第16話 幕間
人間達に魔界と呼ばれ、恐れられる地域がある。
『悪魔の森』もその内の一つだ。凶悪な魔物が蔓延る大森林地帯の中央には、見上げても頂上が伺えない巨大な城がそびえていた。
その城の城主―――豪奢な王座で寛ぎ一人でワインを飲んでる男の名前は魔王ナイトメア。世界に5柱のみ存在する真なる魔王だ。
ナイトメアは最古の魔王として、1000年以上前から人間達に恐怖を与えてきた。時には暴虐の限りを尽くし多くの人々を恐怖に陥れて。時には己を殺そうとする勇者共を血祭にあげて。そうやって恐怖の象徴として、この森に君臨してきた最強の魔王だ。
そんな男が、ワインを飲みながら微かに手を震わせていた。
なぜ? それは未知なる力の波動を感じたから。
世界を揺るがすほどの魔力が2度も放出された。
一度目は、約一年前。人間界の方角から感じたこともない量の魔力が解き放たれた。二度目はつい先日。場所は前回と同じ人間界の方角から。1度目をさらに上回る魔力が発生した。
人間界で発生した魔力など、『悪魔の森』にいたナイトメアには距離が離れすぎて普通なら感知できない筈だが、魔力があまりにも膨大だったせいで、無意識に感じとることが出来た。
「ふっふっふ」
自然とナイトメアから笑みがこぼれる。
あれは、あまりにも美しすぎる力だった。
命ある者に死を届ける絶望的な魔力量。
長年生きた自分にも到底真似できない芸当。
ナイトメアは立ち上がり、窓から人間界の方角へと目をむける。
新たな強者がこの世界に誕生した。それも、特級の化け物。
定期的に、世界には信じられない力を持った奴らが生まれる。
しかし、今回はどうやら滅多に現れない本物のようだ。
おそらく、俺以外にも気が付いてる者もいるだろうと、ナイトメアは考える。
世界各地で他の地域を支配する魔王たち。人の世界で魔法の研鑽を続ける魔女。最近裏で力を伸ばしている怪しげな教団。そして、人類の希望であるSSS級冒険者。
誰があの魔力を放ったか知らないが、ソイツに影響されて、間違いなく世界は大きく揺れ動くとナイトメアは確信する。
隠れていた実力者達も動き出すはず。
だから、自分も来る時に備えて準備をしておこう。
「くっくっく、一体どんな傑物か今から楽しみだ・・・・・・」
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