第七話 メイドの夢(sideラティス)

 私はスロウス様専属の身の回りの世話をしているラティスといいます。


 今日は馬車からアルカーナに向かい到着致しましたので宿でお休みを頂いています。


 明日は、学園へ向かう予定です。


 それにしても昼間のスロウス様はとても、かっこよかったです、それなのにスロウス様……だめですよ。


 あんな可愛い姿を見せられてしまったら…私ドキドキしてきちゃいます。


 久しぶりにあんなに可愛い姿を見ました、10年振りですかね…それまでそんな素振りは見せてくださいませんでしたし、嬉しいです。


 幾らアピールしても、興味なさげにスルーしていたあのスロウス様の恥じらいのお顔…これだけでご飯3杯行けます…!!


 あぁ、もう一刻でも早く結ばれたい!!


 メイドと貴族が結婚出来る訳もないですがスロウス様と結婚したいのですッ!!


「はぁ、私もスロウス様と結ばれる事にならないかな…」


 いえ、だめだめだめっ!!私なんて遠く及びません、旦那様も婚約相手を決めておられるはずです。


 私などがスロウス様とむ、結ばれる事なんて…叶うはずのない夢なのですから。


 さてと、そろそろ明日の予定を立てて準備しなければなりませんね。


 新しい制服を準備して鞄を出して


 あとはもう寝るだけですかね、スロウス様は準備しておられるのでしょうか。


 スロウス様の事ですからきっと何もしてませんね。


 隣の部屋、スロウス様の部屋のドアをノックしていつも通りに。


「スロウス様、ラティスです。少々入らせていただいてもよろしいでしょうか」


「ん、あぁ、ラティスかいいよ入って」


 ドアの音が出ないように開けて入り、ゆっくりと閉める。


 あぁ、スロウス様可愛らしいです。


 でも私はスロウス様の専属メイドです。


 粗相をする事の無いようにしなければなりません。


 私は、いつも通り仕事をする時のすまし顔をしてスロウス様の制服を準備し鞄を置いておきます。


「はあ、思った通りです。スロウス様何一つ準備されてないじゃないですか、」


「じゅ、準備は明日でもいいでしょうが、」


「いいえ、明日が入学式なのですよ?きちんとしなければなりません。旦那様の息子としての自覚を持ってください。」


「それはわかってる、けどさぁ…」


「けどさぁ…ではありません…旦那様もスロウス様の事を期待しておられます、私もです。私も旦那様も奥様もスロウス様の事を期待しています。だから、頑張って欲しいのです」


 なぜかそこまで言うとスロウス様のお顔がまた可愛らしくなっていました、また照れたのですかね


 可愛らしいです。


 今、私はすまし顔をして誤魔化していますがにやけを抑えるのに必死なのです。


 一大事ですね、そろそろ戻らなくては…


「スロウス様、明日は朝が早いです。夜更かしの無いように、ちゃんと眠ってくださいね」


 一礼して部屋から出て私は私の使用しているベットに飛び込みます。


 誰にも聞かれないように枕に顔を埋めてスロウス様への愛を可愛らしさを熱を込める勢いで訴えます。


「あぁ、本当に可愛らしい…」


 ずっとこんな風に過ごせたらなと思います。

 来ることの無いスロウス様との幸せを夢見て。

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