第16話だから子供扱いしないでって言ってるでしょ!
体が縮んだとはいえ、料理の腕前が鈍るはずはない。
幼い体になって若干、手先は不器用になったようであるが、零は幼い体ながら立派な夕食を作ってくれた。
それを俺と色葉で食卓に並べる。見ているだけで食欲をそそる。早く食べたい所であった。
「いやー、零ちゃんは凄いなー。そんなに小さいのにこれだけの料理が作れるなんて」
「小さくなったのは体だけよ。中身は大人だって言っているでしょう」
笑みを浮かべる色葉に不機嫌顔で返す零。
子供扱いされている事が気に入らないのだろう。
しかし、色葉はそんな零を子供扱いして頭を撫でる。
「立派ですよー、零ちゃん。よしよし」
「貴方ねぇ。貴方の方がわたしより年下でしょう」
「今は年上ですよ」
そう言われてはぐうの音も出ないのか零が押し黙る。
そんな二人を仲裁するように俺は声をかける。
「まぁまぁ、二人共、とりあえず飯を食おう。みんな腹減っているだろう」
「そうですね。あ、零ちゃん。こぼさずにちゃんと食べれる?」
「だから子供じゃないって言ってるでしょう……」
うんざりした様子で零が言う。色葉からのこの扱いがとことん気に入らないようであった。
俺もどうかとは思うが、今の零が幼い少女なのは間違いがない事なので、何とも言えない。
三人でいただきますの挨拶をして夕食を食べる。
流石は零。体が子供になっても料理の腕前は健在だ。
どのメニューも美味しく舌を唸らされる。色葉も感心した様子で箸を進め、夕食を食べていく。
「いやー、私も料理にはそれなりの自信があったんですけど、これには敵いませんね。流石は零ちゃん」
「どうも。それに敬意を表してくれるなら子供扱いはしないでくれるとありがたいんだけど」
「それはダメですね。今の零ちゃんは小さな子供なんですから」
「っ……!」
そう色葉も零の神経を逆なでするような事を言うなよ……。確かに今の零は幼い姿をしているのだが。
食事は進み、あっという間に全員が食べ終わる。洗い物も自分がするという零に俺が洗い物は俺がすると提案した。
「何よ、お兄ちゃんまでわたしを子供扱いするつもり?」
「そんな気はないって。単なる善意だよ。夕食を零に作らせたんだから、洗い物くらいは俺がやっとかないとな」
「でしたら、その間、私は零ちゃんをお風呂に入れてあげます!」
いきなりの提案をした色葉に俺も零も目を丸くする。その末に零が不機嫌そうに言い捨てる。
「お風呂くらい一人で入れるわよ」
「ダメですよー、零ちゃん。子供なんだから。私が一緒に入ってしっかり体を洗ってあげます」
「それも一人で出来るわよ!」
反論する零であったが、半ば無理やり、色葉に風呂場に連行されて行ってしまった。それを無理やりに振り払う力も今の零にはない。
「こうなる事は分かっていたとはいえ……」
色葉に零の秘密を知られたらこのような事を招く事は分かっていた事だ。
だが、嘆息せざるを得ない俺であった。
零はこのような扱いを受ける事がさぞ屈辱だろう。
お風呂場から騒がしい声が聞こえて来る。
色葉が何かと世話を焼こうとして、零が反発しているのだろう。
それを聞きながら俺は食器を洗う。零の受難に同情しながら。
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色葉が零をからかいまくるのが面白い、子供の体でも大人と主張する零が可愛い、色葉も可愛い。やはりロリである自分を認めたくない零がいい。
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