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side. Subaru






『いらっしゃいま────…あっ、キミ達!!』



コンビニの開閉音に反応して、

此方を向いた店員…篠宮さんは。

俺達に気付くと、元気良く手を振ってきた。







「あっ…!」


その時、

レジ横に陳列されたお菓子の箱に腕が勢い余って命中し…。見事に床へと散乱してしまう。






「あちゃ~またやっちゃったぁ…」


エヘヘと、恥ずかしさを誤魔化すように苦笑し。

慌てて散乱したチョコレートを拾い集める篠宮サン。


いつ見ても賑やかで飽きない人だなと…

本来なら、和めるのに。






「…………」


相変わらずの鉄仮面。

一見、篠宮サンのドジっ振りに何ら反応を示していないように思えるが…





「そんなみないで~っ、恥ずかしいじゃんか~!」


篠宮サンがおどけたように、両手で顔を覆う。


その間も晃亮は、

身動きどころか瞬きすら殆どせずに。

篠宮サンをじっと凝視していた。







「ッ…晃亮、買い物は?」


さり気なく───…とは言い難い、

全く以て余裕の無い声音。

俺は二人を引き離すように、晃亮へと声を掛ける。


しかし晃亮は、さほど気にも留めず。

篠宮さんへの視線を解くと、

商品棚の方へゆっくり歩き出した。


俺も篠宮サンへ頭を下げ、それに続く。




背中越しに「ごゆっくり~!」と、篠宮サンの陽気な声が聞こえた。







午後という時間帯とあってか、

店内には多少なり柄の悪い同校の生徒がいたけど。

晃亮を見るなり、一目散に外へと非難していく。



お蔭で店内には不良2人と、店員の篠宮サンだけ。

流行りの音楽と、機器の駆動音だけが耳に付き纏い。


なんだか異様な雰囲気を、醸し出していた。







晃亮は商品を手にし、まっすぐ篠宮サンがいるカウンターへ突き進む。


これも最近では見慣れた、異様な光景のひとつ…。






「あはっこの飴気に入ってるね!」


ニコニコしながら、ポップな飴の袋をバーコードに通していく篠宮サン。





「あと、マルボ───」


「それはダメ~!!」


両手で大袈裟にバツを作る篠宮サン。

やはりこの人だけは、頑なだった。




いくら晃亮の本性を知らないとはいえ。

タッパもあってあからさま不良な晃亮に対して、この対応は…


むしろ尊敬に値すると、俺は思う。




それに普段の晃亮なら、こういったノリの冗談なんて通用しないだろうし…。

普通コンビニ店員に、こんな態度をとられようものなら。


間違い無く、瞬殺されている事だろう。






それがどうだ…?

相手が″篠宮サン″というだけで、何も危害を加える様子は未だ無い。


むしろ─────…

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