第3話ロリになるという異常体質
そして、朝、目を覚ます。なんだか腕が何かに当たっている。
それは膨らんでいて、腕を押し付けると弾力のある感覚を返してくる。
なんだ、これは。
そう思って、ハッと目を覚ます。
俺の腕は妹の巨乳に包まれていた。
高校生の体に戻った妹が俺のベッドの中にいて俺と一緒に寝ている。
いやいやいや、これはまずい。
幼い体をしていた妹もマズかったが、元に戻られては余計まずい。
元に戻れて良かったという以前にやばいと感じて抜け出そうとするが、零は俺の腕をしっかりホールドしていて離さない。やがて、零が目を覚ます。
「ふあ……」
まだ自分の体が元に戻った事は認識していないようだった。
寝ぼけまなこが俺を見据え、やがて、自分の体に気付き……。
「も、元に戻っている!? じゃない! お兄ちゃん、どこ触っているのよ! 変態!」
そう言って俺を罵るとベッドから飛び起きる。
腰に巻いていたスカーフマフラーが大きくなった零の下半身を隠せなくなりずり落ちる。妹の何も纏っていない下半身が眼前に晒される。
「きゃ、きゃー!」
悲鳴を上げて、慌てて妹は部屋から飛び出て行く。
取り残された俺は呆然とその後ろ姿を見送り、股間も尻も小さな女の子のものから高校生の女のものに戻っているな、などと見当違いの事を考えながら、嘆息。
ま、まぁ、妹が元に姿に戻ったのはいい事だ。
本当にこれで解決なのだろうか?
その朝の朝飯に妹は自分の服を着て現れた。
端整な美女の美貌。大きく膨らんだ胸。くびれた腰。大きめの尻。昨夜みた幼い少女の肢体とは完全に異なる体。
「完全に元に戻れたんだな」
俺は朝飯のベーコンエッグを食卓に並べながら安堵して言う。なんだかんだで妹が元の姿に戻れたのは良かった。その言葉に妹はつっけどんに返す。
「当然でしょ。昨夜の事は白昼夢とでも思って」
「見たのは夜だけどな」
「うるさい」
あの妹の体の変貌が俺と妹の関係を変える何かになるかと思ったのだが、そんな事もなかったか。
残念に思うような気持ちもない訳ではなかったが、妹が元の姿に戻れたのは喜ぶべき事だ。
「早速、明美と志保と連絡取って、今日、買い物に行く事にしたから」
「ああ、行ってこい。俺は今日は予定ないから家にいるよ」
「あんたの予定なんて訊いてないわよ」
このつっけどんな態度。
これぞ我が妹・零だ。
昨夜の幼い姿の時は体に引っ張られてか幾分か素直になっていた印象があるが、元の体に戻れたのならそれでいいだろう。
そうして、俺は妹を送り出し、自身は冬休みの課題に出された大学のレポートを仕上げるべく自室でパソコンと向かい合い、あーでもないこーでもないと試行錯誤する。
昼飯も適当に済ませ、レポート作成にもひと段落着いたのでリビングでニュースでも見ながらくつろいでいると妹が帰って来た。
「ただいま」
「おう、おかえり」
妹の姿はいつも通り、女子高生のものだ。それに安心する。時刻はそろそろ夜7時か。
そこで異変は起きた。
「え、ちょっと、嘘でしょ!?」
妹の悲痛な悲鳴が響く。
俺の目の前で高校生の妹の体はどんどん縮んでいき、背丈は小さくなり、胸は巨乳から真っ平に腕も足の長さも短くなる。
俺が呆然とする中、妹の体は再び幼い女の子のものに戻っていた。
「お、お前……」
「う、嘘……元に戻ったんじゃなかったの……?」
妹は呆然としているが、体が小さくなった事で服はぶかぶかになりあらぬ所が丸見えになっていた。
「きゃ、きゃああああ!」
必死で妹は胸だの股間だのを隠す。それから目をそらしつつ、俺は一つの推測を口にする。
「もしかして、零、お前、夜になると体が幼くなるようになっちまったんじゃないか?」
その言葉に妹は沈黙し、考え込み、頷く。
「そ、そうみたいね……そうとしか考えられない……こんな馬鹿な事が……」
今でも信じ難いという様子であったが、すっかり幼い女の子の姿になってしまった妹は体を隠しながら俺に接する。
「お、お兄ちゃん! この体用の服、買って来た?」
「買ってねえよ!」
「なんで買ってないのよ! 馬鹿!」
何でも何も。朝の時点ではすっかり元の体に戻ったと思っていたからに決まっているだろう。
夜になると体が縮むなんて考えもしないぞ。
「明日こそ買って来るからなんとかして今夜は過ごせ!」
「過ごせも何も……服がぶかぶかで……あー、お兄ちゃん、嫌らしい目で見ないでよ!」
「見てねえよ!」
高校生の体の時より甲高く甘ったるい声で妹は言う。
俺はロリコンじゃない。高校生の妹の姿に色気を感じる事はあるが、今の小さくなった妹に何かを感じる事はない。
「今のお前の体に色気なんてないんだから嫌らしい目なんかで見る訳ないだろ!」
「そ、それもそうなんだけど……それはそれでショックね……」
すっかり10歳くらいの少女の体に逆戻りしてしまった妹。やはり夜になると妹の体は幼くなってしまうようだ。摩訶不思議と思いつつもそうとしか考えられない。
「と、とりあえずなんかで体を隠せ!」
「何で隠せって言うのよ!」
「ああ、もう! 明日には子供用の服を買ってきておいてやるから、今夜は部屋にでも籠っていろ!」
「必ずよ!」
妹は体を両腕で隠しつつ、部屋に引っ込んで行く。どうしてこんな事になったのか、残された俺は考えざるを得なかった。
「夜になると子供の体になる、ね……」
有り得ないにも程がある。だが、事実だ。目の前で妹の体が縮む姿を目撃してしまったのだから。
事実の否定は出来ない。
俺は困惑しつつ、とりあえず明日こそは子供用の服を買っておかないといけないな、と思った。
零は屈辱的だとか言いそうだけど。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
本格的に異能を理解した総司はロリになる妹どんな日々を送るのか楽しみ。というか妹が可愛いなどと思ってくださった方は星評価やフォローをしていただければ嬉しいです。
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