第25話


「本当なら人間に害する存在だから滅したいんだけれど、もともとアカングワーマジムンは間引きされたり、幼くして命を落とした赤児の霊だと言われてるんだ」


 大が複雑な表情で赤ちゃんを見ている。大は基本的に優しい。このアカンなんとかにも同情しているのだろう。


「ママ、ママ、ママー」


 そう言って私に手を伸ばす赤ちゃん。いろんな希望を持って生まれたはずなのに、その希望を掴む前に命を落としてしまった赤ちゃん。この子が悪いんじゃない。私は大から赤ちゃんを奪い取り、抱きしめた。


「大、ごめん。この子が悪霊や死霊でも、私はこの子を守りたい」


「沙耶ならそう言うと思った。おそらくそのアカングワーマジムンはまだ死霊になったばかりだと思う。まだ、人間だった時の記憶が残っているから沙耶が触れていると思うんだ」


「私、ちゃんとお供えするから、万が一の時はさっきみたいに守ってね」


「お供えがちゃんとされていれば、絶対守ってみせるよ」


「それと、そのアカンなんとか長いから名前つけようよ、たまなんてどうかな」


「股をくぐろうとするから、キ◯玉の玉か?」


「違うし。それに私の股にはキ◯玉はついていない。股をくぐるのがダメだから、またを反対にして玉よ」


「ああ、なるほど。しばらく見ないうちに、沙耶にキ◯玉が生えてきたのかと思ったよ」


 お前が滅されてしまえと思いながら、他のお供えも新しく備え直した。私の腕の中では、玉がニコニコと笑顔を見せている

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