第36話 戻された二つの意識

 女帝幽霊の瑠香るかとみーこは、瑠香が生きていた時代から時空を超えて、二体が元々居た時代の霊界『Right Cosmos』に戻ってきた。

 これから、瑠香の『顕在意識』と『潜在意識』を入れ替える手術が行われる。

 瑠香は女帝としての数百年に及んだ研修を終え、人間を含む生命の幸せを本心から願う人格へと変貌した。

 女帝幽霊の瑠香は、霊体を透過しない特殊な担架に乗せられ、霊体を透過しない手術台に乗せられ、瑠香は眠らされた。

 電気的刺激でショックを受けたりしないように厳重に配慮された。

 瑠香の元『潜在意識』である現在の『顕在意識』と、元『顕在意識』である現在の『潜在意識』が入れ替えられた。

 手術の後、意識が安定するまで、瑠香は安静にさせられ、横たわっていた。


 「これで、この地球のありとあらゆる生命体に幸福が訪れ、生き物たちは争うことをやめ、無駄に他の生命を傷つけることをやめ、世界は平和になってゆくのですね。瑠香様、お疲れさまでした。そしてこれから五千年もの間、地球環境をお守りください。宜しくお願い致します。」

 みーこは瑠香に手を合わせ、『潜在意識』の『浄化』プログラムの労をねぎらった。


 瑠香の『潜在意識』は見事に『浄化』した。

 瑠香は、『慈愛』に満ちた、世界最上の美しい心を持つ女帝へと生まれ変わった。

 瑠香は晴れて、恒久平和を目的とする、太陽系の惑星のひとつである地球の女帝となった。


 その後も、霊界の『Right Cosmos』から地球上の生命体全てを見通すディスプレイの前で、幽霊の戦闘部隊や記憶解析係や生前経験分析係などが活動して、地球の平和を維持していた。

 生まれ変わった女帝瑠香への協力を申し出る幽霊は後を絶たなかった。

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