第9話ロリになるのに付いて来る妹


「とりあえず宏介には俺の二番目の妹を連れて行くと伝えておく。お前は……零は体調不良って事で」


「妥当な言い訳ね」


 実際には体調不良どころではないとんでもない事態が起こっているのであるが、そう言って誤魔化しておくしかないだろう。

 本当に幼い姿の零を合コンに連れて行くのか……。


 ――零はちょっと体調を崩している。代わりに二番目の妹を連れて行く。


 そうラインでメッセージを送るとすぐに返信が来た。


 ――そっか、お前の妹は来れないのか。ってかお前に二番目の妹がいたなんて初耳だぞ。どれくらいだ? 美人?


 うーむ。答えに非常に迷う。

 二番目の妹がいたという嘘に関してはそこまで疑っている様子はないようではあるのだが、美人とかそういうレベルではない。


 迷ったが、仕方がないので真実を告げる事にする。


 ――10歳。小学生だ。話したら、どうしても一緒に行きたいと駄々をこねたので連れて行く事にした。美人ではないがそれなりに可愛い。


「私は駄々なんてこねてないわよ」


 スマホの画面を覗き見した零がそんな事を言う。いや、こねただろう。充分に。


「ま、お兄ちゃんが私の事を可愛いって言ってくれた事に関しては嬉しいけど」


 そう満更でもなさそうな顔で言う。

 この元の姿の零なら色気もあって、充分なんだがなぁ。


 夜の姿ではその色気も消え去ってしまい、本当に可愛いしかなくなってしまう。


 そう思っているとまた返信。


 ――は? 小学生? そんなガキを合コンに連れて来るのか?


「誰がガキよ!」


「お前宛てのラインじゃないだろ! それに小学生は立派な子供だ」


「私は大人よ!」


「夜の姿は子供だろうが」


 大人ぶるようなその言い方も子供がするのにそっくりだ。

 やっぱり零の奴。体が子供になる影響で心……精神まで幼児退行しているんじゃないだろうな。


 そう思いつつ、なんとかラインでの会話で宏介を説き伏せ、幼い姿の零を連れて行く事は伝え終わった。


 マジか。マジで子供の姿の零を連れて行って合コンやるのか。

 そこでの苦難を思い浮かべ、俺はあまり気が進まない。


「これで私も堂々と出られるわね」


「幼い女の子が合コンに同席するのを堂々と出られると言っていいのかは疑問だけどな」


 分かっているのだろうか。可愛がられる事は間違いないだろう。


 子供の姿の零は凄く可愛い。兄の贔屓目抜きにもそれは断言出来る。

 それだけにマスコットとして散々可愛がられる事だろう。合コンの出席者たちからは。それを零は望んでいるのか……?


「お前、分かっているのか? 合コンではマスコット扱いだぞ?」


「私の美貌で男たちを魅了してあげるわ。そのつもりよ」


「今の体ならそれも可能だろうが……」


 夜の体ではとても不可能だろう。どこまで分かっているんだが。思わず嘆息する。


「何よ、お兄ちゃん。気が進まなさそうな顔ね」


「当たり前だ。お前をこんな所に連れて行くなんてしたくない」


「あら、心配してくれているの?」


 心配とは少し違うが。


「とにかく! 私は参加するんだからね! お兄ちゃん、夜の姿の私が変なヤツに狙われないようにちゃんとエスコートしなさいよ!」


「はぁ……」


 嘆息しか出ない。それなら合コンなんか出なければいいだろうに。


 前々から零は合コンに出てみたいと言っていたような気がするが、今の体になってしまってもそれは変わらないのか


 高校生女子として合コンに出るのも少し問題ある気がするが、とどう見ても小学生にしか見えない女の子が合コンに出るのは明らかに問題ががあると思うのだが。


 とはいえ、決まってしまったものは仕方がない。

 零の言う事に従う訳ではないが、夜の幼い姿の零を守るのは俺の使命だ。しっかりエスコートする事にしよう。




 ここまでお読みくださりありがとうございます。

 ロリになっても意地っ張りの妹可愛い、なんだかんがで兄を頼るのがいい。

 そう思っていただけた方は星評価やフォローをしていただけると嬉しいです。

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