第28話二人のデート?

 ないな。

 冷蔵庫の中を確かめて俺は思った。あいにくと冷蔵庫の中にはアイスなどといったおやつになりそうなものは置かれていなかった。


 戸棚を漁って見るがポテトチップスなどの類も一切なし。完全に切らしてしまっているようだ。


 この家は大学生の俺と高校生の零の二人暮らしだったのだから、あまりお菓子類の買いだめなどはしていなかった上に買っておいた数少ないお菓子はこれまでの夜で幼い体の零に与えてしまって食べ切ってしまっていた。

 それを真澄に伝えると真澄は不満そうな顔をした。


「えー、おやつないの?」


 外見年齢相応の発言であった。


「いや、お前は今は幼い体だけど、中身は大人だろ。3時のおやつって歳でもないだろ」


「あー、女性に年齢の事を話した。総司のデリカシー無し」


「いや……そういう意図はなくてだな」


 やはり零もそうだが、外見が幼くなるとそれに引っ張られて精神年齢まで幼くなってしまうのではないだろうか。

 おやつがないという事に駄々をこねる真澄を見ているとそう思う。


「仕方がない。ちょっとコンビニに行って買って来てやるよ。待ってろ」


 そう言って俺はコートを羽織って外に出ようとするのだが、それを真澄が止めた。


「総司、わたしを一人で置いておく気?」


「大人なんだから留守番くらい出来るだろ」


「そうなんだけど……今のわたしは子供の体。ちょっと怖い」


 どっちなんだよ。子供扱いしても不服で、大人扱いしても文句を言う。

 思わずそう問い掛けたくなったが、俺は嘆息して言う。


「それじゃあ、一緒に行くか?」


「うん!」


 やたら元気良く返事をされる。やっぱり精神年齢も子供になっているんじゃないかな。一緒に買い物に行くという程度でこんなに喜ぶというのは……。


 付いて来るなら付いて来るで別に異論はなかったので、零が子供の姿になった時用に買っておいた女の子用のコートを真澄に着てもらう事にしたのだが……。


「総司、手伝って」


「いや、大人なんだから自分で着ろよ……」


 真澄はコートを羽織るのを手伝って欲しいなどと言い出した。あのなぁ。


 そんな事したら真澄の体に俺の手が触れちゃうだろう。妹の零が子供になった時でもその体に触るのは抵抗感があるというのに、他人の真澄の体に触れるなど。


 そう思ったのだが、真澄は上目遣いで俺を見つめて来る。


「お願い」


「……仕方がないなぁ」


 子供の体の利点を最大限活かしているんじゃないか……。

 こんな小さな女の子に上目遣いで見られたら断るものも断れない。


 本来は大人だと分かっていても。俺はコートを真澄に着せてやる。子供の体なので色気はなく、淡々と着せる事が出来た。


「総司、無反応。つまらない」


「子供のお前に反応して堪るか。俺はロリコンじゃない」


「素っ気ない」


 素っ気ないも何も、意識する方が問題だろう。そうして、家を出て近場のコンビニに向かう。歩幅は俺の方が遥かに大きくなっている事は子供の姿の零と一緒に外出した時に分かっているので意識してゆっくり歩いてやったのだが。


「そ、総司、ちょっと歩くの早い」


 それでも子供の足を置いて行くには充分な速度を出してしまったようだ。「悪い」と俺は言い、さらに歩くスピードを緩める。


「ふふ」

「なんだよ、気持ち悪いな」

「デートだね」


 妙な事を言う。たとえ相手が大人の女性であったとしても家の近くのコンビニまでちょっと買い物に行く程度の事をデートとは言わないだろうし、今の真澄はお子様の姿だ。

 デートなどとは程遠い。兄の買い物に付いて来る妹。そんな風にしか見えないだろう。


「これがデートであって堪るか」



 ここまでお読みいただきありがとうございます。

 二人のやり取りが微笑ましい、ロリと二人っきりなんて羨ましい、中身もロリになってる感ある真澄可愛い。

 などと思っていただけた方は星評価やフォローをいただけると励みになり嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る