第8話 共闘

 ~午前9時工場前~(シン到着)


「見たところ、まだ師匠は来てないようだな。」


 工場前では金融業者らしき黒服の二人組と貧困層らしき人々が対立していた。 空気は張りつめており、いつ争いが起こってもおかしくない状況だった…。


「おいおい、レナルドの兄貴ぃ。 話が違うじゃないですかぁ。 楽に1億もらえるって聞いてきたのに、何ですかいこの小汚い人たちは?(俺ら、睨まれてますぜ)」


「あー、俺もびっくりしたよ、こりぁレジャーランドルートだなぁ…。」


「あっ… あんたらには指一本、この工場には触れさせんぞ!(ブルブル)」


「おいおい工場長 どうしたんだよ? 震えちゃってよ。 てかそんなキャラだったっけ?」


「う… うるさい!!」


「まぁいいや。 でっ、この人たちがお仲間さんと…。」


「そりぁ… だと思うぜ…。」


 ゾクッ…


「ハハッ! いえてるや!」


「見たところ、みんなガリガリで、指一本で倒れそうじゃねぇかよ。」


「こんなのに負けちゃ、商売あがったりだぜ。ハハハ」


 確かに…。 人数では圧倒しているが、お世辞にも強そうな人がいない。(俺を含めて)


 どうする?


 そんな時、貧困層の1人が口を開いた。


「う、うるさい! ここは我々のライフラインなんだ! 命を懸けても守るぞ!」


 そうだ! 


 人々は口をそろえて言った。


「み、みんな…。」


「おいおい、これじゃあ俺たちが悪者みたいじゃねぇか。 勘弁してくれよ。」


「あー兄貴ぃ 俺いいこと思いついたっす。」


「なんだ?」


「えっ いやー 面倒なんで…」


「こいつら全員、?(どうせ、どかないだろうし)」


「…」


「俺もそう考えていた。」


「さっすが、兄貴ぃー! それじゃ…」



 能力名:鞭打つ処刑人ザ・ウィッパー



 バチーン!! 



「あーさいっこうだぜ!」


「うっ!! 腕が長いムチに!!」 


「いいか、おめえら!! 俺はこの両腕で…」


「人を裂くのがだぁーい好きなんだぁ!(ジュルッ)」


 ゾクッ!!


「お前性格悪すぎだろ…。」


「ほっといてくださいよ! それと手出しはなしでいいですよ。(俺の趣味なんで)」


「わかった じゃあ端っこで一服でもしてるわ。 


「了解でぇーす!」 


「それじゃあ…」



 バチーン!!



 大きな鈍い音を立て、ムチを地面に叩きつけた。


「ふぅー気持ちいいー これで人を裂けると思うとゾクゾクするねぇ!」


「おいおい… あんなのに当たったらひとたまりもないぞ。 どうする!?」


「じゃあてめぇら!!」


「覚悟しろよぉ…」


「まずはそこのチビ!」


「ちっ… チビ…? おれか!!」


「!!」


「あっ 死んだわ…」


 シンが死を覚悟した瞬間…。



「待たせたな!!」



「師匠!!」



「なんだ、こいつ!? 俺のムチを掴んでやがる!!」



「何を驚いてるんだ。 そんな、遅いムチ、止まって見えたよ。」


「なんだと… バカにしやがって!! 離せ!!」


「はいはい…(グッ)」


「!?」


 レイはムチを自分の方に引き、引っ張られたランドルの腹を思い切り蹴った。


「ガハッ!!」


「ほら、離したよ」


「…。 あの女強いな。」


 すごい… 初めて師匠を尊敬するかも…。


「ところでシン。 あんた、なんで腕輪使って戦ってないんだ?」


「えっ…!?」


「いやだからね… どうして腕輪使わないんだって!!」


「あのー使い方がわからないんですよ(テヘッ)」


「あっ なるほど。 よし、戦いながら教えよう。 それと、ここじゃあ巻添えを食らう みんな離れてくれ!!」


「ゆるさねぇ… 俺を虚仮こけにしたこと後悔させてやる!!」


「来るぞ!! 腕輪についてはアイツの攻撃を避けながら説明する!!」



「死にやがれ!! 乱れ打ちバレッジ・ウィップ!!」



「まずは、銀の腕輪を1つ左右どちらでもいい着けるんだ!」


「わかった!」


 カチッ!! 


「これでいいのか?」


「そして、金の腕輪を1つ渡すんだ!」


「わかった! 受け取ってくれ!」


「カチッ よし…、一見なんの反応もないけどこれで、大丈夫なはず…」


「シン! これで、あいつを倒せる力を持ったはず! 私が隙を作るからあいつに一撃おみまいしてやんな!」


「あーやってやるよ!!」


「ちょこまかと動きやがって!! 腹立つなぁ!!」


 あいつの技は、隙が無いように見える、けれど…。


 バッ…


 こうやって、一瞬でふところに入られると隙ができる。


「何っ!?」


 レイは後ろに回り込み、ランドルの両腕を掴んだ。そして…。


「シン今だ! 思いっきり、ぶち込んでやんな!」


「サンキュー師匠! それじゃ… 覇王のオーバーロード…」


「まっ 待て!」



制裁サンクション!!」



「ガハッ!! (バタン)」



 強烈なボディブローの前に、ランドルは崩れ落ちた。


 会心の一撃だ… 手ごたえあり…。


「やった… 倒したぞ…」


「やったじゃないか! シン!」


「あーけれども、この腕輪になぜこれほどの力が…。」


「それに関しては、あと一人、倒してから後で話す。」


「わかった」


「おいおい、 あいつ本当にやられたのか?」


「それじゃあ 俺のば…」



「ちょっと待て!!!!!」



「えっ!?」


 そこには無傷のランドルが立っていた。


「ど、どういうことだ!? あいつは俺と師匠が倒したはず!?」


「はっ… はぁ… 驚かせやがって… 勢いはすごかったが、全く痛くなかった(つい反射で倒れちまったが)」


「えっ…嘘!?(ガーン)」


「なぜだ、腕輪の使い方はこれであっているはず…」


「師匠!? 何がどうなってるんだ?」


「すまん 私にもさっぱりわからん。」


「とにかく、もう一度あのムチ野郎を倒すしか。」


「おいおい、取込み中のところ悪いけどよ、なーにお前らだけで楽しんでんの? ちょうど偶数なんだから、俺もまぜてくれよ。」


「おい! ランドル! 俺は、女の方をやる。 チビはお前がやれ!!」


「えー! まじっすかー わかりましたー(ちっ、雑魚のほうかよ…)」


「くそっ 万事休すか」


「師匠… 今の俺じゃあ、勝てるかわかんないけど、一人でムチ野郎と戦うよ。」


「えっ、待てシン! もう一度、二人で作戦を…」


「師匠…」


「!?」



「俺を信じてくれないか…?」



「……」


「わかった。 それじゃあ、これだけは言っておく。」


「ふぅーっ」


「!?」



「ぜぇーったいに勝てよ!! バァカ弟子ー!!(ニッ)」



「おう!!(グッ!!)」


 第8話 FIN 

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