第13話

 はいーーーーっ。

 なんでこの女性、私に向けて大きく口開けてんの。

 なんで牙生えてんの。

 ちょっと、ツッコミどころありすぎるんですけれど。


 って、「ウギャーーーーーッ」


 ヤバいヤバいヤバい

 突っ込んでる間に、逃げる隙無くしたし。

あまりの怖さにちょっとチビってしまったし。


「シャーーーーッ」


 あっ、食べられる。森沙耶、終了のお知らせが流れてる。くそう、せめてイケメンとあんな事やこんな事してから死にたかった。


 ドガンッ


「おい、僕の沙耶に何してくれてんだ」


 この声、「大っ」


「大丈夫か、沙耶。僕がコイツを何とかするから、沙耶は家に入っていて」


 おお、やはり屋敷神、守り神だ。ありがたい、早速逃げさせてもらおう。頼んだ、我が家の屋敷神大よ。


 無事に家の門をくぐって、顔だけ出して道路の方を覗いてみる。


「おうっ」


 大の作務衣がところどころ破けている。嘘、神様なのに苦戦してんじゃん。ちょっと待て、このまま大が負けたら私のところに来ちゃうじゃん。まずい、それはダメだ。

「大ーーっ、頑張ってーーっ」


「分かってるよ、コイツ意外と強い妖怪だよ。子供の姿では勝てなさそうなんだよ」


 そう言って、一瞬眩しい光に包まれた大は本来の超絶イケメンの姿になった。相変わらずカッコよすぎる。眼福、眼福。

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