5 夢の浮橋
side A
序 待ち合わせ
クラシックな外装に
ドアに付けられたベルがちりんと
「お一人様ですか?」
「あ、その、待ち合わせで、ええと、喫煙のボックス席に先に、二人、いると思うんです、けど」
しどろもどろと答えると、男性の店員は合点がいったような視線で一つ
「失礼ですが、お名前をお
「
確認して参りますので、少々お待ちください、と店員は
「確認が取れましたので、ご案内致します。どうぞこちらへ」
「あ、はい」
雰囲気重視の薄暗い中、少し奥のボックス席まで店員の先導で案内されると、互いに認識したとわかる距離で先日出会った天然物の金髪の眼鏡の青年――ロビンがひらりと軽く片手を上げた。
それに軽く
ロビンの隣には女性向け、それもフェミニンな服装やメイクなどの雑誌のモデルのような、少しふわふわとした印象を受ける美少女が座っている。
「ご注文は
「あ、ええとホットの紅茶を」
かしこまりました、と答えた店員が戻っていく。
その背を見送ってから、ロビンが口火を切った。
「で、どうでした……なんて、聞くよりも明らかですかね」
――嘘はつくなよ、絶対にバレるし、心象が悪くなるからな。
先日の顔合わせ前にそう言ったのは、ライター仲間の先輩で、到底そんな方向にパイプがあるなんて思えないほど堅実で現実的な記事や翻訳記事ばかりを書く、
「数日はちょっと怖かったですけど……それでも夢に彼女は出てきませんでしたから」
対面のロビンが、それを聞いて口角を上げ、満足げに
その隣の少女は二人のやり取りをじっと聞いている。
「頂いたメモと
「ああ、
そのやたらと鋭い目を細めてロビンはそう言った。
年の頃は、来年には三十になる
いや、この前に顔を合わせた時から、あの中で一番権力が低いのは依頼人の
「そう
そして、そういう考えも全て読まれているみたいなのだからたまったものじゃない。
「……ロビンさん、楽しんでません?」
紅茶のカップを持ち上げた少女がさらりとねじ込んできた。
それを言われたロビンは横目で彼女を見ながら、気まずそうに口を開く。
「半分は
にこにことしながらそう言った少女は唇を湿らせるように紅茶を少し口に含んでカップを置く。
というか、腹いせの部分は仕方ない、が関係者の共通認識なのか、と
ロビンはなんとも言えない表情で視線を
「……わかったよ。
なんというか、この間一緒だった師匠という人がいなくて大丈夫なのだろうか、いやこの少女がいるなら大丈夫なのかも、と一抹の不安と呼ぶには不純物の多い何かが
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