第2話 ゲームの神、ツールを作る
(あ、れ?ここは…?)
目が覚めると、見知らぬ森にいた。
(確か、昨日はNWCをやっていて…)
昨日の寝る直前のことを思い出す。
(あ!まだゲーム閉じてない!)
その事に気づき目が覚めた彼は、パソコンを探して飛び起きる。だが、目の前には森が広がるばかりである。
「………え?」
少しの思考停止。そして彼は、目の前のことは現実だとは思えなかった。
(夢?夢か?)
彼は夢を見ていると思った。そして、夢の中で夢だと気付いたら何でも自分の自由に出来るとテレビで誰かが言っていたことを思い出した彼は、普通は出来ないことをやりたくなった。近くの木まで歩いていきーーー
「はああぁぁぁ!」
と、気合を入れて木を殴る。
ゴツン!
硬い物にぶつかった様な音が鳴った。木はびくともしていない。
「ーーーっっってえええええぇぇぇぇぇ‼︎」
…ゲームの神の叫びが異世界に響いた。
ーーーーーーーーーー
「夢なのに痛さは感じるのか?」
痛さから立ち直った僕は考える。服は、橙色のシャツに青緑のズボン、黒の靴だった。
(待てよ。なんだ、俺のこの服。NWCの初期装備みたいだ。)
NWCの初期装備は色がランダムで決められるから大体ダサいので一目で分かる。そして、木に触った感触や自然の匂い、更にさっきは痛みも感じた。それって…
(まるでNWCの世界に来たみたいじゃ無いか!)
冷静になった僕はそう結論づける。
(それって……それって……!)
「……最高じゃん!」
興奮し過ぎて、つい呟いてしまった。あのNWCの世界に来れるなんて!
「っと、そうだ。持ち物は……無しか。」
初期装備を着ていた時点で期待はしていなかったから問題ない。どうせならいつも使っていた世界に行きたかったな、とも思ったが、まぁ仕方がない。それに、序盤を攻略するのも楽しい。と言うより、序盤は一番ワクワクする!
「先ずは『木の枝』だな。」
序盤は「木」と「石」が大事になってくるのだが、その中でも「木の枝」は最重要アイテムである。これを持ち手にして、最初の「ツール」を作るのだ。
「ん?」
「木の枝」集めている最中、ふと顔を上げると川が流れているのを見つけた。近づいて覗き込んで見ると、川にはクリフの顔が映っていた。
(僕はクリフになっていたのか。)
まぁ、前世の自分よりクリフの方がカッコいい。僕は喜んで自分の姿を受け入れた。
次いでに顔を洗う。冷たい。水の感覚がリアルだ。
…マジでNWCの世界に来たんだな。
「ふぅ…。よし、やるぞ!」
もう一度気合も入れたし、作業再開だ!
ーーーーーーーーーー
「こんなもんかな。」
いい感じの「木の枝」が数本と「蔦」も回収しておいた。次は石だ。
「お、いい場所あるじゃん。」
近くに大きな岩場があった。付近には小さな石がいっぱい転がっていた。僕はその中から平べったくて少し大きい石を選んで手に取る。
「ん?これは……!」
次いでに、序盤にあれば嬉しいあるアイテムを運良く見つけられた。それをしまったら、さっき拾った「平べったい石」を「木の枝」に「蔦」で括り付ける。
「できた!」
石製の斧の完成だ。…だが、これではあまり役に立たない。序盤の物だからな。だからコイツに簡易的な魔法を付与する。
「これを拾えたのは運がいいな。」
さっき拾った青い石を取り出す。これは「
「取り敢えず、『耐久上昇』でいいだろう。」
「耐久上昇」とは、その名の通り物の耐久力が上がる。これにより、こんな粗末な斧でも、暫くは壊れないで使うことが出来る。やはり、直ぐに壊れては困るからな。この
台はなんでも良いので、大きめの石の上に斧を置く。
「そうだ。一度魔法を使わないと。」
NWCでは一度簡単な魔法を使うことで、魔法の要素が解放された。ゲームと勝手が違うけど、取り敢えずゲームの時の真似をしてみようかな。
「確かこんな感じで…『
手を突き出して魔法名を唱えると、手が魔法の光を放つ。成功したようだ。「
「お?」
魔法を使ったことで、身体の中に何かが巡っていることに気がついた。
(なるほど、これが「魔力」か!)
「魔力」とは、生物が持つエネルギーの一つである。これを消費することで魔法を使うことが出来る。ゲームでは、魔法を初めて使うと「魔力」の要素が解放され、「攻撃魔法」、「生活魔法」、「簡易魔法陣」などが解放される。その内の一つに、今回使う「簡易魔法付与」がある。
因みに、
「今度こそ魔法の付与だ。」
僕は斧に向き直る。
「『簡易付与:“耐久上昇”』!」
斧を手に取ってみる。見た目や持った感じは変わらないが、魔力の反応を感じる。
「よし。成功だ!」
これでこの斧を暫く使い続けられる!
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