第11話 騎士王の弱点

「いいですか、皆さん」


「よーくあいつのことを見てください」



 じーっ…



「まさか、そういう趣味が…!?」


「ちっ… 違いますよぉーっ!!」



「ハァハァ… 皆さん、ふざけないでくださいね…」


「あっ、すみません(めっちゃ怒ってるーっ!!)」


「あのー 僕たちではわからないんで説明していただいた方が早いのではないでしょうか?」


「わかりました、そうします…(初めからこうすればよかった…)」



「まず、あいつの体には、目に見える弱点ウィークポイントがあるはずです。」


「えっ!! ちょっと待ってくれ! あの鎧みたいな体に弱点なんかあるのか!?」


「えー、あくまで、私の推測ですが。 けれど、ほぼ100%といってもいいでしょう。」


 !?


「まずは、あいつの顔のあたりから、砂が舞って落ちているんです。」


「砂!?」


 シンたちは一斉にレナルドを見た。


「本当だ!! 顔の周りに砂が舞って落ちている!!」


「それは、あいつの体のどこかに傷があり、そこから、漏れているに違いありません。」


「そうかもしれないが… その弱点がわからなかったら意味がないのでは?」



 男は、眼鏡を指で押し上げ答えた。


「もちろん、それも、把握済みです。」


「何っ!!」


「ズバリそれは、あいつの後頭部です!!」


 !?


「考えてもみてください、まず、あの砂は高いところから落ちている、ということは、体の上部に弱点があると仮説を立てられる。」


「次に、私たちの方から見える体の前方には、弱点らしき部分が見つからない。」


「最後に、が、跳び蹴りを食らわせたときに、「」と発言したこと、これは、私と同じ仮説を立て、それが正しいことを確信し、弱点に蹴りをぶつけたと考えられるからです。」


「以上を踏まえ、弱点は後頭部にあると推測しました。」


「すっ…」


「すっげー!!」


「あんた、天才かよ!!」


「いえいえ… ですから、皆さんにやっていただきたいのは…」


「“あいつをこかす”ことです!!」


 ……。


 眼鏡の男は作戦を事細かに話した。 


「まず、女性、子供は危ないのでこの作戦に参加せず、安全な場所にいてください。」


「そして… これは、決して一人ではできない作戦です。 だから、あなた!!」


 眼鏡の男は、シンを助けた男を指さした。


「えっ!? 俺!?」


「あなたには指揮をとっていただきたい、いいですね!!」


 ……。


「おう!! もちろんだ!!」



 その後、シンは大きく息を吸った…


「うぁーーーー!! やってやるぜー!!!!」



「よし!! 行こう!!」


「おーーーー!!!!」


 皆が一斉に走りだした。それは、自分たちの居場所を守るため、人々は闘うことを決意した。



「あっそういえば、アンタすっげー耳いいのな! 俺、師匠がそんなこと言ってるの全然気づかなかったわ!」


「あっ… たまたまですよ。 たまたま…(ハハハッ)」


「まぁいいや!! ありがとなー!!」



 シンは、遅れながらも走り出した。先ほどとは、打って変わり、希望に満ちた表情をしていた。



 グォォォォォォ……



 レナルドは、見境なく暴れていた。 人々は、具体的な指示を男から得ていた。


「初めに、俺の名前は、ラッセルだよろしく頼む!!」


「作戦は、俺がおとりになって、あいつを移動させる、そうすれば、どちらかの足が浮くはず、その時、背後から浮いてない方の足へ全員でタックルを食らわせる。」


「そして、タックルした後は、すぐに全員で逃げる。」


「それでいいか… みんな!?」



「おーーーー!!!!」



「それと、チビ助!!」


 !?


「タックルの合図はお前に任せるぞ!!」


「あー わかった!!」


「みんな!! 健闘を祈る!!」



 ラッセルはわざとレナルドの前に出た、怒りで理性がないレナルドは、目の前の獲物を見つけるや否や、剣の攻撃を仕掛けた。


「おーーっ!! あっぶねー!!」


 ラッセルは間一髪避けると、まっすぐ走りだした。


 ついてきてくれよ、奴さん…。


 レナルドは右足を上げ追いかけようとした…。



「いまだ!!」


 全員が、背後から、浮いてない方の左足にタックルした。



 グラッ…



 バターーーーン!!!!



 グォォォォォォォォォ……



 レナルドは転倒し、鈍い声を上げた。


「やった!! やったぞ!!」


「おーーーい!! お前ら―!! よくやった!!」



 全員が、喜びに満ちていた。


 だが…


 ゴゴゴゴ…………


 レナルドが再び立ち上がってきた。


 しかし… ある変化が、起こっていた。


 バキッ!!


 バーーン!!


「えっ!! えーっ!?」


「後頭部が落ちてきた!!」


 蓄積されたダメージによって、レナルドの後頭部にひびが入り、剥がれ落ちた。


「えっ!? どうなってるんだ!?」


「おーい!! どうした、お前ら!?」


 立ち尽くす人々を見て、ラッセルが駆けつけてきた。


「えっ…… どうなってるんだ!?」



 剥がれ落ちたレナルドの後頭部には何もなく、空洞になっていた。 そして、レナルドが口を開いた。


「ハァハァ… ヤットイシキガモドッタゾ… コノノウリョクハカラダノフタンガオオキスギル…」


「モウユルサナイ… ゼツボウヲアタエテヤル…」


 そう言い残すと、レナルドはゆっくりとパン工場の方に向かっていった。


「おい!! あいつまさか!!」


「工場を壊す気だ!!」


 レナルドには、もう暴れる気力もなく、ただ工場を破壊することだけを考えていた。


 ハァハァ… クソッ、モウイチオクドールナンテイラナイ、ソレヨリモゼツボウヲ…


「おいおい!! どうするんだ!?」


「もうだめだ!! あんな奴に勝てっこないんだ!!」


「お前ら!! 落ち着け!! 今からアイツを追いかけて後ろから…」


「みんな!! 聞いてくれ!!」


 !?


 シンが口を開いた。


「時間がない… 俺をあの空洞に投げてくれ!! 能力で内部から破壊する!!」


「ちょっと待ってくれ!! それはあまりにも危険す…」



「みんな!!」



「時間がないんだ…」


「俺にかけてくれないか!?」


 ……。


「わかった…」


「チビ助!!」


 !?


「俺が、絶対にあそこまで届ける…」


「だから…」


「頼んだぞ!!」


「おう!!(ニッ)」


 第11話 FIN

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