俺の祖父は創造神 ～管理する世界でのんびり過ごす現人神～

第8話 初めての依頼

『おはようございます。朝になりましたよ』

『おはようナビリス』

　今俺が居る大陸の反対側を観察してたら、朝になってた。この世界全体を見てみたが、他の世界に比べて大差は無かった。良くも悪くも弱肉強食の世界。それより、ランキャスター王国より遥か北に素材が豊富な無人島を見つけた。暇な時にその無人島を買って、城でも建てよう。我ながら良いアイディア。

　ベッドから降りて昨日とあまり変わらない服を着て適当な床に転がってたコンバットブーツを履いて、食堂に向かった。席は意外と空いていたので適当なテーブルに座り、ウエイトレスを待った。

「おはようございますショウ様！今日もいいお天気ですよ！」

　席に座った一分もしないうち、昨日と同じウエイトレスがニコニコしながらオーダーを取りに来た。スンゴイ笑顔だ。余程昨日のチップが嬉しかったらしい。

「ブレックファーストは何にされますか？」

　彼女が持ってきたメニューを開きこちらに見せてきた。前も同じ事を言ったが、何が美味しいか全く分らんよ。

「んーそうだなぁ。それじゃこの、バーナード卵のスクランブルエッグに、アングリーカウのベーコンに、ミルクティーを一杯貰おうかな」

　アングリーカウは何となく分かるが、バーナードは知らない。まあ昨日同じ素材を作ったオムライスは美味だったし、外れじゃないだろう。

「畏まりました。少々お待ちください。」

　五分もせずに俺が頼んだ朝食が来た。ここのシェフは腕を八本でも持っているのだろうか。

「お待たせしました。スクランブルエッグと、ベーコンをどうぞ」

　一つの皿を目の前に置き、最後にガラス製のカップに入ったミルクティーを置いてくれた。

「ありがとう。それと、これで好きな服を買うといいよ」

　そう言って金貨１枚をチップとして渡した。

「はい！ありがとうございます！あの～これお礼です…」

　彼女がお礼として、右頬にキスをしてくれた。

『……』

ナビリスの無言が怖い…。意外と嫉妬深いんだな。

「はは、ありがとう。おかげで今日も頑張れるよ」

　ウエイトレス顔を赤くしながらキッチンに戻っていった。料理も美味しかった。

　今日も冒険者ギルドに寄るため、ホテルのような宿の入り口を開けた。

　入り口から出ると軽快な日光を全身に浴びる。朝日が眩しくて、眉間の辺りがこそばゆい。インベントリからサングラスを取り出そうとしたが、周りから奇妙な目で観られると確信したので、辞めた。

　目を細めてギルトに向かう何の防具を着けてない、只のロングソードを装備した青年に、結局周りから変な目で見られた。気にしないが。

　開けっ放しの扉を潜ると、俺が入って来た瞬間今まで騒がしかった雑音がピタッと止んだ。そのままＦランクＥランク専用の掲示板に向かうとソレに沿ってさっきまで依頼を取り合ってた他の冒険者たちが波の様に道を開けてくれた。

　うむ、苦しゅうない。

　適当に二枚の依頼書を剥がしてそれを丁度空いてた受付に持っていった。ふと、目線を少し上げるとそこに昨日登録手続きをしてくれた、金色の狐耳がとてもチャーミングな美人受付嬢ベラが受付で座っていた。

「あ、ショウ様、お、おはようございます。今日はどのようなご用件で」

「おはよう、今日はこの二つの依頼を受けようと思ったんだ」

　そう言って笑顔が引きつってるベラにさっきの掲示板から適当に剥がした二枚の依頼書を受付に置いた。

「えーと…そちらの依頼は常時討伐依頼になりますので、依頼書を剥がさなくても、指定された魔物や薬草を納品してもらえば達成とみなします。…ふふ」

　受付に置いた依頼書を見たベラに少し笑いながら教えてくれた。お蔭で表情は少し軽くなったみたいだ。

「そうなんだ、あはは。それじゃその常時討伐依頼を受けてくるよ」

　手を頭の裏にやりアホっぽく笑う。

「うふふ、ショウ様なら何時かドラゴンでも楽に倒せそうですけど、今日登録したばかりですか、何か分からない事がありましたら、是非質問してください！」

「ああ、そうするよ」

　それから数分だけ話して、依頼書に書かれてたゴブリンと、ボアーファングを討伐に向かった。

　門番に仮身分証を返し、門を出ると神眼を発動させ、その場所へ歩き始めた。本当なら転移か、飛行を駆使して、一瞬で行きたかったが、ギルドに出てから後ろを付けられてるので、ゆっくりと進んでいく。

　神眼を使い、数百メートル先にゴブリンの集団を確認し、のんびりとした速度で森を抜けていく。

　目的地に段々近づき、ゴブリン達の状況を伺うと２０匹程の集団で動物を食事してるところだった。中には、ゴブリンメイジとゴブリンリーダも混じっている。

　しかし俺は慣れた動作で、昨日買った剣を抜いた。向こうも気配に気が付いたようで、こん棒は、錆びた短剣や、ショートソードを構え、こっちを威嚇してきた。

「グギャグギャギャッグギャ」

　叫び声を上げながら、向かってきた。

　振りかぶってきた錆びた短剣を避け、バランスを崩した瞬間首を刎ね、そのまま横に一回転しながら他の五匹の首を同時に刎ね、まるで準備運動かの如く全ての首を刎ねた。

　その瞬間を目撃してる男達がいた。昨日、俺にボコられたチンピラとその集めたパーティーだった。前回のあれで懲りていないのか？ならば、仕方ない。

「おい…あのガキ昨日冒険者に成ったばかりだろ。本当に勝てるのか？」

　昨日あの時ギルドに居なかった男が、確認した。

「ああ！間違いねえ！あのクソガキはたったレベル１０の雑魚だ！ありゃあ単にまぐれだ。びびってんじゃねえ！！」

　どうやら、やっと尾行してた奴らがこっちに向かって来た。人数は８人、全員の思考と過去を確認したが、全員悪党だ。どうやって町に入れたのか尋ねてみたい。

「ん？こんなところまでどうしたの？ちゃんと壊した罰金払った？」

「っくそ！！お前のせいで金がなくなっちまったよ！あんときお前が変な事したせいで！くそ！殺されたく無ければここに有り金全部置け、そしたら半殺して許してやるぜ！」

　武器を構えながらニヤニヤした表情で脅してきた。は～面倒くさい。

「来世に幸運有らんことを」

　そう言い、一瞬でチンピラどもの背後へ移動し、一振りで８人の上半身と下半身が切断されそのまま倒れていった。少し付着した血を生活魔法「クリーン」で綺麗にし。剣を鞘に戻した。

　それから、ゴブリンの耳を純オリハルコンの短剣で切り取り、創造魔法で皮袋を造り、そのまま皮袋の中に入れた。そして、切り取ったゴブリンと、チンピラ達を一か所に転移させ、火魔法で綺麗に燃やした。

　それから程なくボアーファングを見つけ。そのまま剣で首を一閃した。提出部位である、牙を手で引き釣り出して、皮袋に入れた。ボアーファングの肉は結構美味かった。ソレを五回繰り返してオーウェンまで戻り、ギルドカードを見せ門を潜っていく。まだ昼前だったので、途中でドーナツ屋に寄り道して、美味しそうなドーナツ三十個程購入し、ギルドに戻った。

　ギルドの中は先程に比べると空いていた。受付にベラが居たのでそこに並んだ。

　俺の番になり、ベラは気がついてくれて微笑んでくれた。

「ショウ様お帰りなさいませ。早かったですね」

「集団で行動してたから楽だったよ」

　そう言い肩に掛けてた皮袋からゴブリンの耳、ゴブリンメイジの耳、ゴブリンリーダーの耳、そしてボアーファングの牙を取り出した。

「えーと…この短時間でこれ全部倒したんですか？…マジ？」

「ああ、運が良かったよ」

「運って…まあいいです。それより依頼ご苦労様。これで、ポイントが貯まったのでＥランクに昇格出来ます。ギルドカードをこの水晶の上に置いてください」

　もうランクが上がった、速いな。

　ベラに言われた通りにギルドカードを口の形をした水晶の上に乗せると。ベラが何かし始め、最後にスタンプらしき物をぺったんと押した。

「はい！これでショウ様はＥランクに昇格しました！これからもどんどん昇格していって下さいね！」

　Ｅランクに昇格と同時にベラからのウインクも貰った。

「はは、出来るところまで、頑張るよ」

「応援してます！…あ、それとこちらが、新しくなったギルドカードと依頼分の報酬金になります」

　ベラから新しくなったカードと報酬を受け取った。銀貨８枚と銅貨５枚。途中で買ったドーナツより安いが、こんなもんだろ。

「っお、ありがと。それとここに来る途中、美味しそうなドーナツ屋さんがあったからこれ皆で分けてね」

　ベラにドーナツ３０個入った箱を渡した。

「っ！これってシュテルンドーナツ屋のドーナツじゃないですか！？私大好きなんですけど、高くてそんなに買えないんです。ほ、本当にいいんですか！？」

　凄い食いつきだ。喜んでもらえて良かったよ。

「勿論いいよ。一杯入ってるから、他の従業員にも分けてやってくれ」

「はい！ありがとうございます」

　俺がギルドから出た後、受付嬢達の戦いがあったとか無かったとか。