第21話
仕方がない、水だけでも備えてやるかと神棚に向かった時に玄関の呼び鈴が鳴った。来客の予定はないし、何かの勧誘か訪問販売かな。そう思いながらドアを開けると、
「沙耶、久しぶり」
そこには、赤ちゃんを抱いた旧友の姿があった。
「久しぶりだね、ってあんたその赤ちゃん」
「うん、私の子。今十ヶ月なんだ。かわいいでしょ」
かわいい。可愛すぎるぞ。大も美形だが、この子もかなりの美形だ。二重の瞳はキラッキラしていて、まるで宝石のようだ。
「キャッキャッ」
笑った、私を見て笑った。ダメだ、キュン死しそうだ。私も赤ちゃん欲しい、今すぐ欲しい。ああ、でもその前に彼氏を作らないと……。
「でさ、今から実家に行くんだけれど、ちょっと訳ありでこの子を連れてはいけないんだ。親に見せる訳にはいかないんだ。でね、沙耶、お願い。少しの間でいいからこの子、預かってくれないかな」
マジですか。
この超絶かわいい赤ちゃんを預かれるなんてラッキーだ。
「いいよ。預かってあげる。久しぶりだろうから、実家でゆっくり話してきなよ」
「ありがとう、沙耶。これ替えのオムツ。じゃあ、よろしくね」
そう言って旧友は、赤ちゃんに一言二言告げて私の家を後にした。
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