第30話ロリ化寸前の妹からの緊急コール
妹、零からの緊急連絡。
それはどうしても7時までに切り上げて家に帰れそうにないという事だった。
零が夜7時になると体が縮み、幼い姿になる事は公にしていい秘密ではない。
高校の友達と一緒にいる時に体が縮んだりしたら大騒ぎだろう。
それを避けるべく俺は零から居場所を聞き出すとバッグに零の子供用の服を詰め込み、零の元に向かう事にした。
子供用、とはいえ、零が着用している服や下着を勝手に零の部屋に入って取り出す事に強い抵抗感を覚えたが、この非常事態にそんな事は言ってられない。
零用に買った子供用服と女児用下着をバッグに詰め込み、知らされた場所に向かう準備を整える。
「零が大変なの?」
未だ7時を迎えておらず幼い姿の真澄がそう問い掛けて来る。俺は頷いた。
「ああ、すぐに零の所に行かないと」
「でも、それだとわたしが一人で留守番する事になる」
不安げに真澄が言う。
そうなのだ。真澄一人に留守番を任せる事も問題がある。しかし、一刻も早く零の元に向わなければ間に合わなくなるかもしれない。
どうするべきか。悩んでいると「ただいまです」との声が玄関から響いた。
色葉だ。この状況では垂れて来た蜘蛛の糸。救いの声に俺には聞こえた。
「おかえり、色葉。いきなりだが、真澄と一緒に留守番していてくれ」
「え? どうしたんですか? 総司お兄ちゃん」
「零が大変なんだ」
もはや、事情を説明するのも、もどかしい。それだけ言うと俺は真澄の方を振り向く。
「色葉がいるから留守番大丈夫だな?」
「うん。一人じゃないのなら」
「それなら任せる!」
「ど、どうしたんですか、総司お兄ちゃん?」
色葉への説明は後にして零から聞かされていた場所に向って駆け出す。
時刻は午後6時半。一刻の猶予もない。
零がまだ高校の友人と遊んでいるのなら、後三十分で零の体は幼い体に縮む。
それを高校の友人に見られる訳にはいかない。
面倒な事に少し離れた場所まで零は友達と共に買い物に行っているようだ。
バスに飛び乗り、急かしてもバスは速くならないと分かりつつも座席で地団駄を打つ。
なんとか時間までに到着し、零の所に行く。
零は高校の友人数人と一緒にいた。そこに駆け付ける。
友人たちになんと思われるか分かったものではなかったが、今はそんな事を言っている猶予もない。
「零!」
「あ、お兄ちゃん!」
零の元に駆け寄る。当然、唐突に現れた友人の兄の存在に零の友人たちは怪訝そうな目を向ける。
「どうしたの零」
「零のお兄さん? 初めまして。でも、どうしてここに?」
詳しい事情を説明している暇はないし、説明する訳にもいかない。
俺は零の手を引っ張って、男子トイレの中に駆け込んだ。
そこで個室に入る。その時、零の体が縮み出した。背丈は小さくなり手足も短くなり、胸も巨乳が真っ平になっていく。
ぶかぶかの服を着た零がそこには居た。
とりあえずの危機は脱したか。しかし、外にはまだ零の友人たちが何も事情を知らず知らせる訳にもいかないまま控えている。
いきなり現れた友人の兄に何を思っているか知れたものでもない。
ここからどう誤魔化すか……。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
この兄妹関係がいい、ここからどうやって誤魔化すのか気になる。
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