第12話
◆◇◆◇◆◇
「うーん、昨日の御札、効果はあったんだけれど結局大人になった大に破られちゃったからなぁ。次はどうしようかな」
トイレを我慢しながらのアルバイト帰り、心の声がダダ漏れだが全く問題ない。私の家の周りは少しさびしい環境で、人とすれ違うなんてこともあまりないのだ。なんなら、鼻歌を歌いながら歩くことも可能だ。なので、さっきみたいに独り言を言いながら歩いても全く恥ずかしくない……はずだった。
「んっ」
目の前に誰かうずくまっているぞ。若い女性に見えるけれど、こんなに近くに來るまで気づかなかったとは、相当真剣に大の覗き対策を考えていたのか。それより、大丈夫か、この女性。
「あの〜、大丈夫ですか?そこに見えている門が私の家なので、もし辛かったら休んでいかれますか?」
女性の横にしゃがみこんで声を掛けてみたけれど、女性は荒い息使いを繰り返しているだけで私の問いには応えない。相当具合悪いんじゃないか。
「え〜と、大丈夫ですか。お水とか持ってきましょうか」
ヤバい、どうしよう。反応がないけれど、話しかけちゃった以上今更ほっておけないし。うーん、どうしよう。
「クッ」
「えっ、なんですか?」
「喰ワセロッ」
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