第2話 能力
「では、お前の能力を見てみるか」
女神様は俺の頭に手を置き、目を閉じた。
俺はまだ気持ちが追いつかず何を言っていいのかわからない。
数秒間、沈黙が訪れる。
「よしでた。どれどれ……"超展開スキル"? 初めてみるな……」
能力は女神様が与えてくれるものではないのだろうか?
聞いていた話とは少し違うようだ。
「クラスは……Sか。良かったな」
「エ、エスっ!?」
一年に三人ほどしか出ないと言われるSランク。
まさか自分がなれるとは思わなかった。
「それで……もう終わりだが。我に言いたいことがあるのであろう?」
「……えっと、はい」
バレていた。
思えば相手は神様、俺の思っていることなどすぐわかるのだろう。
「……な、何故、今の世の中がここまで酷くなってしまったのですか? 絶えず続く人族と魔王軍との攻防。他種族間の差別、戦争。そして近頃頻繁に訪れる魔力災害……神の書に書かれている通りだと女神様はこの世界のことを第一に考えていると……昔から災いが起こると必ずすぐ助けてくださった。と、書かれていました。……あ、あの記述は嘘だったと言うことですか?」
言葉が思うようにまとまらない。
何を言いたいのか、もし女神様がいれば言いたかった言葉がいくつもある。
ずっと考えていたのに……。
最後の方はほとんど聞こえないほど、声が弱くなってしまった。
「……」
お怒りだ……。
神に向かって俺は何で口を……今更、そう思った。
「まず謝罪を。我ら
「!?」
「何とか現実世界との繋がる方法を見つけたが、それは夢の中という限られた時間のみ。やっとここ十数年でその者の生まれた時から持っている能力を覚醒させる程度にはなってきたが、未だに我らが直接、現実世界に干渉する方法など一つもないのだ」
神を封印……言葉が信じられなかった。
神を封印できるものなんて、この世にいるはずがないからだ。
「よろしいのですか? ここまで俺に教えても……その様な話は聞いたことがありません。秘密のことなのではないでしょうか」
「良いとも、貴様は少しばかり特殊だ。この話をしても何故か記憶が消えぬ。そして未来が全く見えぬ。その能力のせいだろうがな……」
その言葉と共に女神様の体がぷつぷつと透けていく。
「え、女神様!?」
「すまぬ、時間だ……ではまた今――」
***
「女神様っ!!」
起きるとそこはテーブルの上だった。
どうやら、うつ伏せて寝ていたらしい。
「夢……だけど現実……か……」
***
コンコン……
「入りたまえ」
「失礼します」
すぐ学校に行き、俺は校長室を訪れた。
目的はもちろん能力の確認だ。
校長……ライオス・バーメール。
数々の伝説を残した戦士の一人らしい。
魔王軍の部隊を丸ごと一人で全滅させたり、魔王軍幹部クラスを二人同時に葬ったと本当かどうかわからない噂が多々ある校長だ。
俺は嘘をつくと電撃がはしり、ほぼ瀕死状態になる魔法をかけられた。
それほど個人の能力情報は厳密に扱われる。
それは過去に嘘の能力を言い、結果大犯罪を犯してしまった者がいるからだ。
「ふむ……"超展開スキル"……か……それにその女神様の話……」
でも俺は何となく嫌な予感があった。
この校長は好奇心の塊、つまり
「面白い……ランクS! しかも未確認の能力とは!! よし、この後お披露目会をするぞ!!」
……やっぱこうなるよね
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