第25話ロリになった真澄

「真澄さんも小さくなるんですね」


 不穏な事を色葉がいい、真澄が嫌そうな表情をする。


 昼間、子供になるとはいえ、零と同じく真澄も本来の姿は大人の姿のようだ。

 なら心も大人だろう。下手に子供扱いされるのはさぞ嫌な事に違いない。


「私を弄るのは止して欲しい……」


 危惧するように言うが、色葉はどうでるか。

 色葉は可愛い女の子、年下の女の子が好きだ。

 妹を欲しがっていたのだが、叶わず残念に思っていた所が昔からあった。

 これで色葉の性別が男ならロリコン扱いされる所なのだが、女の性別で得をしている点だな。


「それじゃあ、今更だけど、真澄に寝る部屋を紹介する。っても、ウチも豪邸って訳じゃないから今は家にいない父さんと母さんの部屋で色葉と一緒に寝てもらうけど」

「色葉と……一緒?」

「いや、そんな顔するなって。同じ布団で寝ろって訳じゃない。横に並べた布団で同じ部屋で寝てもらうって事だよ」


 誤解を解くように俺は言い、真澄は納得した様子であった。ニヤリと色葉は笑みを浮かべる。


「朝、起きれば真澄さんが小さくなっているんですね。着替えとか手伝ってあげますね、その時は」

「いや、結構」


 色葉の提案をすげなく断る真澄。小さくなった体の着替えなどを行わせられてはおもちゃにされると察しての事だろう。そして、それは色葉の零に対する態度を思えば高確率で起こり得る事だと思う。


「色葉、自重しろ」

「分かりましたよ、お兄ちゃん」


 俺は色葉を一睨みするが、効果があるのかどうか。

 結局、その日も遅くなり、みんな寝る事にする。


 俺は寝る前に冬休みの課題のレポートを進めたが、零や色葉は冬休みの課題はちゃんとやっているんだろうか、と少し心配になりつつ、電気を消して寝る事にした。


 朝。真澄の悲鳴で目が覚めた。な、なんだ……。俺は寝ぼけまなこをこすり、色葉と真澄に与えている部屋に行く。

 そこには起きた真澄と色葉がいたが、とても目を向けてられる状況ではなかった。


「わ、悪い……!」


 慌てて目をそらす。真澄は眠った時の大人の体が着ていた服のまま、体が子供に縮んでしまい、ぶかぶかの服や下着が色々な所を隠せていなかった。


「うわー、ホントに真澄さんも零ちゃんみたいに小さくなるんですねぇ」

「むぅ、屈辱」


 驚いているようで喜んでいるようでもある色葉。真澄が困っているのは分かるが真澄の体に視覚上の問題が多々発生していて、こちらは近付く事も躊躇われる。


「……悪い」

「総司! わたしを見捨てるのか!」


 悲痛な真澄の声を背中に聞きながら俺は部屋から出て行く。男の身分とは時として辛いものなのだ。

 いくら体が幼くなっているとはいえ、真澄も心は大人。俺にあまり体を見られたくないだろう。


「朝っぱらから騒がしいわねぇ」


 そう言いながらやって来たのは大人用の服をしっかり着込んだ零だ。こちらは朝になった事で体が子供から大人にしっかり元通りになったようだ。そのせいか余裕が感じられる。


「ああ、真澄が子供の体になっちまって」

「そういえば私と逆だったわね」


 言いながら零は真澄と色葉の部屋に入って行く。色葉だけではなく、零も真澄の体が幼い事に何か言うつもりなのか。

 確かに昨夜、小さくなっている零を真澄は上から目線で見ていた事は否定出来ないとはいえ。真澄が不憫だな……。


 真澄に訪れる不幸を思いつつも、俺も朝の支度をする。

 もうすぐ年末。波乱の日常になってしまったとはいえ、年越しまであとわずかだ。

 いつの間にかこの家に増えた住民二人が馴染んでくれる事を期待する。



 ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。

 ロリが増えるのは良い事だ。苦労人でもハーレム気味のお兄ちゃんが羨ましい。不可思議な体の異変に戸惑う二人が可愛い。

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