9 砂嵐の表すところ
「かくれんぼに
何より一連の儀式の段取りの中では、一番の文明の利器の使用である。
「まあ、ただのテレビじゃなくて砂嵐という、今じゃあ絶滅危惧種の画面が必要ですけど」
「……あー、
「鏡? なかなか面白い発想だなあ」
いつの間にか取り出したスマホを見ながらロビンが補足し、
「ええ……テレビ、ラジオはまだしも、鏡ですか……鏡については、投げますね?」
「おっけー、とりあえず説明してごらん」
こういう時ほど、
「
「えっと、そのチャンネルが放送されてなかったり、アンテナが安定してなかったり?」
「ちなみに、チャンネルの語源は知ってます?」
えっ、と短い声を発したきり、
完全に想定外の質問が来た、というリアクションがなかなか新鮮である、というのは
そうして三者三様に物珍しげに
「
「え、チャネリングはまだなんとなくわかりますけど、運河ってどういうことですか」
混乱した様子の
「意地悪しないでくださいー」
「さっきまでビックリさせられてたこっちとしては、これがフツーだと思うんだけど? ねえ、センセイ」
ロビンがさらりと言った言葉に、
内心ほっとしながら、
「チャンネル、チャネリング、そして運河を意味するcanal、これらは語源としては同じであって、その根幹は運搬経路や伝達経路、何かを導くための道ということになります」
「伝達経路……電波の伝達経路を切り替えるのがチャンネルを変える、ということです?」
「相変わらず、そこははやいですね……じゃあ、そこから考えると砂嵐は?」
「伝達経路のこちら側出口を確保はしてるけれど、何も来てない状態……?」
「ふむ、及第点は確実ですかね、先生?」
唐突に話を振られた
「ほぼほぼ、あってるよ。ただ、少しだけ、視点の転換が必要だ。何も来てないんじゃない」
こういう時、
それが美しいと思う反面、
そりゃあ、
「何もないが来るんだよ」
「何もないが来る……?」
よくわからない、と言うように
わかる。気持ちはわかる。理屈を知ってるからわかる
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