9 無数の穴
「それでも手を出した時点で中途半端な
「でも、それが今更……」
「いやあ、本当にひとりかくれんぼに関することだけかはわかりませんから……
失礼な、と言いたいところだが、あれは大学デビューも
「そもそも、呪うこと自体はあまりにも簡単です。究極、呪うつもりで相手を見れば、呪いは成立し得るんですよ」
「は?」
しれっと言い
「ナザール・ボンジュウの説明、しましたよね」
「あの、お守り?」
「ええ、ナザール・ボンジュウは
そう言って、
「そういう特殊能力とされることもありますし、青い目の人間が持つもの、とされることもありますが、
身に覚えはありませんか?、と
その鋭い視線に、反論は、できなかった。
「喫茶店でお会いした時も、たぶん最初はカップルかと思ったんでしょう、あの感じ。まあ、あの通り、ロビンは目立ちますから、見るなというのが無理なやつですが……」
「……」
自分よりも年下の
そういう視線を向けたか、と問われれば、それを否定できない。
「……でも、私は、そんな、呪ったり、なんて」
「意図してないとしても、程度が過ぎれば呪いになる。そういうものです。まして抑圧してれば、煮詰まりもするわけで……それも
それから
「あれはそのまま差し上げます。しっかり持っててください。
――
そう言って、
「一応、これだけ、振り込んでおいてくたさい。うちの標準です。あの住職はちょーっとばかりしわいんで、手数料とか言って結構上乗せして差額を中抜きするんですよ。
さらっととんでもない事を聞いたような気もするが、
「……その、
「いえ、可能性が高いというだけです。それに性格によるところもあるので、矯正も難しければ、過去をなかったことにはできない。なら、割り切って対症療法をすればいい」
言って、
「そんな」
「
そうではない事例を知っていると言わんばかりの言葉と、目つき以上に
踏み込むのは、
「それでは、お
そう言って、
「あ、鍵かけるの忘れないでくださいね」
そう言われて、
「あの、ありがとうございました」
「いいえ、これも仕事ですので。それでは」
頭を下げた
その、ぴっと背筋の伸びた
そして、部屋の
ふっとため息を一つついて、
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