そのゲームで「神」と呼ばれし男、ゲームの世界で自由に生きる。
けー(ねこ)
第1話 ゲームの神、異世界へ
「グオオオオォォォォォ……!!!」
大きな断末魔をあげて巨大な竜が倒れる。それは、最近追加された、竜種の中でも強大な力を持ってると言われた竜である。それが今、一人の男の前に敗れたのだ。
「ふぅ…こんなとこか。」
竜とは逆に淡々と感想を述べた男ーーー名はクリフと言うーーーは、このゲーム「
このゲームは、プレイする人それぞれに「世界」が与えられる。その世界では、他のゲームと同じく、単に敵を倒してお金を稼いで生きていくことも出来る。また、友達を招き入れて、共に生活することもできる。他のゲームと違うのは、武器や道具、畑、道、家、魔法さえも、組み合わせる事で自分で作ることが出来るのである。その為、自分で街や国を作る人も居れば、畑を作ってのんびり自給自足する人等、色んな種類の人が集まるゲームになったのであった。
そんな人が集まっている中でクリフは全ての面で有名なのである。クリフは、このゲームが出来たばかりでまだ無名のゲームだった頃からプレイしている、所謂「古参」プレイヤーである。その頃は、まだ甘え要素ーーー最初から何か良いアイテムを持っていたり、製作の効率が上がるモード等のことーーーが無かった。強くなるには、努力と知識と工夫が必要だったのである。
そんな中彼は、持ち前の建築センスと工夫と努力で、「建築」だったり、「素材採取」だったり、「討伐」だったり、「魔法」だったりと、幅広い分野で他のプレイヤーのお手本になる様なプレイヤーだった。その為、全てのプレイヤーに「神」と呼ばれている。今、沢山の人がこのゲームを楽しめているのは、彼のお陰と言っても過言では無いかもしれないのだ。
そして彼は今、この強力な竜の簡単な討伐法を探っていたのである。
「結局、最初に試した『魔法』で倒す方法が一番速かったか。」
予想通りと言った様子でクリフは言う。彼の今の姿は緑のつなぎに厚手の手袋、安全靴、ヘルメットを装着している。竜の素材と、この竜が追加される前から用意していた、『この竜専用の魔道具』を回収用の魔道具を使って回収し、この日は帰宅することにした。
「うん。全部回収したかな。」
忘れ物が無いことを確認すると、腰に付けていた小さな魔道具を一つ取り出すと、上に放り投げる。すると、魔道具が淡い光を放ち、彼の立っている地面を中心に魔法の光を放った。その光は、クリフを飲み込んで消えた。
ーーーーーーーーーー
「ただいまー。」
自宅のドアを開け、誰も居ない家に向かって帰宅を告げる。灯りは家に入るとひとりでに付いた。勿論、この家はクリフのお手製である。広くもなく、狭くもない。質素ながらも、隅々まで工夫が施されたその家は、クリフの最高傑作と言える。
「戦利品を整理して、今日は終わるか。」
と言い、近くの壁の色の違う部分に魔力を込める。すると、付近の地面が揺らいで消え、地下への階段が現れる。そこを降りると、良く整頓された倉庫の様な場所が広がっていた。階段近くの台座に回収用の魔道具から戦利品を取り出すと、台座に刻まれた魔法陣が光を放ち、戦利品を飲み込む。すると、奥の倉庫でゴトゴトと何かが落ちた音がした。装置の動作を確認して、クリフは満足気に頷いた。
「次いでに着替えてくか。」
そう言うと、ある装置の元へ向かった。周りには、幾つもの種類の装備がカプセルに入って並んでいる。中央の空間に立つと、足元の魔法陣が光り、クリフの装備を光で包み込む。同時に近くの一つの装備が光の粒になって吸い込まれる。クリフが身に纏っていた光が弾けると、クリフは、カプセルに入っていた、白のパーカーと淡い青のジーンズに、灰色の靴を履いていた。さっきまで着ていたつなぎ等は、他の装備が入っていない空のカプセルに入っていた。カジュアルな格好だが、良い素材と使っているだけでなく、出来が良いものになったので、そこらの普通くらいの装備よりも強い。
「やっぱりコイツが落ち着くな。」
そう言い残し、クリフは階段を登る。
「ふああぁぁ……。」
大きな欠伸をしたクリフ、と言うより、クリフを操作する人物はクリフをベッドに潜り込ませる。そうする事で、体力を回復し、個別でも行えるがセーブもすることが出来る。
「眠い…」
そう言うと、ゲームを閉じる前に眠りについてしまった。
そして目が覚めると………
目の前には、見覚えの無い森が広がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます