ロックオン!!～巷で噂の俺yoeee系主人公～

第１８話 作られた体

「おっ…　お前…」

「まさか…　それって…」

「肉体改造ドラッグ…！？」

「ククク…」

「ハハハハハハハ！！」

「あーそうだよ…」

「しかも…　とびっきりやばいやつだぜ！！」

「お前知ってるのか！？」

「それを飲み続けるとどうなるのか…？」

「ハハハハハハハ！！」

「もちろん…」

「自分の体がバカになってることぐらい気付いているさ！！」

「だったら…　どうしてやめないんだ！！」

「何でかって…」

「それは…」

「俺は人間を超えた存在になれたからだ！！」

「ハハハ！！　いいかチビ！！」

「人間には努力をしても、越えられない壁というのがある…」

「だが…」

「その壁を取っ払うことが出来る神の薬がこれだ！！」

「ハハハハ！！」

　こっ…　こいつ狂ってやがる…

「ハァ…　じゃあ殺るか！！」

「ハァァァァァ……」

　男は腕を振りかぶりながらシンに攻撃した。

「おっと…　なんだただの脳筋野郎じゃ…」

　バン！！！！！

　！？

「嘘だろ…　後ろの岩が砕けた！？」

「ハァハァ…　おいおい…」

「避けちゃダメだろぉ…」

　これはやばいな…　早くマックスの能力に慣れないと戦いにならないぞ…

　そうだ…　一か八かこれに賭けてみるか…

「ふんっ！！」

　シンは自分の両足の筋肉に力を入れた。

「いくぞっ！！」

　シンは、盗賊にめがけて走り出した。

「おおっ！？」

「くらえ…」

「助走付き！！キーック！！」

「ガ八ッ！！」

　シンの蹴りは、盗賊の胸に当たり大きく跳ばされた。

　シュタッ……

「どうだ…　この蹴りはひとたまりもないと思うが…」

「ふぅ…」

　！？

　盗賊が立ち上がってきた。

「ハハハ！！　いやー驚いたよ…」

「お前チビのくせに脚力あるんだな…」

「何とか動けるが…　胸が死ぬほど痛いわ…」

「多分…　この姿になってないと死んでるぜこれ…」

「くそっ…　あの蹴りでも駄目だったか…」

「あー痛いわ…　お前どうなるかわかってんだろうな…」

　盗賊は、ズボンのポケットの中からドリンク剤を取り出し、飲み干した。

「プハー……」

「さてと…」

　シュッ……

　！？

「どっ…　どこに消えやがった！？」

「後ろだよ…」

「しまっ…」

　ドン！！！！

　シンが振り返った時、男の拳がシンの腹に直撃した。

「ぐっ……」

　シンは両腕で腹を抱えその場で膝をついて倒れた。

「ハァ…　ハァ…」

「おいおい……」

「何伸びちゃってんの……」

「もっと遊ぼうぜぇ！！」

「ハァ…　ハァ…」

　何だ…　このクソ重い一撃は…

　反撃しないと…

　シンは立ち上がり、後ろに下がって距離をとった。

「ん…？　なんだ向かってこないのか…？」

「だったら…」

「ふん！！！！」

「！？」

　男は崖壁を強く殴り、砕いた壁から、岩の粒を手に持った。

「じゃあ…　覚悟しろよ！！」

「岩石投擲砲（がんせきとうてきほう）！！」

　男は振りかぶり、手に取った岩をシンに投げた。

　だめだ…　この狭い場所じゃ、避けきれない…

　シンは両腕でガードの構えをとり、岩を耐えた。

「ハハハ！！　一体いつまでもつかな！！」

　何度も続く男の攻撃を受けガードが崩れて、男の投げた岩が何度もシンの体に直撃した。

　バタン……

　男の攻撃がやむと、シンは膝から崩れ落ちた。

「あーついに壊れちゃったか…」

「あーあ一文無しと闘っても時間の無駄なんだよなぁー…」

「……」

「おいクズ野郎…」

「あん！？」

「マックスの金返せ…」

「はぁ…　そんなちいせぇ声で…」

「死に損ないはそこでくたばってろ！！」

「ふふっ…　死に損ないか…　薬中に言われても痛くも痒くもねぇよ…」

「ムッ…」

「大変だねぇ…　その薬に作（・）ら（・）れ（・）た（・）体（・）を維持するのは…」

　カチン……

「てめぇ！！！！」

　男はシンの頭を右足で踏みつけた。

「てめぇ…　絶対に許さねぇ！！」

「このまま…　頭をぶっ潰してやる！！」

「ふっ…　やってみろよ…」

「ふん！！！！」

　男はその場で高く跳びあがった。

「ハハハ！！　この高さだったら、頭だけでなく体もぺちゃんこだぜ！！」

「死にやがれ！！！！」

「砲丸落とし（ほうがんおとし）！！！！」

　ド―――――ン！！！！

　男の技であたりに爆音が響き、土埃が舞った。

「ハァ…　ハァ…」

「ざまぁみあがれ…　俺をこけにするからこうなるんだ…」

「ふっ…　これじゃあ、本当に体がペッちゃんこになっちまったかもしれないな！！」

　段々と土埃が引いて行った。

「何っ！？」

「あいつの死体がない！？」

「一体どこに消えたんだ…！？」

「大丈夫かいシン…？」

「ふぅ…　遅ぇよ…」

「マックス…」

「！？」

「まさか…」

　男が前を向いたとき、シンに肩を貸して立っている、マックスがいた。

「おっ…　お前…」

「昨日のチビ！？」

「シンここで休んでて…」

「あぁすまなぃ…」

　マックスはシンを壁にもたれさせ座らせた。

「おじさん悪いことは言わない…」

「お金を返してくれないか…」

「ふっ…　てめぇも病み上がりのくせに俺様に楯突こうってか！！」

「だったらそのチビみたいにボコボコにしてやるよ！！」

「そう……」

　シュッ……

「あっ…　足！？」

「背面蹴り（ベリーロール・キック）」

　バキッ！！！！！

　マックスのつま先の蹴りが男の頭に直撃した。

「ぎっ…」

「ぎぃやあああああ……」

「いでぇぇぇぇ……」

「ごめんねおじさん…」

「けれど…　僕のお金と奪ったこと…」

「僕の友達を気づ付けたおじさんはどうしても許せない！！」

「ハァ…　ハァ…　何だこの蹴りは最初のチビの方も効いたがそれそれ以上だ！！」

「てめぇ…　一体何者だ！？」

「僕…　僕は…」

「マック・スティーブだ！！！！」

「マック・スティーブ…？」

「まさか…　お前…」

「陸上のマック・ルイスのガキか！？」

「そうだよ…」

「おじさん…　なんでそんなこと聞くの？」

「そりぁ…」

「あいつ殺したの俺だからだよ！！」

「！？」

　第１８話　FIN