第20話 親子

「ところでシン… そんなに自信満々ということは何か策があるんだね…?」


「……」


「いや… ないです…」



 ズコッ!!



「えっじゃあ… どこからその自信は来てるの!!」


「いやー こういう感じの方がかっこいいかなと思って…」


「まぁ!! ともかくだ!!」


「今、腕輪も光っていることだし… 何とかなる!!(と思う…)」


「あーそう…」


「それよりも… マックス…」


「集中しろよ… 来るぞ…」



「うん…」



 グゥゥゥゥゥ……



 ドン!!!!



 ナザロフはシンたちにめがけて走り出した。


「来たぞ!! マックス!!」


「まず始めは…」



「避けろ!!!!」



「わかった!!!!」



 ドン!!!!



「いやーすっげーパンチだな… 地面に拳の跡がついてるわ…」


「あんなもの当たったらひとたまりもないぞ…」


「大丈夫かマックス!?」


「うん… 何とかね…」


「くっそー!! 何とか反撃しないといけないが…」


「どうしたらいいんだ…」


「ところでシン…?」


「!?」


「僕の蹴りは全く歯が立たなかった…」


「けれど君は… あいつを蹴り飛ばすことが出来た…」


「いったい何をしたんだい…?」


「!?」


「……」


「それは… 多分、この腕輪が関係していると思う…」



 グゥゥゥゥゥ……



 !?



「マックス、詳しい話はあとだ…」



「今作戦を閃いた… 反撃する…」


「わかった…」



 能力名:走人ランナー



 シンはナザロフに向かって走り出した。


 そうか… 今だったら… 



「蹴りでもくらえ!!!!」



 グゥゥゥゥ……



 フンッ!!!!



 シンの蹴りとナザロフの拳がぶつかり、二人の体勢が崩れた。


 やっぱりな… さすがに一方的には倒せなかったが…


 あいつとはある!!



「今だ!! マックス!!」


「思いっきり蹴りをぶち込んでやれ!!」


「わかった…」



 能力名:走人ランナー



 ブゥン!!!!



 マックスは前傾姿勢でダッシュした。


「すっ… すげー」


「ほんと… バイクが走っているみたいだ…」



 フッ……



 とっ… 跳んだ!?



跳び蹴りクリアランス・キック!!!!」



 マックスの蹴りは体勢を崩した、ナザロフの胸に直撃し、吹き飛ばした。


 シュッ……


 すっ… すっげー


 あいつ本当に手加減なしで、やりやがったな(まぁ俺が言ったんだけど)…


 それと…


 両方光っているのが、気になってはいたが…


 この腕輪は、金色と銀色両方とも装着者の能力を高めてくれるのか…



「大丈夫!? シン!?」


「あー けれど、体が全身筋肉痛だよ…(イテテ)」


「それよりもマックス!!」


「やったじゃねぇか!!」


「いやー 僕もヘトヘトだよ…」


「でもどうしよう… あの人から、お金の場所聞かないと…」


「あっ… そうだった!!」


「しまったなぁ… 倒すことばっかり考えてた。」



「ハァ… ハァ… おいテメェら!!!!」



「!?」


「えっ… まじかよ…」


「おじさん…」


 そこには、ボロボロでガリガリの姿をした、ナザロフが立っていた。



「ハァ… ハァ… まだ終わってないぞ…」


「まだだ… まだ俺は…」


「ゲホッ!! オェッ…」


「あんた、もうやめろよ… そんなフラフラで、ほんとに死んじまうぞ…」



「黙れ!! 俺はもう、戻れないんだ!!」



 ナザロフはリュックの中を確認し、全てのドラックを取り出し、リュックを投げた。



「ハァ… ハァ… これで全部か…」



 ナザロフは取り出した、全てのドラッグを使用して、体を肥大化させた。


 グゥゥゥゥ……


「くそっ… もう体力もほとんど残ってないぞ…」


「どうするマックス?」



「シン… あとは僕に任せて…」



「!?」


「ダメだ、マックス!!」


「無茶すぎる!!」


「お前… ボロボロじゃないか!!」


「そんな体じゃ殺されちまうぞ!!」


「……」


「シン… 大丈夫だよ…」


「ボロボロなのは君も同じじゃないか…」


 ギクッ…



「それに… これは…」



「僕の戦いだ…」



「あとは任せて…」


「……」


「わかった… マックス…」



 パン!!!!



 シンとマックスはハイタッチした。



「あとは任せる… 決着けりをつけてこい…」


「うん!!!!」



 走人ランナー



「ふぅ……」



 ズキッ……



 もう体が限界だ… 多分… 能力を使えるのはこれが最後のはず…



 一撃で決める…



 マックスはナザロフに向かって走り出した。



「……」


 なんだろう、この不思議な感じは…


 前へ前へ一歩が踏み出しやすい…


 まるで…



 



 そうか… この感覚は…



 



 ……


 父さん…


「一歩でもいいから、前へ進んでいけ…」だったね…


 僕は…



 これから先、何があっても前を向いて進んでいくよ…



 だから……



 フッ……



「ハァ… ハァ… 何だ、また飛び蹴りか…」



「だったら… …」



 ナザロフは体をねじらせ、全身の力を集中させた拳を振りかざした。



 だから…



 



「フンッ!!!!」



 ドン!!!!



 マックスの蹴り、ナザロフの拳が衝突した。



「ハハハ… この程度だったら押し返せるわ!!」


「くっ… ダメだ…」



……」



 ポン……



「えっ…」


「スティーブよ…」


「俺の力を貸す… あいつナザロフを救ってやってくれ…」


「父さん…」



「何っ!?」



「あいつの蹴りがどんどん強くなってきやがった!?」


「くっ… くそっ…」


「俺にはこれしかないんだ…」


「ここで負けるわけには…」



「ナザロフ…」



「!?」


「ルイス…」


「……」



 すまなかったな…



誇り高き者の蹴りルイス・キック!!!!」



「ガ八ッ……」



 ナザロフはマックスの蹴りによって大きく吹き飛ばされた。


「ハァ… ハァ… 負けたのか…」


「あいつら親子に…」


「フフッ…」


 ガクッ…


 第20話 FIN

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