第30話

 光が徐々に弱くなっていく。

 そして、光が消えたその中に玉の姿があった。ただ、その姿はさっきまでより少し大きくなっているように思える。


「玉……なの」


「どうやら、沙耶を守ったことを徳として座敷童子ざしきわらしに転生したようだね」


「じゃあ、玉は生きているの?」


「うーん、生きているかと言われると微妙だけれど存在はしているよ」


 その時、うーーんっという声と共に玉の目が開いた。


「ママ」


 そう言って、起き上がりヨチヨチ歩きで私に向かって歩いてくる。玉、思わず抱き上げて、また軟らかい頬に自分の頬をくっつける。


「良かった、ありがとう、本当にありがとう」


 玉がここにいること、それが嬉しくて今度は嬉し涙が止まらない。そして、そのまま気絶するように意識を手放してしまった。

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