第34話 回転式多銃身機関銃

「ふぅー…」


「何かすっごい腕だな…」


「……」


 カチャッ…


 リチャードはマックスに向けて右腕の機関銃を向けた。


「えっ…」



 ガガガガガガガガ!!



「うわっ!!」


 マックスはリチャードの撃った、弾丸をすべて避けた。


 カチッ… カチッ…


「チッ… 弾切れか…」


「ハァ… ハァ…」


「いっ… いきなり撃たないでよ!!」


「……」


「むっ… 無視!?」


「……」


「おい… お前…」


「えっ… 僕!?」


「その足が速くなるのが、お前の能力か…?」


「えっ… そうだけど…」


「そうか…」


「……」


「じゃあ僕も聞くけど…」


「おじさんたちはどうしてこの町を襲ったんだ!!」


「……」


「まっ… また無視!?」


 くっそー!! なんだかイライラしてきた!!



 マックスは全速力で走りだした。


「くらえ!!」



跳び蹴りクリアランス・キック!!!!」



 ドン!!!!



 マックスの蹴りは、リチャードの機関銃によって防がれた。


「ふんっ!!」


 マックスはリチャードによって薙ぎ払われ、地面に叩きつけられた。


「いってって…」


「くっそー!! 何だあの銃は… ビクともしないぞ…」



 カチャッ…



 リチャードは、地面に倒れているマックスに右腕の機関銃を向けた。


「!?」


「やばい!!」



 ガガガガガガガガ!!



 マックスは、リチャードの弾丸を間一髪で避け、距離をとった。


「ハァ… ハァ…」


「まずい…」


「あの銃に蹴りを防がれたら、スキができてしまう…」


「ともかく、蹴りを生身の体の部分にあてないといけないってことか…」


 カチャッ…



 ガガガガガガガガ!!



「うわっ!!」



 カチッ… カチッ…



「ハァ… ハァ…」


「ほんと!! 危ない人だなぁ!!」


「……」


 くそーっ!! めちゃくちゃ、やり辛い!!


「……」


 そういえば、あの人ずっと、銃を眺めたり、手でこすったりしてるな…



「ねぇおじさん!!」


「その銃カッコイイね!!」


「……」


「ふっ…」


「ハハハハハ!!」


「小僧!! お前もこれの良さがわかるのか!!」


「うん!!(すごく声が大きくなったぞ… 本当はあんなキャラクターなの?)」


「これは…」


「要は、ガトリングガンというやつだ!!」


「ガトリングガン…」


「この銃はいいぞ… 何せ、ぶっ壊れる様が、見てて気持ちいいからな!!」


「……」


「それに、俺を恐れて、逃げ惑う人々…」


「あの圧倒的強者感はたまらないぜ…」


「この町を襲った時もそうだ…」


「そこら辺にある建物を少し、壊しただけで、みんな逃げていきやがった!!」


「……」


「ふっ… やっぱり、弱いってのは罪なことだな!!」


「逃げる奴らの背中が、怯えきっていて、見るに堪えなかったぜ!!」


「……」


「ねぇ… おじさん…」


「本当にそんなこと思っているの…」


「はぁ!! 当たり前だろ!!」


「じゃなきゃ、こんな仕事してねぇわ!!」


「そっか…」


 ぐっ…


 マックスは拳を握り締めた。


「僕はロックオンだ…」



!!」



 マックスは、リチャードに向けて走り出した。


「ふっ… 許さないだと…」


「そんな、まっすぐ突っ込むことしかできない奴に何が…」



 シュッ…



「何っ!! 消えた!?」


「くそっ… どこにいるんだ!!」


「出てこい!!」



「……」


「いるよ…」


「後ろに…」


「えっ…」



回し蹴りラウンド・キック!!」



 マックスの蹴りは、振り向いた、リチャードの顔面に直撃し、リチャードは膝から崩れ落ちた。


「痛ってー!!」


 なっ… 何なんだこいつの蹴りは!!


 まるで、鉄でぶん殴られた感じだ…


「おじさん… もうこれ以上はやらない…」


「早く、自首して罪を償うんだ…」


「……」


「罪を償えだぁ…」


「冗談じゃない!!」


 リチャードはマックスから距離をとり、マックスに銃を向けた。


「ハァ… ハァ…」


「いいか… 小僧…」


「これはビジネスだ…」


「見たところ… まだロックオンになって、日が浅いとみた…」


「お前にはまだわからんだろうが、犯罪者なんてみんなこんなもんだ…」


「大半は金目当て、金さえもらえれば、なんだってやる、頭のおかしなやつらだ…」


「そんな奴らに、罪の意識なんてものはない!!」


「……」


「そう… だったら、説得するのはもうやめるよ…」


「くっ!! 死にさらせ!!」



 ガガガガガガガガ!!



 マックスは、リチャードの撃った、弾丸をすべて避けた。


 カチッ… カチッ…


「くそっ… なんでこいつ、弾より速いんだ!!」


「……」


「鍛えているからさ…」


「何だと…」


「僕はおじさんの言う、強者じゃないから…」


「ずっと、強くなるために努力し続けた…」


「いい… おじさん…」


「いくら弱くても、自分を信じて努力し続ければ…」


…」


「……」


「勝てる… だと…」


「おいおい!! 冗談だろ!!」


「まだ勝負はついちゃいねぇぞ!!」


「えっ…」


「お前… もう勝った気でいるのか!?」


「確かに、弾より早く動けることには驚いたが…」


「肝心な銃に全く傷がつけていない…」


「ということは、お前の蹴りは、この右腕のガトリングガンを壊すことができないということだ!!」


 リチャードは、目を閉じ、両腕を上げ空を見上げた。


「ふぅ… 久しぶりにあれを使うか…」


 第34話 FIN

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