第六話 機嫌

山賊の襲撃を見事に撃退した俺達は順調に学園へと向かっていった。


「いやあ、学園ってどんな所かなあ、居眠りできるかな…」


「いけませんよスロウス様。学園は精神と体を脳を鍛え皇国に貢献する為の勉学の要塞です。そう易々とスロウス様がサボりたい等と発言されてしまうと“イズフォルテ家”の品格に傷が付いてしまいます。スロウス様は、“イズフォルテ家”としてのご子息としての誇りを持つべきです」


「でもさぁ、俺そういうの興味無いんだって。誇りだの品格だの辞めてくれよ面倒臭い俺は俺のままに生きるんだから、それにラティス、ここは馬車で密室なんだ堅苦しくて暑苦しくて難しい話はよしてくれよ」


 俺がそう言うと、何故かラティスはため息をついて「もういいです」と怒ってしまった。


 彼女が頬を膨らましツンとしている所は、何故か絵画を見ているようで見惚れてしまう。


 ラティスはチラッとこちらを横目で見ると。


「スロウス様、メイドに対し邪な目線を向けるのは如何なものかと思いますが?」と叱責されてしまった。


 すぐに俺はラティスの機嫌を取るように行動するのだが、どれも反応が悪く効果はなかった。


「流石の俺もお手上げだ、そろそろ許してくれよ」


「何を許して欲しいのですか?私 は 怒 っ て ま せ ん よ ?」


 何かが強調されていそうな雰囲気を醸し出し格闘すること数分。


 絶対怒ってるだろって思いながら機嫌を伺っていると、ラティスはついに。


「ふふっ、ふふふふっ、降参ですよスロウス様いいです許してあげます、ほら、仲直りのぎゅーですよ?」


 はあ、やっと許してくれた………って、ぎゅー!?おいおい、流石の俺も15歳だぞ、それは3歳の時にやってたやつであって、、


「ら、ラティス…今の姿で、ぎゅーするのは恥ずかしいのだが、、」


「むっ、だめですよ?仲直りする時はぎゅーするって約束したじゃないですか、お忘れですか?」


「それは3歳の時のだろうが!!」


 はあ、兎も角仲直りする為だ、やむを得ない。


 俺は優しくラティスを抱き締める。


 俺、反応するな、俺!!今は15だが、中身は28のおじさんだ!!いや、お兄さんか?まだ、でもダメだ!!換算したら43のおっさんだ!!ダメだダメだダメ!!!ってか女の子って柔けえ、いやちげえって!!でもやべえ、甘くていい香りがする。顔が赤くなってる気がするやばいぞ。


 俺はすぐに離れる(抱きしめた時間5秒)


「こ、これで仲直りな」


 俺は何も無かったような顔をするが


「スロウス様、顔が赤いですよ?照れちゃいました?ふふっ」


 あっという間に気づかれてしまい。さらに顔を赤くし伏せてしまい喋れなくなった。


「照れちゃったんですね?可愛いです。幼少期を思い出しますね〜スロウス様の××とか×××とか??」


「あっ、こら!!やめろ!!それは、話さないでって約束だったじゃないか、、」


「あら、申し訳ないです」


 俺が沈黙を続けているとラティスは俺を揶揄う様に幼少期の黒歴史を暴露してきた。


 俺が抗議の声を入れるが、「ふふふ」と面白そうに笑っていて反省の色がない。


 その事についてまた抗議を入れたりとたわいもない笑い話をしていると


「スロウス様!!見えてきました!!皇国中央区アルカーナ!!!」


 馬車を操縦する御者がそう言った。


「そうか!ありがとう!!」


「では、そろそろ準備を始めますね」


 馬車から降りる準備をし、俺達は中央区アルカーナに降りた。


 ここがアルカーナ、こっから学園生活が始まるのかと思うと気が滅入るがお父様と約束したのだからそう思っている暇はない。


 俺は、アルカーナの地面を踏み締めて学園へと向かっていった。

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