小噺 小説の飛ばし方

 小説は何処まで遠くへと行けるのか。と問われれば、聖書までと答えます。

 小説を遠くへと運ぶのは、その周辺の環境こそが重要です。別の言い方をすれば、文化を作れるかどうか。それは、作品の質とはまた違った要素です。マーケティングが重要だ、と身も蓋もない結論へと至るわけですが。

 物語の再生産が継続的に行われるかどうか。物語の再生産とは、例えば二次創作やファンアートなどを思い浮かべて頂ければ良いかと思います。または、感想でも良いですが。作者以外の人間が関与して、小説は初めて遠くへと運ばれると考えています。

 この点で言えば、ウェブ文学だと毎日チクショーが面白いです。荒唐無稽にして、ある種の文化体系を作り上げています。


 物語の消費のされ方は、まずは属人的な個性として認識され、それが広まり多くの人が扱える技能となり、さらには引用すれば箔が付くような古典へと変わります。

 日本語文化圏であれば、落語が最も発展していると思っています。落語ほど古典を再生産する文化があるのだろうか。時代に合わせて語り継がれる文化体系を持った落語に小説は立ち向かえるのだろうか。

 

 身も蓋もない言い方ですが、作品単体で小説が遠くへと行けるとは思っていません。企画の趣旨に反しますが、偽らざる本音です。

 逆説、読者であるがその小説に価値を見い出すしかないのです。要するに、この企画の裏テーマは投稿者よりも評議員に課せられた物であると解釈しています。

 と、述べましたが、気負ってやる気もないです。気楽にやります。ごめんなさい。

 

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