ロックオン!!～巷で噂の俺yoeee系主人公～

第３９話 希望に満ちた目

「行くぞ！！」

　武勇はバロウズに向けて走り出した。

「不良の拳（ヤンキーパンチ）！！！！」

　バン！！！！

　武勇の拳はバロウズの両刀によって防がれた。

「相変わらずの衝撃だが…」

「防げばどってことない！！」

「くらえ！！」

「二天肉裂斬（ダブル・スラッシュ）！！」

「おっと！！」

　バロウズの攻撃は武勇の体をかすめた。

「ふっ…　うまく避けたつもりだったかもしれんが…」

「お前と俺とでは攻撃のリーチが違う…」

「何度、そうやって突っ込んできたところで、いずれは、この刀によって切り裂かれる運命なのだ！！」

「……」

「だったら…」

「不良の翔…」

「いやっ…」

　武勇はまた、バロウズに向けて走り出した。

「くらえ！！」

「不良の拳（ヤンキーパンチ）！！！！」

　武勇の拳はまた、バロウズの刀によって防がれた。

「ふんっ！！」

「……」

　武勇はバロウズの攻撃を間一髪で避けた。

「おいおい…　どうした！？」

「馬鹿みたいに、突っ込んできてばっかりじゃないか！！」

「さっきみたいに、拳の衝撃波とかで攻撃してこないのか！？」

「……」

「しねぇよ…」

　武勇はファイティングポーズをとった。

「お前は、俺の大切なものを傷つけた…」

「だから…　直接、拳で倒さないと気が済まない…」

「……」

「さっきから…　許さないだと…　大切なものだの…」

「お前この町の出身じゃないんだろ！？」

「一体何が、お（・）前（・）を（・）そ（・）う（・）さ（・）せ（・）る（・）ん（・）だ（・）！？」

「……」

「ガキどもさ…」

「！？」

「俺は…　俺があいつらぐらいの年齢の時…」

「ずっと絶望の中を生きてきた…」

「けど…　あいつらは違う、こんなスラムの町の中でも…」

「希望に満ちた目をしている…」

「俺は…　自分で言うのもなんだが、決して誇れるような生き方をしてきていない…」

「だから…　そんなクズの人生をかけても、守りたいものがこの町にあるってってことさ…」

「……」

「ほぅ…　あのガキどもがそんなに大切か…？」

「なるほどな…」

「だったら…　い（・）い（・）も（・）の（・）を（・）見（・）せ（・）て（・）や（・）る（・）！！！！」

　バロウズは急に走り出した。

「！？」

「おい！！　どこに行くんだ！？」

「ハッハッハ！！　ついて来い！！」

「ハァ…　ハァ…」

「おいおい…」

「何十発、何百発お前のパンチを食らっても…」

「俺の体に傷一つつけることが出来ていないぞ！！」

「くそっ…　もう両拳がボロボロだ…」

「あと何発…　拳が壊れる前に当てれるか…」

　カチャッ…

　セクストンの大砲はシンの方に向いた。

「ハハハ…　そんなボロボロな体でこの大砲の餌食になるのも時間の問題だな！！」

「ハァ…　ハァ…」

「おい！！　セクストン！！」

「！？」

　バロウズは要塞となった、セクストンの大砲の砲身に乗った。

「何だ…　バロウズ…　（前が見辛いんだが）」

「ふっ…　お前がこの姿になるとは…」

「中々…　苦戦しているようだな…」

「うるさい！！　もう少しでとどめを刺せるところだったのに！！」

「……」

「まぁいい…」

「ところで…」

「お前…　あのリーゼント野郎殺したのか…？」

「いやっ、まだだ…」

「もうすぐこっちに向かってくるはず…」

「ちょっと…　面白いことを考えてな…」

「おい！！　お前！！」

「何だ！！　俺に勝てないからって、仲間の所に逃げてきたのか！？」

「あっ…　不良野郎！！」

「……」

「何だお前か…」

「どうした…　そんなボロボロで…」

「もしかして、あの大砲野郎にボコボコにされてたのかぁ…？」

「うるさい！！！！」

「お前らが邪魔しなきゃあんな奴…」

「おい！！　お前ら！！」

「今から…　いいもん見せてやるよ！！」

　セクストンは大砲を南の方角に向けた。

「リーゼント野郎…」

「お前…　確か…　希望に満ちた目をしている、この町のガキどもを守りたいって言ってたな…」

「……」

「その目が絶望に変わったらどうする…？」

「まっ…　まさか…」

「やめろ！！！！」

「もう遅い！！！！」

「フ（・）ァ（・）イ（・）ヤ（・）ー（・）！！！！」

　ドン！！！！

　セクストンの大砲から、南の方角へ弾が発射された。

「フフフ…」

「ハハハハハ！！」

「おい見たか！！　セクストン！！」

「あの孤児院に命中したぞ！！」

「……」

「いやっ…　双眼鏡がないと全く見えないんだが…（というか、この姿じゃ双眼鏡も使えない…）」

「おーそうかそうか！！」

「あれだ！！　あの煙が出ているところがそうだ！！」

「……」

「さてと…」

　バロウズはシンたちの方を向いた。

「ガキどもの帰る家はもうなくなった…」

「いやー残念だったな…　リーゼント野郎…」

「これで、楽（・）し（・）い（・）家（・）族（・）ご（・）っ（・）こ（・）も（・）で（・）き（・）な（・）く（・）な（・）っ（・）た（・）…」

「……」

「お前ら…　自分達が何をしたのか、わかっているのか…？」

「ああん！？」

「確かに、お前の言う通り、あいつらには血の繋がりがない…」

「けどよ…　あいつら、こんな汚いスラムで、肩寄せ合って必死に生きてんだ…」

「その家を、遊び半分で破壊して…」

「挙句の果てに、家族ごっこだと…」

　ぐっ…

　武勇は拳を握り締めた。

「上等だ！！！！」

「てめーら！！！！　死（・）ん（・）で（・）も（・）文（・）句（・）は（・）ね（・）ー（・）な（・）！！！！」

　ピカッ！！！！

　武勇とシンの腕輪が光りだした。

「なっ…　何だこの眩しい光は！？」

「おい不良野郎…」

「いったん共闘だ…」

「暴（・）れ（・）る（・）ぞ（・）！！！！」

「……」

「おう！！！！」

　シンと武勇は背中を合わせてファイティングポーズをとった。

　第３９話　FIN