10 おにのすまうは
「何もない、つまり
「オリカ、これは?」
「……
「ヒロ」
よく意図がわからないながら、なんとなく求められたところはわかるので、
「オリカ、こっちは?」
「え、玄米茶……?」
「そう。一般的には飲み物の入ったカップはその中身で呼ばれる」
――チャンネルも同じ。
そうロビンは付け加えて、そこで
「確かに、そうですね。局名で呼ばれることもありますが、チャンネルを変える時、その伝達経路から得られる情報、つまり番組を期待しますから」
「……そうなると、砂嵐は何ものでもない
ここまで来ると、
「そ、ロビンのカップは今何も入ってないから、紅茶を入れてもいいし、水を入れてもいいし、麦茶を入れてもいい。なんなら墨汁を入れたっていい」
「電波なんて目に見えない。それなら、そんなものの
「んー、真空の作用、とたとえてもいいのかもしれませんね」
あー、と納得したようにロビンが言う。
「確かに、
「真空の定義は、気圧の低い気体で満たされた空間。ですが、気圧が低いということは、その気体の密度は低い、間がスカスカということです。だから、真空とそれより気圧の高い空間が交わった時、密度の高い側から密度の低い方へなだれ込む……まあ、気象学の初歩の初歩、気圧の高い方から低い方に風が吹いたり、中心気圧が低い台風ほどヤバいのと同じです」
ほうほう、と
そこまで感心されるほどの事ではないので、なんとなく
「なるほど、砂嵐はつまり枠としては
そして、
「そう、ひとりかくれんぼの場合は砂嵐で、目に見えないものを
自身のカップの
「最初に自身が鬼であるのも、誘導する何かにとって実行者を同類である、と定義するとも考えられるね」
「そんな
ロビンが半分
「案外、ぬいぐるみが胎児の類似であるのは、一番弱くて空に近い
うんうん、と一人納得するモードに入った
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