第22話・生き別れの妹!?

 ベルノがウチと見間違えるということは、他にも猫人がいるのか? 


「まさか、ウチの生き別れの妹がここに⁉」

〔八白亜紀、あなたは一人っ子のはずでは?〕

「言ってみたかっただけや。流しといてくれ~」


 なんにしてもこれは確認に行ったほうが良さそうだ。『転生者は一人だけ』なんて女神さんは言ってなかったし、いつも必要なことを忘れてて言わないから自分の目で確かめないとな。


「ティラちゃんとプチちゃん、ベルノはここに残って~。もし恐竜さんがいたらチョコよろしく!」

「おう、まかせろ! 強え~やついるかな?」

「やさしくね、やさしく。武器は使わないで、やさ~しくよろしく!」


 ……頼むから頭突きとかしないでくれ。


「ルカちゃんとキティちゃんは一緒に確認に行こう」

「了解っス!」

「もし何かあったら、それぞれプチちゃんとキティちゃんが伝令役って事でよろしく!」


 うむ、これで完璧。ウチもリーダーっぽくなってきたじゃないか。


〔ところで捕獲したラミアはどこに?〕

「捕獲とか言うなよ。ミアぴ(ラミア)はもう仲間だってば」


 “ミアぴ”というのは俗に言うギャル語での友情表現だ。ラミアに合わせて話をしていたら、いつの間にかお互いを『亜紀ぴ』『ミアぴ』と呼ぶことになってしまった。正直言うと、滅茶苦茶恥ずかしい。……ウチ、中身はアラサーなんやで。


 ラミアには魔界とつながる転移門の状況を見に行ってもらっている。“魔王軍の動向を探てもらう”とまではいかなくても、現状の把握はしておいた方が良いと思ったからだ。女神さんは『魔王軍を連れてくるのでは?』と言っていたけど、ラミアは裏切る様な性格ではないと思う。それはミノタウロス達も同じだ。

 ラミアに転移門を見に行ってもらったのにはもう一つ理由があった。タイミング良ければミノタウロス達と合流できるかもだし、そしたらウチ達の拠点の場所を教えておくことが出来るからだ。『うまくいけばこっちに引き込めるかもしれない』という打算や下心がちょっとは……いや、半分くらい……まあ、80%くらいあった事は言うまでもない。


ミアぴ(ラミア)は大丈夫だよ」

〔まだそんな事を言っているのですか。さっさと殺っておしまいなさい!〕

「殺らないって。地球を守れとは言われたけど、敵を殺せとは言われてないぞ」

〔そんな詐欺師みたいな事を……〕

「え~、詐欺女神がなんか言うとる~。ウチはウチのやり方で地球を守る。それでいいじゃん。意味もなく殺すとか“なしなしのなし”やで!」

 

 と、詐欺女神さんと会話していたら、そろそろベルノが言っていた場所に着きそうだ。この辺りは木々が密集し生い茂っていて視界が滅茶苦茶悪い。太陽の光が届いてなくて、薄暗い上に足元はジメジメしていた。


「――姐さん、下がるっス!」

「え……どした?」


 と言いつつも、ルカの異様な雰囲気を感じ素直に下がる。やはりこのも戦闘民族、危機管理能力は恐ろしく高いのだろう。なにかを察知して警戒を強めていた。

 恐竜人ライズ達は皆こういう“突出した能力”を持っているから、ウチはそれを最大限に引き出してあげられるようにしなきゃだ。


「出て来るっス! 隠れていても臭うっスよ!」


「……ちっ、鼻が利く奴がいたのか」


 正面の木の陰から出て来たのは猫耳しっぽ。間違いなくウチと同じ転生者だった。






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