第36話 イライラしてきたぞ

「なっ… 何ださっきの音は!?」



「ファイヤーーーー!!!!」



 ドン!!!!



「うわっ!!」


「おいおい… お前… そんなよそ見してる暇あんのか…?」



「うるせーーーー!!!!」


 シンは、セクストンめがけて走り出した。


「くらえ!!」



「助走付き!!キーック!!」



「おおっと!!」



 シンの蹴りは、セクストンの大砲に防がれた。


「……」


「くそっ…」


「何か… さっきマックスの能力を使った時よりも…」


「力が入らない…」


「おいおい!! どうした!?」


「俺の大砲を蹴飛ばした、あれはまぐれだったのか!?」



「今度はこちらから行くぞ!!」



「ファイヤー!!!!」



 ドン!!!! ドン!!!!



 ドン!!!!



 セクストンは空に、3発、弾を発射した。


「いっ… 一体何をするつもりなんだ…?」


「フフフ… この大砲…」



「名を“超弩級大砲グスタフ・ドーラ”」


「これは、リチャードのガトリングガンとは違い…」


「連射が出来ないから、すばしっこいやつにはめっぽう弱い…」



「だが…」



 ヒューーーーッ……



「なっ… 何だ…」


「あんなもの… 避けようと思えば…」



 ドン!!!!



「!?」


「何っ… 上空で爆発した!?」


「……」


「それに何だ…」


「あの粒たちは!?」


「くらえ…」



 無数の粒たちは、シンめがけて、落ちていった。


「ふっ… こんなもん…」


「全部避けれる…」


「何っ…!?」


「まさか…」


「フフフ… そう…」


「大砲の粒は、目標に追尾するようになっている…」


「くそっ…」


「けどこんなのマックスの能力があれば…」


 シンは粒を振り切るように走り出した。



「さて… 一体いつまで逃げ切れるかな…」


「ふっ… 走人ランナーをなめるなよ…(マックスの能力だけど…)」


 シンは粒を避け続けた。


 しかし…



 ドン!!!!



 シンは、逃げている際中、1つの粒にぶつかり、爆発を起こした。


「がはっ…」


「ふぅ… もう終わりか… あっけないな…」



 大砲の粒がシンの周りを囲んだ。


「しまった!!」


「フフフ… 行け!!」


 シンの周りを囲んでいた、粒たちが一斉にシンめがけて動き出した。


「くそっ…」


 ドン!!!!



 ドン!!!! ドン!!!!



 1つ1つの粒たちは爆発を起こし、周りに土煙が舞った。



「ふっ… これであいつも終わりだ…」


「この土煙が、晴れると…」


「真っ黒こげなあいつの体が…」



「何っ!?」


「あいつがいない!?」


「いったいどこに!?」



「ふぅ… 危ない… 危ない…」


「間一髪だったな…」


「……」


「なるほど… 粒同士が衝突して、爆発する寸前にジャンプして避けたか…」


「だが… そんな上空で…」


 カチャッ…


 セクストンは、シンに大砲を向けた。


「避けられるかな!!」



 ファイヤー!!!!



「ドン!!!!」



「あっ… やばい!!」


「そうだ!!」


 シンは右脚に付けていた、銀の腕輪を外して弾へめがけて投げた。



 ドン!!!!



「うわっ!!」


 シンは爆風によって、姿勢を崩し、地面に落ちた。


「痛ってって…」


「!?」


「腕輪は!?」


「……」


「ダメだ… 見当たらない…」


「そうだ!!」



 シンは、近くに置いてあった鞄まで、走っていった。



「えっ… 一体何を考えてるんだあいつ…?」


「よし… あったぞ!!」


 カチャッ…


 シンは、鞄の中にあった、もう一つの、銀の腕輪を右足につけた。


「よし… これで…」



 能力名:走人ランナー



「行くぞ!!」


 シンはセクストンに向けて走り出した。


「なっ… 何だ!?」


「何か… さっきと比べて、遅いし…」


「走りに力強さがないぞ…」


「あいつの作戦か?」



「……」


 やっ… やべー…


 これ絶対、能力が発動してないじゃねぇか…


 まぁいい…


 一回、このまま突っ込む…



「ファイヤー!!!!」



 ドン!!!!



「ひえっ!!」


 シンはすれすれで、大砲の弾を避けた。


「あっ… あぶねー…」


「くそっ… 能力が使えないんじゃ、あいつに勝てないぞ…」


「どうする…」



「!?」


「そうだ!!」



「1つだけ、賭けてみるか…」



 シンはもう一度、鞄まで、走っていった。



「うーん… 何か腑に落ちないが…」


「仕方ない…」


 シンは鞄から金の腕輪を取り出した。


「おい!! 大砲野郎!!」


「ちょっと待ってくれ!!」


「すぐ、戻るから!!」


「はっ!?」


 シンは走り出した。



「くそっ… 死にやがれ!!」



ハサミの一裂きシザーズ・クロー!!」



 バロウズは両腕のはさみを武勇に向けて振り回した。


「よっと…」


「ほい…」


 武勇は、バロウズの攻撃を軽々とかわした。


「何だこの攻撃は、あくびが出るぜ…」


「てめぇは、両腕についてるそれを振り回すことしかできないのか…?」


「ぐぬぬ……」


「それじゃあ… こっちから行く…」



「おーーい!! 不良!!」



「えっ!?」


「ちょっと、これを腕に付けてくれないか!?」


 シンは武勇に、金の腕輪を投げた。


「はっ?」


「おっ… おい!!」


「ちょっと!!」


「それじゃ!! そいつは任せた!!」


 シンは武勇達を背に、セクストンの方に走っていった。


「……」


「一体、何なんだこれ…?」


「まぁいい…」


 武勇は金の腕輪を自分の右腕に付けた。


「さて… 続きを始めるか…」



「いやー… 待たせたな…」


「じゃ…」


 シンは、銀の腕輪を自分の右腕に付けた。


「ふっ… 何があったが知らんが…」


「お前はここで死ぬんだ…」



 ファイヤー!!!!



「ドン!!!!」



「……」


「おいおい… またその攻撃かよ…」


「何っ!?」


「無傷だと!?」


「あー… なんかイライラしてきた…」


「そうだ… ちょうどいい獲物があそこに…」


 シンは、ポケットに手を突っ込み、一歩ずつ、セクストンに近づいた。


「なっ… 何だ…」


「来るな!!」



 ドン!!!!



「やっ… やった!! 直撃…」



「ったく… ますますイライラしてきたぞ…」



「嘘だろ…」


 シンはセクストンの目の前まで近づいて、大きく腕を振りかぶった。


「やっと… スカッとできるぜ…」



「喧嘩上等…」



!!!!」



 ドン!!!!



 シンの渾身の力を込めた拳は、セクストンの大砲に直撃した。


「……」


「なっ… 何だよこれ…」


「大砲に…」



…」


 第36話 FIN

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