第32話

◇◆◇◆◇◆


「気持ちいいねぇ、玉」


 さっきの夜叉強襲の疲れからか、いつもよりお風呂の快適さが身に沁みる。私は、玉を抱っこするような形で湯船に浸かっていた。


「良かった、座敷童子になっても玉の事触れて。また頬をくっつけさせてね〜」


 アカン何とかって死霊から、なぜか座敷童子という神様になった玉。何が起こったのか全く分からないが、とにかく玉もここにいて、直に触れるままというのは何という贅沢。本当にかわいい女の子だ。


 玉は、私の膝の上に座らせている。太ももにあたる二つの大きな軟らかいものはお尻だろう。その少し前の方にささやかに二つ、私の太ももに当たるさらに軟らかい何か……。

…………んっ? 何だ、これ?


 ちょっとごめんねと言って、湯船から玉を引き上げて私の方を向かせた。


その距離わずか五センチ。私の人生でコレをこんなに間近で見たことはなかった。


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、なんで、なんで」


「どうした、また夜叉か」


 思わず叫んだ私の声を聞いて、大がお風呂場のドアを抜けて浴室に入ってきた。


「こ、こ、こ、こ、これ」


 両手で玉を抱えているため手でそのモノを示せないので、顎で指し示す。


「おう立派なもんだな。やっぱり、玉はキ◯玉玉の玉だったな」


 やはりキ◯玉。玉は女の子と信じて疑いもしなかった。だから服を脱がせるときにも全く気が付かなかった。思い込みは視覚さえ惑わせるのか。


「やっぱり、そうだよねコレ。ってことは、玉は男の子なの」


「いや、玉は女の子でいいと思うぞ」


「へ、どういうこと」


「玉を座敷童子にした神様に性別という概念がなくて、両性具有になったんじゃないかな」


「そういえば、天照大神あまてらすおおみかみとかより古い神様は性別がなかったって何かで読んだことがある。玉を座敷童子にしてくれた神様はなのかもしれないね」


「ママ〜」


 私は持ち上げていた玉をまた湯船に浸からせて、膝の上に乗せた。


「う〜ん、誤解されないように漢字は珠にしよう。これからは、一人と二柱だね、よろしくね、珠」


 それと……


「大ーーーー、なんでまたお風呂覗いてんのよ、このセクハラエロ神」



第3章 了

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