第26話悩ましきロリ化現象
「だから、わたしは貴方たちより年上と言っている」
真澄が不服そうにそう言い放つ。が、色葉はおろか零ですらそれを聞き入れはしない。
「ふふふ、真澄さん。大人ぶっちゃって、可愛いですねぇ」
「真澄、子供は子供らしくしないとダメよ」
「わたしは子供じゃない」
色葉が幼い体になった真澄を子供扱いしてからかうのは勿論の事、零も昨夜、幼い体になった自分を若干とはいえ、真澄に子供扱いされた事への意趣返しか、存分に真澄を子供として扱う。
俺はなんとか助け船を出してやりたい所なのだが、下手に突っ込むとどんな反応が返って来るか分からないので口を出せないのだ。
「真澄、料理出来る? 今日の朝ごはんは私が作るつもりなんだけど」
「……出来ない」
「そう。まぁ、子供だからね。仕方がないわね」
やけに楽しそうに零はそう言い、朝ごはんを作るべくキッチンに向って行く。
自分一人だけの悩みだと思っていた体が子供になる事に仲間が出来た事が嬉しいのかもしれない。
真澄は本来は大人なのだから、料理の一つも出来ないのはそれはそれで問題だと思いつつ。
「総司、助けて」
「俺に言われてもな……」
小さくなった体の真澄が俺の傍まで寄って来て助けを求めて来るが、妹の零はともかく、他人の真澄の幼い姿に会話する事すらも許されるのだろうかという葛藤を覚える。
真澄の子供の姿は可愛らしいものであった。
俺は断じてロリコンではないが、可愛いものは可愛い。
大人の真澄も魅力的な女性だったが、こちらの姿も可愛い。色葉が保護欲を感じてしまうのも無理からぬ事と言えた。
「ふっふっふ、ダメですよ、真澄さん。総司お兄ちゃんに甘えるなんて真似をするのは。私だって総司お兄ちゃんに甘えたいんですけど体面を考えて我慢しているんです」
「甘えてなんかいない。わたしは大人だから」
真澄が不機嫌そうな顔になる。真澄なら体面を考えなくてもいい、そう言われたも同然だからだ。
今の真澄の体は幼い少女だから仕方がないよなぁ。
「く、この体質。やっぱり嫌。早く大人に戻りたい」
子供らしからぬ苦虫を噛み潰したような顔で真澄はそう唸る。大人の精神を持っている身にとっては子供の体など嫌でしかないだろう。それは真澄も零も同じ事だ。
言っている間に零が朝食を用意して、四人で食べる事にする。この家の住人は俺と零の二人だけだったんだが、二倍に増えてしまったな。
「真澄、全部、食べられるかしら?」
余裕の笑みを浮かべて零はそう真澄を子供扱いするが、お前、それ、自分が夜に子供になった際に跳ね返って来る事、忘れてないだろうな?
「子供じゃないから」
真澄はそう言って朝食のベーコンエッグに手を付ける。それをニヤニヤしながら見守る零と色葉の二人。やはりなんとか助けてあげたいものであるが。
「あ、ピーマンがありますね。真澄さんは苦手なら無理して食べなくてもいいですよ」
「……子供じゃない。好き嫌いなんてしない」
意気揚々と話しかける色葉に真澄は不機嫌そうに返す。
零も色葉もやめてやれよと思うが、小さな女の子を前にした二人のお姉さんぶりは留まる所を知らない。
真澄はなるべく相手にしない事にしたのか言葉数は少なく、黙々と朝食を食べていっているが。
「所で今日、私、友達と遊びに行くのよね」
「零ちゃんもですか? 私も友達と遊びに行く予定です」
「おう。そうなのか、行け行け。こっちの事は心配するな」
ただし、零は7時までに帰って来いよと思いつつ、そんな言葉を返すと二人は俺を見た。
「お兄ちゃんは真澄と二人きりで留守番という事になるわね」
「そうですねー、心配ですねー」
「……何が?」
嫌な予感を覚えつつ俺が問うと二人は示し合わせたように言い放つ。
「お兄ちゃんが真澄に手を出さないか」
「それが心配なんですよ」
「出す訳ないだろ! こんな子供に!」
そう俺は強く反論してしまったが、これが真澄の機嫌を損ねてしまったようだ。
「わたしは子供じゃない。総司までそんな事、言う」
「あ、いや、今のは、その……言葉のあやって言うか……」
「まぁ、お兄ちゃんはロリコンじゃないって信じているけど」
信じているなら、そんな事言うなよ。俺はそう思うのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございます!
ロリになる二人。これからどんな展開が待っているのか。そんな体質なのに、出掛ける零は大丈夫なのか。
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