第22話

「何かおかしくない?」


 大が何か話しかけてくるが、私はそれどころじゃない。私は赤ちゃんを抱っこしながら、その軟らかいほっぺたに自分のやや乾燥した頬を押し付ける。


「ああ〜軟らかい。何時間でもこうしていたい」


「あ〜〜〜〜、俺もそれやって欲しい。くそっ、子供じゃなくて赤ちゃんの姿にすれば良かったのか」


「やるか、バカ。このセクハラエロ神」


 いや、仮に赤ちゃんの姿になっても大は生身の人間を触れないだろうが。忘れたのか、自分の特性を。あまりにエッチなことばかり考えすぎて、ついに脳が腐ってきたか。そのまま無視を決め込んでいると、少し苛立った声が聞こえてきた。


「ねえ、沙耶ってば。水は、お供えの水は」


 あっ、そういえばお水を変える途中だったんだ。大のこともないがしろにしすぎると後々うるさいからな、取り替えてやるか。


「ごめんね、ちょっとここでお利口にしていてね」


 私は優しく赤ちゃんを床に下ろして、神棚の水を替えようとしたその時、赤ちゃんが私の方にハイハイをしてきた。


「危ないから、そこで待っていてね」

「危ない、沙耶」

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