妄想通夜
「ああ、とうとう死んだか」
私は
希望に
警察官になったKが大型トラックにはねられて重傷を負い、病院の集中治療室で意識不明の重体になっているという話は、もう三年ほど前から
それに比べて私はどうであろうか。生きるという
私は枕元に置いたペットボトルの水で、
「お前、
学生時代、体育の授業でKと柔道の
色白の肌を真っ赤にして
「お前、
私は今、その言葉を
「今からでも葬式に行こうか、そうして
何度も
生きているという事実が私の
考えれば考えるほど、日々を
「お前。弱えなあ」と思い出の中のKが私を指さし
「よう、Kの葬儀が終わったよ」
一通の電話が私を現実に引き戻した。葬儀に参列していた友人のYの声が浅い眠りで重くなった頭の中で
「どうだった?」
「道場の後輩もみんな来て、泣きながら送ったよ。それにしても変な声だな。お前も泣いてたのか?」
Yから指摘されて私はようやく、自分の声が奇妙なほどひしゃげていることに気が付いた。頬に指を当ててみたが涙の跡はなかった。
「泣いてないよ。でも泣いていたような気がする……」
電話が切れると同時に私の中でKの葬儀は終わった。一人ぼっちではあるが私は確かに葬儀に参列していたような気がした。雨に打たれる
(了)
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