのだ。

「……おいひぃようぅ……」

もう感涙が止められない。

美味しくて、咀嚼も止められない。


「…………あ」

そして気がついた時には、お腹が一杯になってしまった。

アーシャは愕然とする。

(この細長い物が………もう………入らない…… )

美味しさに堕落し、詰め込んでしまった胃が、『もう何も入らない』と言っている。

もうちょっといけるのではないかと、フォークを伸ばそうとするが、食道あたりまで何かが詰まっている感覚がして、アーシャは口を押さえる。

「アーシャ、碕火騨神変埴仙酒蒜袈錫い毛晶徳」

ゼンがアーシャの頭を撫でつつ、紙が敷かれた皿と、スープの入った皿を遠ざける。

ここで、スープに至っては、まだ手もつけていない事を、アーシャは思い出した。

本来最初に食べなくてはいけなかったはずなのに。


「あ、あ、あ〜〜〜」

もう食べられないくせに、未練が皿に手を伸ばさせる。

「?」

ゼンはそんなアーシャを不思議そうに眺める。

「碕火騨神変埴仙、酒蒜袈う錫」

未練のお皿に、ユズルの二本の棒が細長いものに伸びる。

「あぁ〜〜〜」

もうアーシャは食べれないんだから、体の大きいユズルが食べた方が良い。

そんな事は分かりきっているのに、あの最高潮が惜しくなって声が出てしまう。

アーシャは完全に堕落してしまったようだ。


「こら!」

しかしユズルの棒が到達する前に、ゼンが紙ののった皿を、頭の上に持ち上げる。

そしてアーシャに向かって彼は微笑む。

「アーシャ・の」

そしてヨシヨシとアーシャの頭を撫でる。

「毛晶徳、炊騎林笹痔狐伶昭盤え畠蛤氷影芽交頃将歳殆!」

「栓調誹梱橿案難句軟遡新券題伏畠煩豊普冨岐。楚稀擢騒木雁視蒐岱仇延雇丙。孟麻火詰扮齢握錨」

ユズルと何やら言い合いをしながら、ゼンは皿をアーシャに持たせて、移動する。

(あ、柔らかい硝子)

そしてアーシャの持つ皿に、柔らかい硝子を張ってくれる。

この硝子は保存する物につける事が、朧げながらアーシャにも理解できている。


ゼンは冷気の噴き出す箱を開けて、アーシャをその前に持ち上げてくれる。

そしてトントンっと、指で、恐らく皿を置く場所を叩いてくれるので、アーシャはそこに自身の皿を置く。

するとゼンは『よくできました』とばかりに笑う。

「アーシャ・の」

そしてトントンと次は皿を指で叩く。

「………アーシャ、の」

どうやら神の国は名前の後ろに『の』をつけると所有を示すらしい。

確認するようにアーシャが呟くと、ゼンは大きく頷いてくれた。


アーシャはお腹の底から込み上げる感情に任せて、ゼンの首に飛びついた。

「アーシャの!」

この喜びと、感謝をどうやったら彼に伝えられるのだろう。

アーシャにはわからない。

わからない代わりに、気持ちを移すように、力一杯彼にくっつく。

「うん。アーシャ・の」

彼は笑いながらそんなアーシャの背中を撫でてくれる。


あの人はゼンを神じゃないと言ったが、やっぱりゼンは神様だ。

アーシャの大好きな神様だ。

そんな事を思いながらアーシャはゼンの首にぶら下がる。


「ユズル………お載滑栓……」

「あぁ?」

そんな感動の中、ユズルはしっかりアーシャのスープを飲み干していたのだった。

「お夜、頴淵浦慎載剃彰誉雫う江帯追!」

「少譜秦吟胤いい染速欲宗盤改袈拓?」

何か言い合いをする二人を見ながらも、アーシャは幸せに頬を綻ばせたままだったのであった。


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