第10話ロリの猫可愛がり
そして、合コンに行く時間がやって来た。
俺は一緒に玄関で靴を履いている(靴も子供用の物を買って来てある)幼い姿になった零を見て声をかける。
「本当に行くんだな……?」
「今更何言っているのよ、当然でしょ」
やはり翻意はしないか。仕方がなく俺はため息を吐くと、注意事項を述べた。
「いいか。夜の街に繰り出すんだ。俺から離れるなよ、知らない人には付いて行かない事、後……」
「ええい、うるさいわね! 子供じゃないんだから、そんな事言わなくてもいいわよ!」
「いや、今のお前は子供だろう……」
癇癪を起す幼い零に言葉をかける。
中身は大人と本人は言い張っているがどうにも体の方に引っ張られて精神まで幼くなっているような節が見受けられる。
夜の街に連れ出すには不安なのであった。
「まぁ、いい。行くぞ」
「徒歩で行ける距離なの?」
「徒歩20分って所かな。子供の足で付いてこれるか?」
「だから子供じゃないって」
こう言う零だが、歩幅は気持ち控え目で歩いてやる事にしようと思う。
案の定、途上、それでも零は俺の歩みに後れを取った。
「ちょっと、お兄ちゃん。歩くの早すぎ」
「いや、お前が遅いんだ」
そう言いつつ、合コン会場の居酒屋に到着する。
いくら酒を飲ませないからって今の零みたいな幼い女の子を連れて行くのにあまり適した場所ではないのだが。
扉を開くと一同はもう集まっていた。
「よう! 総司来たな!」
「待ってたぜ!」
「その娘が二人目の妹さんか。可愛いな!」
まずは男友達の歓迎を受ける。それを受けて前に出た零に女性陣が反応した。
「きゃ~、可愛い~」
「君、小学生くらい? お名前はなんていうの?」
「れ……市よ」
「そっかぁ、市ちゃん。お兄ちゃんに付いて来たんだね~」
猫可愛がりされて頭を撫でられたりしている。
その対応に零は大いに不満のようだったが、その外見では仕方がない。我慢してくれ。
「なんでわたしがこんな扱いを……」
「我慢しろ、れ……市……とりあえず俺はビール。市はオレンジジュースを」
「そんな子供みたいな飲み物!」
「子供だろ……」
俺たちは席に着き、既に配膳されていた料理に箸を伸ばす。焼き鳥など居酒屋ではお馴染みのものが並ぶ。それらをかじっていると零が女性陣にやはりいじられていた。
「お兄ちゃんに付いて来たんだね、可愛いなぁ」
「大人ぶりたいお年頃なのね」
「大人ぶりたいも何もわたしは大人よ」
「ま~た、そんな事言っちゃって~」
人気者であった。零本人にとっては大いに不服であろうが。
「おいおい、女性陣。お前らの目当ては俺たちだろ? 総司が連れて来た妹ばかり見るなって」
苦笑して宏介がそんな事を言う。それに女性陣は笑みを返し、「そうだったね」と男性陣とトークを再開する。俺は誰とのトークに参加する事もなくビールをちびちび飲んでいた。
やっぱりマスコット扱いだよなぁ、と思う俺だった。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
ロリな体で大人ぶる零可愛いよや兄妹のやり取りが微笑ましいなど
思ってくださった方は星評価やフォローをしてくださると嬉しいです。
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