第31話 素手かな…

「ふっ… そんな戯言ざれごとを…」


「生身の体で俺たちにどうやって勝つってんだ!?」


「……」



「素手かな…」



「ほほーっ… じゃあやってみろ!!」



「ファイア――――!!!!」



 ドン!!!!



「……」


「遅い…」



 武勇は砲弾を避け、一瞬でセクストンの間合いを詰めた。



「何っ!?」



「じゃあ… 手加減なしってことで…」



「まっ… 待て!!」



「特攻…」



「鬼ラッシュ!!!!」



「ガ八ッ!!!!」



 武勇の連続パンチはセクストンを吹き飛ばした。


「ふぅー…」


「もう終わりかよ…」



「ハァ… ハァ…」


 くそっ… 何なんだこいつ…


「おい!! リチャード!!」



「こいつを撃ち殺せ!!」



「はいよ…」



 ガチャッ!!


 ガチャガチャ!!



 能力名:回転式多銃身機関銃MK500



 リチャードの右腕は、ガトリングガンに変化した。


「ふぅー…」


「じゃ…」


「あばよ…」



 ガガガガガガガガガ!!!!



「うわっ!!」


 リチャードのガトリングガンは周りの物を破壊し尽くし、あたりは土煙に包まれた。



 カチッ… カチッ…


「チッ… 弾切れか…」


「まぁいい…」


「セクストン… あいつをハチの巣にしてやった…」


「これでゲームクリア…」



「誰がハチの巣になったんだぁ…!?」



「!?」



 武勇は土煙の中から姿を現した。


「きっ… 貴様…」


「生きてたのか…」


「あー… 流石にあれは俺もきつかった…」


「それじゃあお返しだ…」


 シュッ…


「消えた!?」


 武勇はセクストンと同じように一瞬でリチャードの間合いを詰めた。


「じゃ…」


 武勇は膝をかがめ、腕を下げた。


「特攻…」


「鬼…」



「まずい!!」



「アッパー!!!!」



「くそっ!!」



 ドン!!!!



 リチャードは、武勇のパンチを受ける直前、ガトリングガンになった右腕でガードしたが、全身に衝撃が走りその場で膝から崩れた。



「ハァ… ハァ… やばい…」


「さっきの衝撃で体が麻痺している…」


「それに…」


「何だこのでたらめな強さは…」


「……」


「だが、まだチャンスはある…」



「おい!! お前ら!!」


「俺の強さは十分わかっただろ!!」


「さすがに命までは取らないから、さっさとこの町から出ていけ!!」



「……」


「おいおい… 俺はまだ…」


「あんたの強さ知らないぜ…」


「!?」


「誰だ!?」


 武勇の後ろに両腕がハサミでロン毛姿のやせ細った男が子供達とシスターを人質に取り、立っていた。



「てっ… てめー…」



「おっと… 動くなよ…」


「動くとこいつらの首を撥ね飛ばすからな…」


「ぶっ… 武勇君…」


「……」


「わかった…」



「おい!! みんな!!」


「いったん集まれ!!」


 天流ているは漢組のメンバーを集めた。


「見た感じ、怪我人の手当ては終わったようだな…」


「そろそろ頭も終わった頃だろう…」


「行くぞ!!」


 漢組は武勇が闘っている場所へ向かった。



 キ――ッ…



「えっ… 嘘だろ…」


「頭!! 頭!!」



 武勇はボロボロの状態で木で作られた十字架に磔にされていた。


「ハァ…… ハァ……」


「おっ… お前ら…」


「来るな…」



「えっ!!」



「ほほぅ… こいつらが漢組か…」


「わざわざ… ボスが殺されるのを見に来るとは…」


「律儀な奴らだな…」


「おっ… お前は…」



「俺はバロウズ…」



「そうだ!!」


「いいこと考えた!!」


「セクストン!! リチャード!!」


「せっかくだ!!」


「ボーナスゲームとして…」


「こいつらをいたぶってやろうぜ…」



「うい…」「……」



「シスター!! みんなー!!」



 ……


「くそっ… 誰もいないのか…?」


「ねぇシン…」


「これって一体どうなってんの…?」


「孤児院がめちゃくちゃに荒らされてる…」


「……」


「さっき、逃げてる人が言ってたけど…」


「この町を誰かが襲っているらしい…」


「だから… 町中がめちゃくちゃだったんだ…」


「きっと… ここも… そいつらにやられたんだろう…」



「何目的か知らんが…」


「酷いことしやがる…」


 シンは拳を握り締めた。


「マックス…」


「犯人を絶対に見つけ出して…」


「俺たちで捕まえるぞ!!」


「うん!!」


「もうこんな酷いことはさせない!!」



「ガ八ッ!!」


 バタン…


「……」


「おいおい!! もう終わりかよ!!」


「もっと暴れないと気がすまねぇ!!」


「ふっ… セクストン…」


「何そんな… ピリピリしてんだ!?」


「……」


「あのリーゼント野郎…」


「あいつにぶっ飛ばされて…」


「俺は… むしゃくしゃしてんだ!!」


「だからこいつらにぶつけてやろうと思ってたのに…」


「こんなんじゃ腹の虫が収まらねぇ!!」


「ハッハッハ!!」


「そりゃ… 災難だったな…」



「くそっ…」


「子供たちを人質に取られてるからうかつに手を出せない…」


「だから… 頭も、あんな姿に…」


「……」


「ダメだ… 傷が深すぎる…」


「頭… すみません…」


 バタン…


 漢組はセクストン、リチャード、バロウズの3人によって、全滅させられた。



「……」


「大変なことになったわ…」


「あの漢組がこんなことになるなんて…」


「シスター…」


「私たちはいったいどうなるの…?」


「……」


「大丈夫… 心配いらないわ…」


「きっと… 正義の味方が来て、あんな奴らすぐ倒してくれるはず…」


「ほんと…?」


「うん… だから…」


「みんな、最後まで希望をもって、耐え忍ぶのよ…」


「わかった…」


「ふぅー…」


「けれど… 子供達もみんな怯えているわ…」


「神様… どうか私たちをお助けください…」



「……」


「あれっ… そういえばニアがいない…」



「シン君… マックス君…」


「!?」


「あれっ…」


「確か君は…」


「ニアちゃん!?」


 ニアは泣きながら、奥の部屋からシンたちの前に現れた。


「ぐすっ…」


「みんなをだずげで…」


 第31話 FIN

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