第34話

「ママ〜」


 そんな不毛な事を考えていたら、我が家のもう一柱、座敷童子のたまがペットボトルの麦茶を引き釣りながら、ヨチヨチと歩いてきた。


 カワイイ、癒される。前言撤回、ポンコツなのは我が家の神様ではなく、大オンリーのようだ。珠の愛らしさプライスレス。元はアカン何とかっていうだったとは思えないくらい可愛すぎる。


「珠〜、ありがとう」


 そう言って、珠をギューっと抱きしめた。


「こら、珠。なんて事してくれてんだ」


 それを見ていた大が真っ赤な顔をして珠を怒鳴りつけた。私も珠も目が点だ。今の一連のやり取りで、珠が怒鳴られる要素が見当たらない。


「ちょっと、大。何を怒っているのよ」


「俺様のモノを勝手に触るからだ」


「はっ?」


「今、珠が顔を埋めている沙耶のオッパイは俺様のモノなのに、勝手に顔を埋めるな」


「私のオッパイは私のモノだ」


 思わず、かなりのボリュームで反論してしまった。近くに家がなくて良かった。なにより、私のこの決して大きくないオッパイ。しかも、左右の乳首がお互い外を向いているさよならオッパイ。そんなに価値があるとは思えないが、お前にくれてやった覚えはない。やはり、このポンコツエロ神、ネットオークションに出そう。

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