9 醜い比べ
◆
「とりあえず、これでヒロとタケルが確定で帰れる流れは作れるから、二対一でたぶん運命共同体のボクも大丈夫」
保険はかかった、とロビンが言う。
全員が全員、レインコートを装備し、ロビンと
そして、
「とりあえずヒロは、そのままタケルと一緒に戻る、オーケー?」
「ええ、大丈夫です」
「戻り
「わかってます」
何故だか、
「それでは、ロビン、ご武運を。行きますよ、
「あ、うん」
「そこまで挑戦的な事はしないよ。ヒロこそ、気をつけて」
ひらひらと手を振るロビンに背を向けて、
それでもちゃんと
「……ひろねーちゃん」
「なんでしょう?」
「ロビンにーちゃん、大丈夫?」
ばきばきと、あからさまに枝を折る音を遠慮なく響かせながら、ずんずん進む
やって来た時はあんなにグロッキーになってたあの青年が、まともにここをおりて来れるのだろうか。
「大丈夫ですよ、十中八九ね。あの人、あれでも自分一人の身を守るのは
あまりにも簡単に
「は? え、ロビンにーちゃん、おとりってこと?」
「そうですよ。それでもわたしと
知ってますか? と
「山の神さまって、民間信仰においては多く、女性、つまり
――
「オコゼって、
「魚、だよね」
「そうです。海の魚です。でもね、山の女神さまはこのオコゼが大好きなんですよ」
ざあっと風が吹いて、
それを予期していたように、
より暗くなった
「……山の女神さまはね、多くが
ヘッドライトの
それを繰り返す内に、ぱつり、とレインコートの表面を水滴が叩いた。
「オコゼは、そんな山の女神さまよりも
ぱっと頭上の
すぐに、ばりばりごろごろと、雷鳴が
そんな様子に驚くこともなく、鋭く観察しているような
「山の神さまはオコゼが好きなんです」
レインコートを強く叩き出した雨粒に、その声が
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