第35話 正義の味方

 リチャード・ガトリング… 元、とある国の傭兵…


 寡黙な性格で、決して声を荒げることがない男だが…


 過去に、1つ大きな事件を犯した…



 



 リチャードは、奇声を発しながら、戦場でガトリングガンを撃ち続けたのだという…


 このことがきっかけとなり、彼は、国を追われ、殺し屋になった…



 ……


 懐かしいな…


 あの時は確か…


 眠かったんだよな…


 その眠気をぶっ飛ばすために…


 あれを使った…


 けれど楽しかったな…


 大暴れしまくって、終わった後は死体の山…


 長い間使うことはなかったが…


 まさか… こんな餓鬼1人に使うことになるとは…


 フゥ―……



 バキッ… バキバキバキ!!



 リチャードの右腕の機関銃の下に2つ新たに銃が付き、左腕も右腕と同じように3つの機関銃に変化した。



「2丁回転式多銃身機関銃MK500モードDESTRUCTION!!」



「ハァ… ハァ…」


「おい小僧… 覚悟はできてるんだろうな…」


 ……


 見た感じ、銃が増えただけにしか見えない…


「これじゃあ… さっきと同じように生身の体の部分を攻撃すればいいんじゃないのか…」


 シュッ…


 マックスは全速力で走りだした。


「くらえ!!」



跳び蹴りクリアランス・キック!!!!」



 ドン!!!!



 マックスの蹴りは、セクストンの顔面に直撃した。


「……」


 おかしい… さっきは銃で攻撃を防がれたけど… 


 今度は、全く何も防御をしてこなかったぞ…



「フッフッフ……」


「お前の蹴り、全く効かなかったぞ…」


「何故だかわかるか…?」


「……」


「それはな…」


「俺は銃の一部となったからだ…」


「!?」


「お前の渾身の蹴りが全く効かなかったこの機関銃…」


「俺の体は、この銃と同じ強度を持った…」


「さてどうする!?」


「今までの攻撃じゃ俺を倒すどころか…」


「俺の体に傷一つつけることができないぞ!!」


「フッフッフ… これでお前に勝ち目はなくなった!!」



「……」


「確かに、今までの攻撃じゃおじさんを倒すことが出来ないと思うよ…」


「だから…」


「新技を使う…」



「……」


「おい… くそチビ…」


「どうした不良…」


「お前の仲間一人で大丈夫か?」


「……」


「フッ… あいつは大丈夫だ…」


「マックスは、俺と旅を始めてからずっと、鍛えてるんだ…」


「正義の味方として、沢山の人を守れるように…」



「そんな奴が…」



!!」



「……」


「そうか…」



「新技だとぉ…」


「はったりかましやがって!!」


 カチャッ…



 ガガガガガガガガ!!



「ハッハッハ!! いいか小僧!!」


「俺の機関銃は6つになった!!」


「それは、攻撃範囲が広くなったこと、弾が切れずにずっと撃ち続けることが出来るということだ!!」


「いくら足が速くて、スタミナがあったとしても、ずっと攻撃を避け続けることはできまい…」


「もうすぐあの世に送ってやれるぜ!!」


「……」


 僕は、不安だった… これから先、どんな敵と戦うことになるのか…


 果たして、僕は生きて冒険を続けることが出来るのか…


 そして…



 本当に沢山の人を救うことが出来るのか…



 僕は負けるわけにいかないんだ…



「くそっ… こざかしい!!」


「何百発も撃ち続けているのに…」


「一発も当たらない…」


「一体こいつのどこにこんな体力があるんだ!?」


「……」


「いやむしろ… 速度が増している…?」



 よし… 体が温まってきた…



「今ならいけるかもしれない…」



 シュッ…



 マックスは、リチャードの弾丸の隙をついて、リチャードの正面に移動した。


「何っ!?」


「しまった!!」


「ここじゃ… 弾丸が当たらない!!」



「……」


 僕の脚は…


 鋼のような足の硬さ、バネのような筋肉の伸縮性を持っているからこそ…


 速さ… 破壊力が出る…


 それを最大限に利用する…



 マックスはその場でジャンプして、リチャードの頭の高さを超えたところで、足を振り上げた。



「くらえ…」



「一点突破!! かかと落としマックス・ハンマー!!」



 ドン!!!!



 マックスのかかと落としによって、リチャードの顔は思いきり地面に叩きつけられた。


「どうだ… これはただのかかと落としじゃないぞ…」


「かかとにすべての力を集中させた、ムチのようなしなりのある蹴り…」


「この衝撃は、ひとたまりもないはず…」



「……」


「ハァ… ハァ…」


 リチャードがふらつきながら、立ち上がった。


「おっ… 驚いた…」


「この強度をもってしても、これほどの衝撃を受けるとは…」


「だが… 甘い…」


「俺は、まだ戦えるぞ…」


 フラッ…


「……」


「おじさん… もうやめた方がいいと思うよ…」


「そんなフラフラな体じゃ…」


「僕に弾を当てることなんて、出来ないよ…」


「うるさい!!」



 ガガガガガガガガ!!



 マックスはリチャードの弾丸をすべて避けた。


「くそっ… さっきの衝撃で、体がふらつく…」



「こんな… こんな奴に負けるのか…」


「こんな… ガキに…」



「……」


「おじさん…」


「もう終わりにしよう…」


 マックスは高速で移動してリチャードの背後に移動した。



「なっ… 何を…」



「一点突破!! 回転回し蹴りマックスピニング!!」



「がっ… がはっ…」



 リチャードが振り向いた瞬間、マックスの回転蹴りがリチャードの顔に直撃し、リチャードは膝から崩れ落ち、気絶した。



「ハァ… ハァ…」


「何とか倒した…」


「初めて、試したけど、まだまだ改良の余地ありって感じだ…」


「それに…」



 バタン…



 マックスはその場であおむけになって倒れた。


「この技… 体の全ての力を一か所に集中するから…」


「使った後は、全身に力が入らないや…」


「今のところは2発が限界か…」


「……」


「疲れたなぁ… 体が動くまで、ここで、じっとしていよっと…」


 第35話 FIN

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