第13話隠し通せない秘密
・前書き
近況ノートにも書きましたが色葉のキャラを不快に思われる方が多いようなので、22話以降を書き直して修正を加えます。
そのため一日一話アップのペースが遅れてしまうかもしれません。申し訳ありません。
また、色葉のキャラを不快に思われた方に対しては作者の配慮不足でした。申し訳ありません。修正していこうと思うのでお付き合いいただければ幸いです。
・
「来たみたいだな……」
諦めの境地で俺が口を開く。零が眉根をしかめる。
「ちょっと礼儀知らずにも程があるでしょ……追い返してよ」
「そういう訳にもいかないだろう……」
『どうしたのー? 早く開けてよ。勝手に入っちゃうねー』
などと俺と零が言い合っている間に色葉は家の中に入って来てしまう。
零が青い顔をする中、玄関を開けた色葉はリビングまでやって来る。
肩に大きめのショルダーバッグをかけている。
あの中は着替えとかだろう。本気でしばらくこの家に居候するつもりのようだ。
「お久しぶりでーす。総司お兄ちゃん、零ちゃん。半年ぶり、くらいですかね?」
「あ、ああ……そうだな」
「…………」
とりあえず歓迎の顔で迎える俺と、さっさと帰れ、と言わんばかりの零。
だが、色葉は全くめげずに零に話しかける。
「零ちゃん、どうしたんですか、機嫌でも悪いの?」
「……ええ。貴方のせいでね」
「わー、酷いな~。私と零ちゃんの仲じゃないですかー」
先ほど、零本人が言ったように零は色葉の事を嫌っているのだが、色葉は零の事を一方的に好いている所がある。
邪険にされてもまるで気にせず笑顔を見せる。
そういう性格も零は嫌っているというか、苦手にしているようだが。
「そういえば玄関に見慣れない子供用の靴があったんですけど……誰か来ているんですか?」
ギクリとする。まさか零のためのものだとは言えない。
俺は「い、いや、ちょっとな……」と答えになっていない答えで誤魔化す事にする。
零は何も言わない。色葉は気にしない事にしたようだ。そういう性格だ。この従姉妹は。
「それでメールした通り、私、しばらくこの家に居候する事にしました。寝る部屋。どこ使えばいいでしょうか?」
「帰ってよ。貴方が居候するなんて私は認めないわよ」
「えー、いいじゃないですか、零ちゃん。どうせ零ちゃんと総司お兄ちゃんのご両親は出張中で部屋は空いているんでしょう?」
確かに部屋は空いているが。完全に居候する気満々の色葉を追い返す言い訳が思い付かない。
礼儀がなっていないとか、非常識過ぎるとか、そんな事、言うガラじゃないしなぁ、俺は。
しかし、色葉がこの家で暮らすとなると零の秘密は露見する。確実に。
誤魔化し通せるレベルを超えている。夜には零は外に出ていて、代わりに親戚の色葉の一家にも内緒で生まれていた次女の市が家にいる。
無理があり過ぎる言い訳だ。どう言い繕っても誤魔化せない。
「総司お兄ちゃんや零ちゃんと一緒に新年を迎えるのが楽しみですねー。あ、勿論、年末の大掃除のお手伝いはしますよ? 居候させてもらうんだからそれくらいはね」
その心配りが出来るのなら居候なんてやめてくれ、と思ったが、言っても無駄だろう。零も諦めムードだ。
「色葉……夜に私の姿を見るんじゃないわよ」
「なんで? 魔法が解けて元の姿に戻っちゃうとかですか?」
冗談、で言ったのだろうが、真実の一端を捉えた言葉に零は言葉を失う。
俺もドキリとさせられる。色葉は不思議そうにそんな俺たちを見る。
「まぁ、いいじゃないですか。お二人共、お昼ごはんまだでしょー? 今日は私が作りますよ。居候させてもらう代金代わりに、ね」
そう言ってキッチンに消えて行き、勝手に冷蔵庫を漁って、料理を始める色葉。
その姿を遠目に見ていると俺に零が話しかけて来る。
「どうするのよ……」
「どうするもこうするも、打ち明けるしかないだろ」
「い、嫌よ、そんなのっ。お兄ちゃんに子供扱いされるだけでも嫌なのに私より年下の色葉にまで子供扱いされるなんてのは……」
零の幼くなった姿を見ても色葉が子供扱いするとはまだ決まった訳ではないのだが。……するだろうな、子供扱い。
元々、自分より幼い兄弟姉妹を欲しがっていた色葉だ。これ幸いと幼くなった零にお姉さんぶるに決まっている。
そして、そんな事をされるのは零にとっては屈辱だろう。
そうは言ってもこうなった以上、どう誤魔化しても誤魔化しは効かない。
今は……お昼の0時を少し過ぎた所か。後、約7時間で零の体は女子高生の大人のものから小学生のような幼い少女のものに縮んでしまう。
その場面を目撃するかしないかは分からないが、夜7時以降、この家に現れる幼い少女の事をどう説明しろと言うのだ。真実を話す事以外に。
そう言っている間にも時間は過ぎ去り、色葉はミートソースのスパゲッティを作り上げて、三人分食卓に並べた。
「とりあえず……食うぞ」
「そうね……」
もはや零も諦めの境地だ。逃げ場はない。
こうなってしまった以上。半ばヤケ食いの気持ちなのか零はスパゲッティを食べていく。
それなり以上には美味い。色葉も俺や零同様、料理は並以上には出来るのだ。
さて、食べている間も時間は過ぎゆく。零の体が縮んでしまう時間も迫って来る。
その時、俺は色葉になんと説明すればいいのか。既に考え始めているのであった。
・
ここまでお読みいただきありがとうございます。
やってきてしまった従姉妹の色葉、ロリになる体の零の秘密は隠すのは不可能!
自分より年下の従姉妹にどんな目でロリになった零は見られるのか、賑やかになりそうで楽しみ。色葉の元気っぷりがいい。
そう思っていただけた方は星評価やフォローをいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!
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