第33話ロリの夜は相変わらず辛し
「お兄ちゃんの馬鹿。わたしはまだまだ友達と買い物を楽しみたかったのに」
「いや、無理だろ。もう。お前の今の体じゃ」
「体の事は言わないでよ」
自分の体が縮んだ事を気にしている零はそう反論するが、こんな幼子になった妹にこれ以上、夜歩きをさせる訳にもいかない。
「言っておくけど、わたしはお兄ちゃんと一緒に寝たりなんかしないからね」
「最初の晩は一緒に寝ただろ」
「そ、それは……まだ幼い体に慣れていなかったからで……」
一人で寝るのが怖くなったから一緒に寝てくれとか言っていたぞ。
幼い体に慣れていないも何もあるのだろうか。そうは思ったが下手に突っ込むのも藪蛇になりそうな気がして俺は黙っている事にした。
「うう、家に帰るとまた色葉にからかわれるのね……真澄もからかってくるかもしれないし……」
「色葉はともかく真澄は昼間の真澄が小さい体になっている時にお前がからかったせいだろう」
「そ、そうかもしれないけど……」
やったからにはやり返されるのが当然だ。
因果応報。真澄も意趣返しをしたいと思っている事だろう。
そう思っている内にバスは家の近くのバス停に停まり、俺たちはバスから降りる。
幼い体の零を置いて行かないようにゆっくり歩く。
昼間、真澄とコンビニに行った時もゆっくり歩いているつもりだったのだが、幼い体の真澄を置いてけぼりにしてしまった。
その反省かかなりゆっくり歩く事にする。それに零はなんとか付いてこれているようであった。
家に帰ると真っ先に玄関に色葉が飛んで出て来た。
「おかえりなさーい。総司お兄ちゃん。それに零ちゃん♪」
「ああ、ただいま」
「ただいま……色葉、その目は何?」
「いやぁ、小さくなった零ちゃんってやっぱり可愛いなぁ、って思って」
「子供扱いしないでって言っているでしょう」
そんな零の頭を色葉はよしよし、と撫でる。
零はなんとかその手を振り払い、子供用の靴を脱ぎ、中に入る。俺は回収していた、零の大人用の靴を鞄から取り出し、下駄箱にしまう。
「零、小さくなっている、可愛い」
リビングに行くと大人の姿に戻った真澄が零を見て、そんな事を言う。これに大いに零は反発する。
「こう見えてもわたしは大人だから!」
「私も昼間はそう主張したよ?」
「うぐ……」
やはり因果応報。昼間散々、小さな体になった真澄を子供扱いしてからかったツケを払わされているのだ。
「零ちゃん。子供が起きているにはもう遅い時間ですよ。早く夕食を食べてお風呂に入って寝ないと」
「あんただって、中学生でしょうが……」
「小学生と中学生には大きな壁がありますよ。あ、お風呂は今日も一緒に入ってあげましょうか?」
「結構よ!」
どうやら色葉が作ったのか食卓には夕食が並んでいた。
色葉と真澄は既に食べ終わっているようだ。
メニューは……唐揚げか。
冷めてしまっても電子レンジで温めれば本来の味に近い味を取り戻す料理だ。
なんだかんだでいつ帰るか分からない俺や零の事を色葉も気遣ってくれたんだな。
指摘しても多分、認めないと思うが。俺はキッチンに立つと唐揚げを電子レンジに突っ込み、味噌汁をコンロで温め直し、炊飯器からご飯を茶碗に盛り付ける。
零は自分の分は自分でやろうとしたようだが、今の零の身長ではそれをやるにも足場に椅子を引っ張って来ないといけない。
零の言葉を退け、俺が一人で俺と零の分の料理を用意する。
「サラダも冷蔵庫にありますよ」
「そうか。それは助かる」
「零ちゃん。お野菜もしっかり食べないとダメですよ?」
「子供じゃないんだからそんな事、分かっているわよ」
零は色葉の言葉に不機嫌そうに返すがそこに真澄も追い打ちをかける。
「いや、今の零は子供だから。ちゃんと好き嫌いなく食べられるか、心配」
「あんたねぇ……」
昼間の意趣返しか。零を子供扱いして言う真澄に零は歯噛みするが、実際に体が子供になっている事は事実なのでそれ以上は言い返せないのか押し黙り、冷蔵庫からサラダを取り出す。
「ふん! 私は大人なんだから赤ピーマンやトマトやレタスくらい……!」
そう意気込んでまずはサラダに手を付ける零であったが、その箸の進みが遅い。
「どうしたんですか、零ちゃん。やっぱり野菜は苦手ですか?」
「零、好き嫌いはダメ」
「そ、そんな事ないって言っているでしょう!」
だが、明らかに赤ピーマンの苦みに参っていたり、トマトの感触に顔をしかめたり、レタスの味に眉根を寄せている。体が幼くなって野菜の類の味が敏感に感じられるようになったのだろう。それ故に苦手としているようだ。
今後はきんぴらごぼうとかの料理もなるべく控え目にしてやる事にするか。口では強気に言っても子供の味覚になっている妹の事を思い、俺は自身も夕食を食べつつ、そう考えるのであった。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
ロリになった零可愛いよ、この兄妹がいい、ロリ化現象いいよ。
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少しの手間ですが、それだけで作者としては冥利に尽きます。
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