第30話 襲撃

 ー翌日ー(カラベス町中)


「なぁ… マックス…」


「全く生きた心地がしないんだけど…」


「当たり前だよ…」


「だって…」



「ずーーっと誰かに見られてるんだもん…」



 シンとマックスは昨日の出来事以降、漢組のメンバーに会うと、凝視されるようになった。



「ほんと、一躍時の人って感じだね…」


「あー 悪い意味でな…」


「ったく… あんのクソガキめ…」


「まぁまぁ…」


「あの子も謝っていたし…」


「それに… あんなこと言ったシンが一番悪いんだから…」


「くそっ… ともかく…」


「俺たちは4日後までにこの町をおさらばする…」


「それまでの辛抱だ…」


「うーん…」


「どうしたマックス!?」


「いやー… 聞けば聞くほど…」


「何かシンに同情が出来ないんだよな…」


「やっぱり… 武勇さんと闘って…」


「こっぴどくやられた方が今後のために良いんじゃない…?」


「なっ… 何だ今後の為って!!」


「これを機に今までの行動を反省するって感じかな…」


「マックス…」



「絶対に嫌だ!!」



「言うと思ったよ…」




 ー漢組アジトー


「頭… おはようございま…」


「頭!! どうしたんですか!?」


「死にそうじゃないですか!!」


「ハァ… ハァ… 天流ているか…」


「いや… あいつとの決闘に向けて…」


「朝っぱらからずっと…」


「サンドバック、ぶん殴ってた…」


「頭… ほんと気合入ってますねぇ…」


「まぁな… あんなこと言われちゃ…」


「さすがに黙ってはおれんだろ…」


「ふふっ… 確かにそうですね…」


「それに… 久しぶりに骨のありそうなやつが相手だから…」


「ちょっと… 燃えてきたんだよな…」



「頭!!」



「頭!! 大変です!!」



「どうした!?」



「変な2人組の男がこの町を攻撃しています!!」



「なんだと!?」



 ドン!!!!



「みんな逃げろ!!」


「とにかくこいつらから離れるんだ!!」


 住民は、謎の襲撃にあい逃げ惑っていた。



「くそっ!! これだけ暴れても、愛羅武勇どころか漢組のやつらも来やしねぇ!!」


「全くだ… まさか逃げたのか…?」



「おい!! 愛羅武勇出てこい!!」



「もし、姿を現さなければ…」



!!」



 ブルンブルン!!



「!?」


「おい!! 遠くから、バイクの集団が来てるぞ!!」


「なにっ!! もしかして… 漢組!?」



「なっ… 何なんだこの惨状は…」


「家が… 店が…」


「みんな… めちゃくちゃだ…」


「ん…? 頭!!」


「あいつらだ!! 前方にいる2人が爆弾らしきもので町を破壊しているらしい!!」


「……」


「わかった…」


 キ――ッ…


 武勇はバイクを降り、ヘルメットを脱いだ。


 武勇達の前には、太った大男と、背が高く、猫背でチューリップハットをかぶった男が立っていた。



「おい… おめぇら…」


「一体何の目的でこの町を襲ってるんだ!?」


「……」


「おい… リチャード…」


「リーゼント頭に、学ランだったよな…」


「俺たちのターゲットは…」


「あーそうだ…」



「お前… 愛羅武勇だな…?」



「だったらどうする…」



 パチン!!


「ビンゴ!!」


「俺たちはお前に用があるんだ!!」


「!?」


「何だと…」


「恨みなんてねぇが… どっちか選べ…」


「おとなしく俺たちに捕まるか…」


…」


「……」



「おいおい… 何か勘違いしてないか…?」


「なんで俺がお前らに負けるってことで物事が進んでるんだ!?」



「だったら選んでやるよ!!」



「答えは…」



「“”だ!!」



!!」



「うぉーー!! 流石だぜ!! 頭!!」


「頭!! 漢組の恐ろしさをそいつらに見せてやってくれ!!」



「おうよ!!」



「……」


「うーーん… いいねぇ…」


「流石… ターゲットに選ばれるだけのことはあるな…」


「よし、リチャード…」


「時間がない… 2人でさっさとこいつを倒そう…」


「……」


「はいよ…」



「頭!! 相手は2人だ!!」


「俺たちも加勢する!!」


「……」


「いや… 俺1人でいい…」


「えっ…」


「テメェらは… 怪我人の手当てにまわれ…」


「でっ… でも頭…」



「俺の命令が聞けないのか!!!!」



「いや… そんなわけじゃ…」



「だったらすぐに行け!!!!」



「……」


「行くぞおめぇら…」


「頭… 健闘を祈ります…」


 武勇を除いた漢組のメンバーはバイクを走らせ、怪我人の手当てや、逃げ遅れた人々を助けに行った。



「……」


「あれーっ… こっちは2人だけど…」


「いいの1人で…?」


「別に… あの人たちと闘ってもらってもいいんだけどな…」



「……」


「お前らの獲物は俺だろ…」


「さっさとかかってこい…」



「テメェらなんざ… 俺一人で十分だ!!」



「ふぅー… 何か舐められてる気がするなぁ…」


「まぁいい…」



「ハァァァァァ!!」



 大男は叫びだすと、男の右腕が、大砲に変化した。



 能力名:超弩級大砲グスタフ・ドーラ



「ハァ… ハァ… 愛羅武勇!!」


「俺の名は、セクストン!!」


「そして、もう1人は…」


「リチャード!!」


「それじゃあ…」



「ゲーム開始だ!!」



「……」


「来い…」


 武勇はファイティングポーズをとり、戦闘の準備をした。



「ファイア――――!!!!」



 ドン!!!!


 セクストンが大砲になった右腕から、砲弾を放った。



「おっと…」



 ドーン!!!!



 砲弾は被弾した壁を破壊し爆音を響かせた。



「チッ… そう簡単には倒させてはくれないか…」



「……」


「爆弾みたいなものってこのことか…」


「これを使って、この町をめちゃくちゃにしたのか…」



…」



 武勇はその場でジャブを始めた。


「フゥ――…」


「テメェら… …?」


 第30話 FIN

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