6 粃
「
その誘導に、はあ、と答えつつも
その横に、失礼します、と
あとは緊張した
「
「……はい」
固い表情で一度目を閉じて、深呼吸をした
けれど、ひとりかくれんぼで砂嵐のテレビを見つめていた時と同じように、
「……あれさくなだりのたぎつはやきせ。うつしきつみというつみのあらざれば、あれみましのうつほのしひなをもちいでん」
不意に、
そう思った次の瞬間、
「きゃっ」
「おっと、すみません。そのままで」
反射的に後ろに
いや、逃げられないようにがっちりと
ぐるり、とその刺すような冷たさが、
「ひっ」
「大丈夫です、大丈夫です」
そして、
「や、やだ」
まるで、見えない冷たい手に
それが
「大丈夫ですって、痛くはないでしょ?」
「いや!」
自然と目から涙が
と、見えない手が何かを
何と思うまでもなく、頭の中が真っ白になる。
「や、何、なんで、やめて、しーちゃん!」
無我夢中で口から
「駄目ですよ」
「だって、お前はそこにいるはずはない」
「嘘!」
真っ白な頭で、自分でもよく分からないまま、
ただ、しーちゃんが奪われようとしているのだということだけが、わかっていた。
「しーちゃん、しーちゃんはここに、私の」
泣き声が聞こえる。小さな女の子の。しーちゃんの。青い目で、緑の目で、私を見ている。
「いるはずがないんですよ」
それを上書きするように、
「だって、そこは
女の子が泣いて、
ぶつん、と
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