第4章 お茶汲み姫の憂鬱

第33話

 ミーンミンミンミン

 ジーッジーッジーッ


 くそっ、なぜセミの鳴き声はこんなにも夏を暑くするのだ。この暑い時期こそ、セミも鈴虫のようにリーンリーンと涼やかに鳴いてもらいたい。なんてのは、人間のエゴなのだろう。セミも子孫を残すという大きな使命の元、ミンミン鳴いているのだから仕方ない。


 でも……


「暑い、暑過ぎる。沙耶さや〜、暑いよ〜」


 床の上をのたうちまわりながら、絶叫している子供……いや、うちの屋敷神。コイツにはセミのように鳴かないといけない壮大な使命などない。この姿、この声に怒りすら感じる。


 そもそも神様は暑い寒いを感じるのか? コート着ている神様なんて聞いたことないから、感じないのだろう。ってことはあれだな、うちの屋敷神は廉価版神様なんだろうな。哀れだな、我が家の屋敷神 だいよ。


 メル○リに出品したら、五百円くらいか、いやイケメンではあるから千円はあるか。いやいや、購入後にセクハラエロ神である事が分かったら、間違いなくクーリングオフか。オークションに出すだけ損な神様。なぜ我が家の神様はこんなにもポンコツなのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る