第37話 超弩級要塞

「しっ… 信じられん…」


「この頑丈な大砲に、拳の跡がくっきりとついている…」


「一体… どんな馬鹿力してんだ…」



「あー… 何かまだムシャクシャするぞ…」


「てか… これが、あの不良野郎の能力なのか…」


「ただイライラするだけじゃねぇか…(プンプン丸って名付けよ…)」


「まぁいい… どうせ、あいつを倒さなきゃいけないんだ…」



「ボコボコにして、俺のストレスも発散しよーーっと!!」



「くっ… そうやすやすと負けてたまるか!!」



 ドン!!!! ドン!!!!


 ドン!!!!



 セクストンは、空に3発、弾を発射した。



「ふっ… さっきの追尾弾だ…」



「黒焦げになりやがれ!!」



 ドン!!!!



 上空で爆発した後、無数の大砲の粒たちは、シンめがけて、落ちていった。


「……」



 ドン!!!!



「やっ… やった!! 直撃だ!!」



「上を見ても、あいつの姿はない…」


「流石のあいつもこれで…」



「……」


「ったく… 痛ってーな…」


 爆発の中からシンが姿を現した。


「!?」


「どっ… どうしてだ!?」


「なぜ… 生きている!?」


「なぁに… 簡単なことさ…」



「防御した… それだけ…」



「……」


「えっ… どういうことだ…」


「大きさは、粒サイズだとしても、威力は普通のサイズと何ら変わらんぞ…」


「そんな… 大量の大砲の弾を、ただ防御するだけで、耐えられる人間なんているのか…?」


「それに… さっきまでは、あの爆発を避けていたが…」


「どうして、今度は受けたんだ…?」


「あいつの体に一体何が起こったんだ…?」


「……」


「さて…」


「ちょっと… さっきのは痛かったぞ…」



「覚悟しろよ… お前…」



 シンは、左腕で右肩を抑え腕を回し始めた。



 ふっ… また、右腕で殴るだけか…


 とてつもない、破壊力があったとしても…


 芸の無いやつだ…


 そんな単調な攻撃、簡単に避けれるわ…



「よしっ…」


「ふぅー… 腕が軽くなったぜ…」


「じゃあ… 行くぜ!!」



 シンはセクストンに向かって走り出した。



「八ッハッハ!! そんな真正面から突っ込んでくる奴がいるか!!」


「もう手加減せんぞ!!」


「黒焦げにしてやる!!」


 カチャッ…



 ドン!!!! ドン!!!! ドン!!!!


 ドン!!!! ドン!!!!



 セクストンはシンに向けて、5発大砲を撃った。


「あぁん!? また、あの弾かよ!!」


「そうだ!!」


 シンは、右手で、砂をすくった。


「くらえ!!」



!!」



 ドン!!!!



 シンの投げた砂は、大砲の弾に当たり、弾が爆発を起こした。


「なっ… 何っ!?」


「ハァ… ハァ… やったぜ…」


「何か… この能力使うと…」


「なぁーんも、考えられなくなるんだな…」


「ほんと… 後先、考えずに動いてる感が半端ない…」


「……」


「まぁいっか!!」


 再度、シンはセクストンに向けて走り出した。


「くそっ… もう一度…」


 カチャッ…


「ふっ… 遅いわ!!」


 シンはセクストンの近くで大きくジャンプした。


「くらえ!!」



ヤンキー頭突きヘッドバット!!」



「がはっ…」


 シンは、セクストンの顔面に、頭突きを食らわせた。


「どうだ!! この石頭!!」


「ひとたまりもないだろ!!」


「くっ… くそっ…」


「何なんだこいつは…」


「さっきから、わけのわからん攻撃をしやがって…」


「それに… 頭突きって…」


「一体何のために、さっき腕を回してたんだ!?(腕使ってないじゃねぇか)」


「ふっ… 馬鹿め…」


「これは作戦なのだよ…」


「お前は… さっき俺が腕が回しているのを見て、また、パンチが飛んで来ると勘違いしたんだろ!!」


「!?」


「甘いのだよ… 戦いってのは常に、ここ!!」


「頭を使わないとな!!」


「……」


 絶対、こいつそんなこと考えてないわ…


「八ッハッハ!! (ラッキー… 何かノリでやった攻撃が上手くいったぜ…)」


「ふぅ…」


「今、わかった…」


「俺は、お前が苦手だ…」


「だから… さっさと… この戦いを終わらせたい…」


「フゥ…」



 ガチャ… ガチャ… ガチャ…


 ガチャ…



「……」


「ククク…」


 セクストンは、中心に大きな大砲を持った、要塞のような姿になった。



 能力名:超弩級要塞グスタフ・ドーラ



「おいおい… こいつ、でっかい城みたいな姿になりやがったぞ…」


 シューッ…


 セクストンの大砲は、ゆっくり、動いて、シンの方に向いた。


「こっ… これは… まずい…」



「フャイヤーーーー!!!!」



 ドン!!!!



「うわっ!!」


 シンは、セクストンの大砲を間一髪避けた。


「……」


「うっ… 嘘だろ…」


「さっきの爆発で…」


「地面がえぐれてる…」


「フッ… さっきは間一髪避けたが…」


「どうだこの火力…」


「さっきとは、桁違いの威力だろ…」


「もう、さっきみたいに、耐えることはできないぞ…」


「くそっ…」


「だったら…」


 シンは、セクストンの近くまで、全速力で走って移動した。


「ふぅ…」 


「これでもくらいやがれ!!」



ヤンキーの拳ヤンキー・パンチ!!!!」



 ドン!!!!



 シンは、大きく振りかぶって、セクストンの体をぶん殴った。



「どうだ!! さっきよりも、力を込めたから…」


「ひとたまりも…」



「フフフ… どうした…」


「痛くもかゆくもないぞ…」


「えっ… まじかよ…」


「っていうか…」



「痛ってーー!!!!」



「くそっ… やばい…」



…」



 第37話 FIN

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